《転生王子は何をする?》第140話 両親に挨拶を…? (1)
「そういえば、試験の結果とかって出てるんですか?」
 ふと、トートの実力が気になったトリス。
「え、えぇ。まぁ、はい。」
 何の気なしの質問に、トートは何故か吃る。
「トートさんの実力、私たちは知っていた方が良いんじゃないかと思うんですが、教えて頂いても宜しいでしょうか?例の暗部の殘黨とかの件がありますし、ね?」
 そんなトートの様子に、トリスはまさかと思い、諭すように績の開示を求める。
「た、確かにその通りですよね…。分かりました。お答えします。私の績は、実技が65點、座學が52點です。」
「「「…え?」」」
 その衝撃的な答えに、トリスと、今まで聞きに徹していたホルス、フロレンティーナの3人は、一斉に驚きの聲を上げてしまう。
「能力は兎も角として、座學は得意そうに見えたんだけどな…。」
「オリジナル魔法の使い手は、総じて、その他の魔法も得意だったような…。」
 その驚きのあまり、トリスとホルスは悪気なく、トートの実力を貶してしまう。
「だ、だって、仕方無いじゃ無いですか!どうせこのまま、一生を人に利用されて生きるって思ってたから、勉強とかする気が起きなかったんですよ!」
 『むぅ〜』っと、頬を膨らませて拗ねるトート。
「ご、ごめん、トート。」
「あ、いや、すみません。…しかし、ノー勉で平均點よりちょい下か。ここ、レベル高いのに。」
 素直に謝るホルスと、軽く謝るトリス。
 トゥール學園では、通常ならかる筈が無い點數だが、世間一般では『頭が良い』と評されるレベルのトートに、本當に勉強したこと無いのかと思うトリス。
 そのためか、つい心の聲がれたようだ。
「え?何か言いましたか?」
「いえ、まぁ、これからは、自由の何ですから、細かい事は気にせず、したい事をじゃんじゃんやっていきましょうって言ったんです。」
 これは偽りなくトリスの本心である。ホルスやフロレンティーナも、トリスの言葉に共したのか、『ウンウン』と優しい眼で頷いている。
「!…そうですね。はい、これから、よろしくお願いします!」
「「「よろしく(お願いします)(お願いしますわ)!」」」
 トートの実力がボロボロである事には変わりないが、非常に良い出だしで、彼の學園生活1日目が幕を上げるのだった。
「はーい!皆さん、ちゅうもーく!」
 トートが編して來て早數日、何のトラブルも発生すること無く、平和に時が過ぎていた。そんな中で、休日を利用してレンバッハ家で開催された、トートの學力向上會の最中、唐突にトリスが聲を上げたのだった。
 因みにメンバーは、トリス、ホルス、トート、フロレンティーナ、ローゼマリー、リア、リタの、計7人である。
「え?いきなりどうしたの?」
 皆の気持ちを代弁したホルスの言葉に、トリスはニコニコしながら答える。
「実は、うちの親父・・が、漸く予定ついたらしくって、『これを機に、皆さんを我が家に招待してやれ』と言っててだな。」
「へぇ〜!出自不明のトリスに、お父さんが居たんだ!」
 トリスに告げられた事に、ホルスは斜め上の返しをする。
「出自不明ってなんやねん!ちゃんとの通った、一般家庭の生まれだわ!」
 それをただのボケだと思ったトリスは、ノリノリでツッコミをれるが、何とも予想外の反応が待っていた。
「「「「「「…え?」」」」」」
 何と、トリスを除いた6人全員が、『何言ってんの、コイツ?』みたいな表で、トリスを凝視するのだ。
「え、まさか、人間とすら認識されてなかったのか!?窟丸ごと破壊出來るホルスよりも、よっぽど人間味あると思うんだけどな〜…。」
 全員が驚いた理由が、そうでない事を知りながらも、傷ついた風の演技をするトリス。
 だが、それどころでは無いホルスは、真面目に答える。
「いやいやいや、そうじゃなくて!生まれの方だよ!」
「お、おう…。」
 ホルスに便乗するように、フロレンティーナがトドメをさしてくる、
「そうですわ!平民どころか、王族ですら持っていないような魔道マジックアイテムの數々を所持しているトリスさんが、一般家庭の生まれなんて、有り得ませんわ!」
「そこまで言いますか…。」
 そんなフロレンティーナの攻撃をくらったトリスに、さらにリアが追撃を加える。
「語に出てくるような、大賢者様が、若返ってるって言われた方が、まだ信憑あるよ。」
 ここでいう大賢者とは、魔法に魔道マジックアイテムに、最早何でもありな、ドラ〇もん的存在の事である。
「えぇ…。って、リタさんとローゼマリーさんも頷いてる!?」
 あんまりな言い様に、トリスは引き攣った表をするが、更に味方が完全に居ないことを悟り、その場で膝を著く。
「…コホン。それよりも、何時になったの?」
 なんのフォローも出來ないとじたホルスは、せめてこの話から遠ざけようと、本題の質問をする。
「ん?」
「トリスのお父さんに會う日。」
「あ〜、えっと、明日?」
 トリスは目を逸らしながら答える。
「ふ〜ん、明日か〜。…え、明日!?どういう事!?」
 日はあるだろうと思っていたホルスは、思わず流しそうになったが、慌ててトリスを問い質す。
「い、いや〜、何分忙しい人なもんで、明日だって、唐突に先方の都合が付かなくなって、急遽會えるってだけだしさ。ねぇ?」
「『ねぇ?』じゃないよ!…皆、明日の予定はどう?」
 こんな事で、トリスが噓をつくとは思えないので、詰問を諦めたようだ。
「私わたくしは、明日はトートと一緒に、買いの予定がございます。」
「は、はい。そうです。」
「私たちはギルドの方でけた依頼の消化があるよ〜!」
「…。(こくこく)」
「私は、客人の応対が…。」
 ホルスの質問に、順番に答えていく。
「ぜ、全滅!?」
「あはははは…。」
 何とも言えない間の悪さに、ホルスの絶と、トリスの乾いた笑いが、部屋に谺響するのであった。
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