《転生王子は何をする?》閑話 フォルツ王國暗部ダンクレスの末路
フォルツ王國の暗部であるダンクレスは、王都から馬で2、3時間の比較的大きな街にそのアジトを持っていた。そのため、トートが魔導師団を退団してから間をあまり空けず、その報を短時間で手にしていた。
「な、何だと!?」
「あの小娘、死にたいのか!?」
「いや、ありえん!何かの手違いであろう!」
「し、しかし、魔導師団団長が、確かに辭表を理したと伝達してきたのは、信頼出來る筋からだぞ!?」
その幹部達の話し合いは、最早ただ言いたい事を言うだけの會になっていた。
そしてそこに追い討ちをかけるように、更に彼らを混に陥れる報告がる。
「し、失禮します!」
兵士が慌てながらドアを開けたまま部屋にってくる。
「何事だ!?」
「さ、先程から、何者かによる襲撃をけています!敵は1人なんですが、全兵力を以てしても、まったく抑えきれません!どうかお逃げ下さい!」
『な!?』
幹部一同は唖然とする。何故1人すら抑えきれないのかという以前に、襲撃される前兆すら摑めなかったのだ。本來彼らはフォルツ王國國においては、絶対的な支配力を持っていたため、事前に襲撃をする者を排除することすら可能なのだ。
唖然とする幹部達。しかしその數秒後、すぐに逃げなかった事を後悔することとなる。
「こ〜んに〜ちわ〜!!」
やけに間延びした聲を発しながら、兵士が開けたままのドアから1人の男が侵する。
「ま、まさか…。」
兵士が青い顔をしながら、後退りをする。
「こ、コイツは!?」
「だ、誰だ!?」
誰何をけた男、トリス達に報を提供した『オッサンの止まり木』のマスターは、そのスキンヘッドをでながら自己紹介を始める。
「ど〜も〜、自分は名無しっていいま〜す。あ、変メタモルフォーゼ解くの忘れてたわ。『解除』。」
名無しと名乗る男は、闇屬上級魔法の『変メタモルフォーゼ』解除する。するとそこにはローブを深く被って顔の見えない、ひ弱な型の怪しい人間が居た。
『!?』
「変メタモルフォーゼだと!?それにそのローブ姿。まさかSランク冒険者トリスか!?」
驚愕した様子が幹部達から伝わってくる中、1人の太った幹部がまさかとぶ。
「おぉ〜、當ったり〜。すげぇじゃん。ま、當たっても景品は無いけどな。それよりもさ〜、俺ってば・・・・人使い荒すぎるよな〜!今日1日で、どんだけ移したと思ってんだよ。電車も車も無い世界でよく移したと思うよ。」
トリスは、いきなりの妙な事を言い出す。勿論幹部には意味が分からないため、ただ困するだけであった。
「な、何の話だ?」
「ん?こっちの話。あ、お願いがあって今日はお邪魔したんだよ。」
「お願い、だと?」
先程から、1人の代表格っぽい、丸テーブルのり口から一番奧に座っている、禿げたオッサンが言葉を発するため、ソイツに対してトリスは合掌しながら言う。
「あんたらさ、ちょっと俺の目的には不要だから、ちょっとこの世から退場してくれない?永遠に。」
『は?』
『ちょっと消しゴム貸して?』くらいなノリで、とんでもない事を言うトリス。要するに死ねとトリスは言っているのだ。
「今なら楽に殺してやるよ。あんたらは悪人だ。こっちも気兼ねなくやれるってもんだ。」
言いながら、トリスは何時の間に持っていたのか、ひと振りの刀を鞘から抜き、そして上段に構えた。
「な…。」
「本気…か?」
「は、ははは…。悪夢だ…。」
すっかり戦意を喪失した様子で、力なく椅子に憑れ掛かる幹部達。
トリスのやってきた事を知っていれば、誰でもそうなるだろう。
ほぼ1人で魔王軍の大軍を殲滅。盜賊狩り。ありとあらゆる、伝説や神話でしか語られないようなモンスターの討伐。…やりすぎも否めないが、それらのおでだいぶ魔王軍進行後の復興も早まったので、そう悪い事では無いだろう。
「さて、それでは、ご退場願おうか。む?」
トリスがこうとした瞬間、部屋に1人居た兵士が、雄びを挙げながら突っ込んでくる。その手には剣を持っているが、若干震えているところを見ると、大分勇気を振り絞ったのだろう。
「うぉぉ!!」
「尊敬するよ。だが!」
しかし、そんな完全な狀態でない一般人の剣など、トリスの敵ではない。
トリスは、左手で握りこぶしを作ると、一言呟く。
「『雷纏』。」
「ぐわっ!」
すると黒の手袋を嵌めている左拳に、電気が纏わり付くように発生する。そして剣を躱すと同時にその拳を軽く兵士の腹に當て、電流を流して気絶させる。
この『雷纏』というものは、オリジナル魔法の一種で、トリスが獨自に開発したものだ。最初は素手に纏わせてみたのだが、の見事に電し、戦闘どころではなかったため、他の屬でも使えるように耐熱、防水等を備えた絶縁の魔道マジックアイテムである手袋を開発し、漸く実用化にありつけたのだ。
