《転生王子は何をする?》第117話 突撃開始です 6

トリス達は報屋から出たあと、また屋伝いに城へと走り、代時間の20分前には城付近の商店の屋の上に著いていた。

「さてさて〜。いよいよ潛するわけっすけど、気分はいかがですかね?」

トリスは、オリジナル魔法について考えているであろうホルスを慮り、わざと茶化して言う。

「え?そうだねぇ。オリジナル魔法の使い手となると、ちょっと不安だよね。効果も分からないしさ。」

しかし、案の定オリジナル魔法を不安に思っていたホルスから、馬鹿正直な答えが返ってくる。

「はぁ〜。」

「え?何?僕、何か変な事言った?」

『やれやれ』と肩を竦め、ため息をつきながら首を振るトリスに、ホルスは首を傾げる。

「あのなぁホルスさんよ。」

「え、どうしたの急に。」

いきなり口調がおかしくなったトリスに、ホルスはぽかんとしている。

そんなホルスを見て、トリスは仕方ないとばかりに真面目な顔で言う。

「ホルスは、それはもう人間辭めてるレベルで戦闘能力が高いんだ。」

「え、そ、そんなに?」

「あぁ、そんなにだ。で、そんな人間辭めてるホルスが、高々オリジナル魔法が使える程度の奴に、負ける訳がないだろう?それに、萬が一に備えて俺もバックアップするんだ。それなりに力を出したホルスに、まぁ著いていける俺がだ。」

自畫自賛のようで、若干恥ずかしいがトリスは言葉を紡ぐ。

一方ホルスは、『いきなり何を言い出してるんだろう?』と思ったが、トリスが何かを伝えたいという事は分かったので、戸いながらも大人しく相槌をうつ。

「う、うん。」

「で、しかもだ。急時は俺は、あの飛行船レベルのやばい魔道マジックアイテムを使ってでも、盤面をひっくり返してやる。どうだ?これでもまだ不安か?」

「う…。負けるビジョンが全く見えないよ。」

トリスから、圧倒的にこちらが優位であることを至極丁寧に説明されたホルスは、半笑いで呟く。

「だろ?とはいえ、全く警戒しないのはただのアホだから、気合いれてけよ〜。」

不安を払拭出來たとひと安心したトリスは、軽く冗談を挾む。

「うん、分かった!でも、まだ代する気配は無いから、もうし待機…え?トリス?」

トリスの冗談に、元気良く返事を返すホルス。そして城の警備兵の様子を見てから視線をトリスの居た方に向けると、何とそこにはトリスの影も形も無かったのだった。

「え?え?ど、どこ行ったんだろ?」

慌ててキョロキョロと辺りを見回すと、下の方から元気なトリスの聲が聞こえてくる。

「お姉さん!この『鶏とトマトの7種のスパイススープ』を2人前お願い!」

「お姉さんだなんて、照れるわ〜。よし!サービスしてあげちゃう!」

「え、ほんと?ありがとう!」

見ると、何とトリスは不可視インビジブルを解き、呑気に店でスープ系の食事を購していた。

「な、な、なんでやねん!?」

ホルスは似非関西弁でツッコミをれてしまう。

「!…あれ?何か聲が聞こえなかったかしら?」

「え?そうですか?多分どこかで朝から酔っ払いが喧嘩してるんじゃないんですか?」

ホルスの聲が聞こえた店の店員は、辺りをキョロキョロと見回す。

勿論トリスには、誰の聲か分かっているので、落ち著いて適當な事を言う。

「あぁ、そうよね。よくある事だけど、朝から酔っ払ってるだなんて、やぁねぇ〜。」

「えぇ、そうですね。お姉さん人だから、酔っ払いとかに目を付けられたら大変ですから、気を付けて下さいね?」

「あらやだ。そんなに持ち上げても、何も出ないわよ?」

あと20年若ければ確かに人であったであろうを褒めつつ、話を逸らすことに功するトリス。

「あいよ!お待たせ!はたっぷりれといたからね!そのは使い捨てだから、返さなくていいよ!あ、代金は銅貨2枚だよ!」

「ありゃ?ちょっと安くないですか?」

「良いのよ!お兄さんイケメンだし、今私機嫌が良いからね!」

「ありがとう!はい、銅貨2枚ね。うん、味しそうだ!」

代金と引き換えにけ取った料理を見て、トリスは満足そうに頷く。

「それ食べて、今日1日頑張ってね!」

「うん!また來るよ!」

トリスは元気良く返事をすると、そのまま路地に消える。そして不可視インビジブルを発させると、ホルスの居る屋の上まで登る。

「ほれ、これでも食って、これからに備えないとな!腹が減っては戦ができぬ、だ。」

「トリスの切り替えの速さには、たまに著いていけなくなるよ…。」

トリスの突飛な行に、ホルスはげんなりとした表をする。

「そうか?…味いな。」

だがトリスは呑気に食事の想を述べている。

それを見て、ホルスはトリスなりの張していた自分への気遣いと分かったため、ため息をつきつつスープを口にする。

「はぁ…。ん、味しい!」

溫かいスープに、すっかり和む2人。らかく煮込まれた鶏に、トマトの酸味、スパイスが絶妙にマッチし、敵陣へと赴く前の腹ごしらえとしては上出來な代となっていた。

「よっしゃ、行くか!」

「うん!」

腹も膨れたところで、丁度代時間になったため、トリス達は行を開始する。

「貰った地図によると、門じゃなくて壁を越えた方が早そうだから、フロレンティーナ様を擔ぐのはホルスに頼むわ。」

「…トリスが運んでも、全く支障ないよね?」

「さぁ?何のことやら?だったら誰しも、ホルスみたいな奴に抱えられた方が嬉しいと思う…ぞ!」

ホルスにフロレンティーナの運搬を頼むと、し雲行きが怪しくなってきたため、トリスは屋から飛び降りて慌てて逃げる。

「あ!待ってよ!」

逃げるトリスに驚きながらも、ホルスは寢かせていたフロレンティーナを抱きかかえて後を追う。

その様子は、最早これから王城に侵する者達には見えないものであった。

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