《転生王子は何をする?》第138話 とある休日のドタバタ 13(リア&マルティナ編)

 仲良く海鮮丼を食した後、ホルス達は下に降りて、軽くショッピングを楽しんでいた。

「あれ?もうこんな時間なんだね。」

 壁際にかかっている時計を見ると、午後5時を指していた。

「あ、ほんとだ。楽しかったから、時間が経つのも早いね。」

「ほ、ほんとに楽しかった?」

 どうもリアには、姉であるリタに対して、々容姿においてコンプレックスがあるようで、『可くない私なんかが…』などという考えを、常に持っているらしい。

 だがそんなコンプレックスに、気付きもしていないホルスは、素直に本音で話す。

「うん、楽しかったよ。リアみたいな可くて、一緒に居て面白いの子と出掛けて、楽しくない奴は居ないと思うけど?あ、トリスなら渋い顔するかもだけど。」

 の回りで唯一イレギュラーな存在を思い起こし、実に歯切れの悪い言い方になってしまったが、しかし、の見事にする乙の心を貫いたようだ。

「か、か、か、か、か、可い!?そ、そんな!?」

「え?いきなりんでどうしたの?僕、何かおかしな事言った?」

 先程とは真逆に、今度はホルスが顔を近づけて心配する。

 トリスからの助言で、自ら腕を組んだりした時とは違い、覚悟の決まっていなかったリアは、それにも大ダメージを被る事になる。

「だ、大丈夫だよ?うん。あ、そろそろ帰らないと、リタお姉ちゃんが心配するから、帰るね。じゃ、じゃあね!?楽しかったよ!!」

「え、う、うんって速っ!?」

 口調がおかしいまま、リアはダッシュでその場を後にしたのだが、その速度は軽く本気を出した時のトリスに、迫るかもしれないものであった。

 そんな唐突のリアの逃亡に近い行に、ホルスは暫くの間、呆然と突っ立っているのだった。

 一方その頃、マルティナにやられた (神的に)トリスは、ようやく目を覚ました。

-…俺は、一?橫になっているのか?-

 頭の下にらかいものをじながらも、狀況を理解しようと、トリスは目を薄く開ける。

「っ!?」

 だが目の前に飛び込んで來るのは、今日マルティナが著ていたと記憶している服と同じで、一面真っ白の景であった。

 それを目の當たりにしたトリスは、慌てて目を閉じる。

-さ、さて。今日の記憶を整理しようか。えっと、まずマルティナに々とバレて、それから、何故か間違って告って、で、OKされて、で、気絶させられたと。なるほどなるほど…って、-

「どういうこっちゃっ!?」

「キャッ!?」

 自分で言っていても、どうしてこうなったのか、完全に意味不明な狀況に、思わずんでしまう。すると、上の方からマルティナの驚いた聲が聞こえてくる。

「あ、すみません。」

 驚かせてしまうつもりは無かったので、トリスは起き上がりながら謝る。

 「も〜、びっくりした〜。」

 起き上がってマルティナの方を見ると、涙目で文句を言ってきた。

「いやさ、さっき起きた出來事が、全部夢のような気がして、ちょっと信じ難くて、ついんじゃったんだよ。」

「うん、分かる気がするよ。まさか、その、トリス君と、こ、こ、人に…。」

 トリスの言葉に同意するマルティナだが、言ってる最中に顔を赤くして、言葉を詰まらせてしまう。

「あ〜、も〜、可いな!」

 そんな様子を見て、思わず本音が出るトリス。抱き締めたい衝に駆られるが、今の自分に上手く力加減が出來るとも思えないので、慌ててステータスを抑える。

「か、可い!?と、年上に向かって!」

「いやだって俺、前世含めれば30超えた、いいオッサンなんだけど?」

 ステータスの値を、ホルスと出會った時くらいまで戻す作業をしつつ、マルティナの言葉に反論する。

「むぅ〜、確かにそうだけどさ。でも、別に、トリス君はオジサンというじが、全然しないよね?」

「まぁ何故かは知らないけど、神年齢がに引っ張られているというか?」

 トリス自でも説明はつかないが、そうとしか思えないのだ。

「なんか、不思議だね。」

 トリスのに起こっている現象に首を傾げているマルティナ。

「まぁ考えても分かんないし、日常生活に支障がなければ、それで良いと思うんだけどね。」

 當人であるトリスは、呑気に楽観的に考えている。確かにこれが5歳児の神年齢が近付いたなら、流石に焦ったのだろうが、15歳ならば特に困る事も無いので、本気になって原因を考えようとは思わないのだろう。

「う〜ん、それもそうだね。…コホン。ではこれから、その、人になったという事で、ルールを決めない?」

 マルティナはどこか上の空狀態で頷くが、急に覚悟を決めた表をしたかと思ったら、唐突に真面目な話を持ってくる。

「え?う、うん。」

「そ、その、結婚を前提とは言ったけど、き、清く正しい関係を…。」

 言っている事は非常に合理的で、良く分かるのだが、言っている本人の學園での癡態を、しっかりと記憶していたトリスは、マルティナに食って掛かる。

「ど、どの口が言うか!」

「あ、あれは、アプローチの一環だもん!…ちょっと、自分のに正直になり過ぎたかもしれないけど。」

 頬を膨らませて、可く言い訳をするマルティナだが、し自分の行を省みて、今更ながらにやり過ぎかもと自覚したようだ。

「なんや先生。案外むっつりなんやね。」

 あの癡態に、マルティナの本心が多大に含まれていると知り、トリスはここぞとばかりに揶揄うスタンスをとる。

「な!?そ、そんな事は!」

「…マルティナちゃ〜ん。別に恥ずかしがる事は無いんですよ〜。」

 何が吹っ切れたかのように、清々しい表でマルティナを揶揄うトリス。そんなトリスの様子に、マルティナは気付いているのか、楽しそうな表で話すのだった。

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