「さて、殺すか…といきたいところだが、この兵士の覚悟に免じて、あと數時間後に來る者達に大人しく従うならば、命は助けてやろう。」
「そ、それは本當か?」
「あぁ、本當だ。禮ならこの兵士に言ってやれ。あ、それと、目が覚めたら・・・・・・お前達に指示を出す奴らの代表者に対して、トリスが頼むと言っていたと伝えてくれ。」
「え、それはどういう事―」
『どういう事だ』と最後まで言い切れなかった代表格を始め幹部達の意識は闇へと落ちるのだった。
- 連載中56 章
【書籍化・コミカライズ】手札が多めのビクトリア〜元工作員は人生をやり直し中〜
ハグル王國の工作員クロエ(後のビクトリア)は、とあることがきっかけで「もうここで働き続ける理由がない」と判斷した。 そこで、事故と自死のどちらにもとれるような細工をして組織から姿を消す。 その後、二つ先のアシュベリー王國へ入國してビクトリアと名を変え、普通の人として人生をやり直すことにした。 ところが入國初日に捨て子をやむなく保護。保護する過程で第二騎士団の団長と出會い好意を持たれたような気がするが、組織から逃げてきた元工作員としては國家に忠誠を誓う騎士には深入りできない、と用心する。 ビクトリアは工作員時代に培った知識と技術、才能を活用して自分と少女を守りながら平凡な市民生活を送ろうとするのだが……。 工作員時代のビクトリアは自分の心の底にある孤獨を自覚しておらず、組織から抜けて普通の平民として暮らす過程で初めて孤獨以外にも自分に欠けているたくさんのものに気づく。 これは欠落の多い自分の人生を修復していこうとする27歳の女性の物語です。
8 173 - 連載中360 章
世界最強はニヒルに笑う。~うちのマスター、ヤバ過ぎます~
數多(あまた)あるVRMMOの1つ、ビューティフル・ライク(通稱=病ゲー)。 病ゲーたる所以は、クエスト攻略、レベルの上がり難さ、ドロップ率、死亡時のアイテムロスト率、アイテム強化率の低さにある。 永遠と終わらないレベル上げ、欲しい裝備が出來ない苦痛にやる気が萎え、燃え盡き、引退するプレイヤーも少なくない。 そんな病ゲーで最強を誇ると言われるクラン:Bloodthirsty Fairy(血に飢えた妖精) そのクランとマスターであるピンクメッシュには手を出すなと!! 新人プレイヤー達は、嫌と言うほど言い聞かせられる。 敵と見なせば容赦なく、クランが潰れる瞬間まで、仲間の為、己の信念を通す為、敵を徹底的に叩きのめし排除する。例え、相手が泣き叫び許しを乞おうとも、決して逃がしはしない!! 彼女と仲間たちの廃人の廃人たる所以を面白可笑しく綴った物語です。 ゲーム用語が複數でます。詳しくない方には判り難いかと思います、その際はどうぞ感想でお知らせください。
8 113 - 連載中8 章
學園事件証明
整合高校の七不思議にこんな話がある。 誰も知らない不老不死の生徒が存在すると… 根倉で性格の悪いただの生徒である和鳥 野津(わとり のず)は學校で起こった數々の事件を推理する…
8 162 - 連載中15 章
気紛れ女神にもらったスキルで異世界最強になる(予定)
今まで、色々な作品を書いてきたが、途中でネタ切れなどになり、中途半端に辭めてしまった。 この作品はやれるだけやってやる
8 157 - 連載中305 章
受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-
受験を間近に控えた高3の正月。 過労により死んでしまった。 ところがある神様の手伝いがてら異世界に転生することに!? とある商人のもとに生まれ変わったライヤは受験生時代に培った勉強法と、粘り強さを武器に王國でも屈指の人物へと成長する。 前世からの夢であった教師となるという夢を葉えたライヤだったが、周りは貴族出身のエリートばかりで平民であるライヤは煙たがられる。 そんな中、學生時代に築いた唯一のつながり、王國第一王女アンに振り回される日々を送る。 貴族出身のエリートしかいないS級の教師に命じられ、その中に第3王女もいたのだが生徒には舐められるばかり。 平民で、特別な才能もないライヤに彼らの教師が務まるのか……!? 努力型主人公を書いて見たくて挑戦してみました! 前作の「戦力より戦略。」よりは文章も見やすく、內容も統一できているのかなと感じます。 是非今後の勵みにしたいのでブックマークや評価、感想もお願いします!
8 83 - 連載中295 章
ひざまずけ、禮
「ひざまずけ、禮」 理不盡な死を遂げた者たちが、その運命に抗うため、化け物を退治する。どこまでも平凡な少年と文學少女が織りなす、學園ストーリー。・・・になるといいな!(白目)
8 71