《転生王子は何をする?》第142話 両親に挨拶を…?(3)
「ねぇ、トリス?」
「何?」
 トリスの父親は、この五階建てである建の最上階に居るらしく、階段を登る途中で漸く追い付いたホルスが、トリスに聞く。
「さっきのは?」
「アメリア?」
「そうそう。何か、やけに親しかったよね?浮気?ねぇ、浮気なの?」
 ホルスは、トリスとマルティナをくっつけた手前、どうにも気になるようであった。
「いや、ちゃうわ。小さい頃から、良く面倒を見てもらってた、姉みたいな人だよ。」
「へ〜、そうなん?その割には、アメリアさん、する乙みたいな視線を、トリスに向けてたけど?」
 非常に疑わしそうに、トリスに視線を向けるホルス。それに対して、妙に必死になって、誤魔化し始めるトリス。
「いやいや!ないないない!あるとしても、単純に恩義と、依存くらいなもんだぞ!?」
「恩義?依存?」
「あ〜、そこから説明か…。」
「?何か、り組んだ事がありそうだね。まぁ、この話は今度で良いや。トリスにその気は無さそうだから。」
「あ、今度聞くんだ。納得はしてくれたのに。」
 何とか納得してくれたかに見えたが、殘念ながらホルスに話を聞かないという選択肢は無いらしく、笑顔で宣言をする。
「うん、勿論。気になるし。」
「えぇ〜…。あ、ここ。」
 ゲンナリとした表をするトリス。何とか誤魔化せないものかと思案するが、タイミング悪く目的地に到著し、話は一旦打ち切りになる。
「ノックしてもしも〜し!」
「ちょ、トリス!?」
 いきなり、滅茶苦茶軽いノリで扉をノックしたトリスに、ホルスは驚愕する。
 何故なら部屋に居る人は―――
「っていいですよ。」
「ほ〜い!」
「は、初めまして!私は、トリスの同級生の、ホルスト・ラ・レンバッハと申します。よろしくお願いします、グレゴール・カレンベルク・・・・・・・・・・・・殿!」
 ―――この10年で、急長したカレンベルク商會の會長であったからだ。
 遠慮無しに扉を開け放ち、中にって行ったトリスに対し、遠慮がちに続いたホルスは、深々と頭を下げながら挨拶する。
「これはどうも丁寧に、ホルスト君。息子・・とは、仲良くやってくれているかな?この子は昔から、変わったところがあるから、迷掛けていないか心配でしてね。」
「い、いえ!彼に驚かされる事は多いですが、とても良くして頂いております!」
 本人が居る前で行われる、酷い言い様の會話にストップをかけるべく、トリスはごと話に割ってる。
「やめい!はずいわ!それよりも、客人が來たんだ!さっさと茶のひとつでも出さんかい!」
「あ、すまないね、ホルスト君。普段は書に任せっきりなものでして、こういう時に、気が利きませんで。」
「い、いえ、お構いなく。」
「どうぞ、ソファにお掛け下さい。」
「えぇい!まどろっこしいわ!商談じゃ無いんだから、適當で良いんだよ、適當で!」
 何時までも、堅苦しいやり取りの2人に、いい加減見てられなくなったトリス。力づくでソファに座らせ、アイテムボックスからお茶と菓子を出して、準備を整えてやり、彼自はホルスの隣に座る。
「す、すまない、トリス。」
「手際良いね…。」
 申しわけ無さそうに、恐する2人に、トリスは気にすんなと、ぽんぽんと手を叩く。
「ほいほい。んな事はどうでも良いから、さっさと親睦でも深めようか。まず、ホルス。渡すもんあるだろ?」
「え、あ、うん。…こちら、どうぞ。トリスに聞いたところ、お菓子が良いとの事でしたので。」
 紅茶のお供として、子供から大人まで、幅広い世代にされて止まない、クッキーの菓子折を差し出すホルス。
「ありがとうございます、ホルスト君。子供が喜びます。」 
 どうやらトリスの言う通り、自には特に好が無いようで、代わりに家族の事で頭が一杯のようだ。
「…ほっ。…えと、そういえば、トリスって姓が無いですけど、面倒事を避ける意味合いで、學園側に隠すように依頼したんですか?」
 無事にけ取ってもらい、一安心したホルスだが、何か話題をと探すに、いきなりり組んだ事がありそうな話題を、場に出してしまう。
「いえ、それは、違いますね。」
「おう、ちゃうよ。今のこの俺は、普通に姓が無いんだ。」
「姓が…無い?トリスは、グレゴールど…さんの、実の息子では無いのですか?」
 『殿』と言いかけるホルスだが、トリスから膝を叩かれ、強制的にい口調をし解される。
「えぇ、有りに言えば、その通りです。私はただの、父親代わりのようなものですね。しかし、私の息子や娘はトリスを兄と呼び、私も妻も実の息子のように可がっております。」
「息子はルーカスで、下に雙子の姉妹で、ベルタとベアタが居るんだ。ルーカスは12歳、ベルタとベアタは11歳だ。」
 補足説明をれるトリス。その表は、とても穏やかなものであった。
「…なるほど、理解しました。話しづらい事なのに、私に打ち明けて頂き、本當にありがとうございます。」
 また1つ、親友の事を知れたホルスは、申し訳ないと思いつつも、嬉しく思い、それを隠すためにか、また深々と頭を下げるのだった。
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