《転生王子は何をする?》第116話 突撃開始です 5

「「…。」」

衝撃の事実に暫し沈黙するトリスとホルス。

「おい、何を固まっている?話を先に進めて良いか?」

思考停止されていては、いつまでたっても仕事か終わらないので、マスターは聲をかける。

「あぁ、続けてくれ。」

「は、はい。す、すみません。」

その聲に、マスターを待たせてしまっている事を自覚した2人は、申し訳なそうに頷く。

「話の続きだ。後50分程で城の警備兵が代する時間になる。その時間帯は、1番気の緩む時間になるから、そこを狙って侵するのが良いだろう。」

「なるほど。で、トートってはどこに?」

しても、探すのから始めると見つかる危険も高まるため、トートの居場所について聞く。

「あぁ、奴なら部屋で惰眠を貪ってるだろうよ。」

すると、トートの巫山戯た報をマスターが伝える。

「ほほぅ。晝間っからいいご分で。」

「だね。自分がいかに世の中を舐めていたか、をもってたっぷりと味わってもらうしかなさそうだね?ふふふふふ…。」

トリスは呆れた顔で、ホルスは目が笑ってない笑顔で、それぞれのトートに対する思いを口にする。

ホルスからは若干黒いオーラが出ているのだが、マスターは気にせず口を開く。

「あ、それとだ。トートについての詳細な説明はいるか?」

敵を知り己を知れば百戦危うからず、というわけでトリス達は勿論頷く。

「あぁ、よろしく頼む。」

「はい、お願いします。」

『殊勝な心がけだ』とでも言いたそうにマスターは頷きながら、それでも淡々と説明を始める。

「そうか。了解した。トート・ローヴァイン。年齢は16歳。職業は表向きは王推薦の宮廷魔導師ってことになってる。が、特に任務を行うことなく、訓練するでもなしに、王城を好き勝手にほっつき歩いている。出地は不明。両親も不明。容姿は、茶髪の長い髪に、同じく茶の瞳。顔立ちは比較的整っている。型は、長155センチ、重50キロ。スリーサイズが上から93、54、85。普段の服裝は、よくある一般的な黒い魔導師のローブを著ている。」

「お、おう…。」

「そ、そうなんですか…。」

プライバシーもへったくれも無いような報に、トリス達は引き気味で相槌をうつ。

「趣味は読書。最近は今流行りの向け作家のガルノベルの最新作『鳥籠』を読み、『あぁ、誰か私をこの鳥籠から解き放ってくれないかしら…。』などと呟いていたそうだ。好みの男のタイプは金髪碧眼の王子様風の人だそうだ。15歳くらいから程範囲になっているらしい。」

「「…。」」

あまりにも詳し過ぎる説明に、トリス達の顔はついに引き攣る。

「ん?どうかしたか?」

引き攣った表のトリス達に、マスターは首を傾げる。

「いやいやいや!アンタおかしいって!何での數値的な報とか、普段の様子とかそんなに知ってるんや!?」

「は?報屋だから?」

トリスが思わずぶが、意味が分からないという風にマスターはまたまた首を傾げる。

「いや、それは違うだろ!犯罪臭しかしないわ!てか金髪碧眼の15歳くらいの王子様風の人って、それピンポイントすぎないか!?」

々言いたい事が多すぎて、呼吸を荒くしながらトリスはぶ。

「ん?あぁ、そっちの連れは金髪碧眼だな。…倒すまでもなく、仕掛けでどうにかなるだろ?」

トリスの指摘に、マスターは今更ながらホルスが金髪碧眼である事に気付いたようで、何ともアホな事をぬかしている。

「んな訳!それが出來れば、苦労はしないってば!…いや、案外いけるかも?」

トリスは最初は否定するが、言葉を紡ぐに段々と気が変わってくる。

「トリス!?ぼ、僕はやんないからね!?敵に仕掛けとか、僕には絶対無理だから!」

「でも聞いたろ?16歳の、93センチの可いお姉さんだぞ?いけるだろ?」

トリスはニヤニヤしながらホルスの肩に手を回す。

「93センチって何が!?というかトートって人は、ティーナや他の王族の人をって好き放題してる、悪逆非道な魔導師だよね!?」

しかしホルスは絆されなかったようで、トリスの示す平和的解決の道(笑)を正面から否定する。

「ん〜、まぁそうだよな。…うし、報も得たところで、早いとこ王城に向かうか!マスター!報提供ありがとう!」

「え、えぇ。急すぎない?あ、ありがとうございました。ちょ、待ってよ〜。」

報も聞き出せたところで、トリスは禮を言ってから店から出て行く。そんなトリスの急な切り替えにホルスは追い付けず、慌てて席を立ってフロレンティーナを抱えると、トリスと同じように禮を言ってから追いかけるのだった。

「フフ。ま、頑張ってくれや。俺の目的のためにもな・・・・・・・・・。」

マスターはそう言うと、店の外に出て看板を外す。そして次の瞬間には、店の中はもぬけの殻となっていた。

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