《異世界に転生したので楽しく過ごすようです》第25話 大変な事になったようです
「ハァハァ…!ここまで來ればもう…」
「みつけたー!みんなこっちー!」
「転移とかやっぱり卑怯じゃね!?っと、そんなことより逃げないと…!!」
俺は今王都を逃げ回っている。追いかけてくるのはゼロ、レン、ミル、ジュリ、リンだ。
ゼロとレンとリンは、時空魔法を使って転移して追いかけてくる。俺は時空魔法使えないのに卑怯じゃないのかと思う。
ミルは索敵を使って俺の場所を特定してそれを念話でみんなに伝えているようだ。見つかるのが早いからな。
ジュリは俺以外のパーティメンバー全員に支援魔法をかけて、能力を底上げしている。俺にもしは付けてくれよと悪態を付きまくってる。
そんな中をかれこれ1時間逃げ回っている。
皆がこんな所でしっかり連攜しているのが俺にしたら腹ただしい。これをゴブリンキング戦でもやってしかった。
しっかり連攜出來ている事実は嬉しい事なんだけどな?
だが、言わせてしいと思う。
どうしてこうなった!?
俺は全力で逃げながら、今日あったことを思い出す……。
◇◆◇◆◇
「よーし、お前達。大人しくしていろよ?」
「はーい」「はい」「ん」「りょうかーい」「おう!」
ここは王都の控え室的なところだ。俺はそこで式典に出る様の服に著替えていた。
パーティメンバーは式典に出れないようなので控え室でお留守番だ。
こいつらは俺がいないと々やらかすからな。一言言っておかないとな。
「それじゃ行ってくる」
俺はそう言って部屋を後にする。
あー。張してきたわ。こんなこと日本でもなかったんだよね。日本にいる時は褒められるようなことしたことないからな。
おっと、こんなことを考えているうちに著いてしまった。
俺は謁見の間の扉の前に立ち背筋をばす。
そして、すぐに扉が開かれる。
「貴殿よ。前へ」
俺は言われた通りに王の元へ向う。
周りには貴族と思われるだろう人達がずらりと並んでいる。
俺を見定める人や、興味無さそうな人など様々な人がいる。
俺は相がないのか心配になりながらも、それがないように努めた。
そして王の元に著くのと同時に跪く。
「貴殿には先日のダルダナンの街に脅威としてあったアースドラゴンを単で討伐した功績がある。またその戦闘において、そのをしてきの取れない者達を護り、多くの命を救った功績もある」
俺は跪いているのでよく聞こえはしないが、大言っていることは分かる。
この話を聞いた貴族達の反応は様々で、驚きの表に顔を染めるもの、ハッタリで何かの間違いだと言っているもの、こいつならやりかねんとか言っているもの…。
最後の人は眼帯をしていて腕に包帯を巻いている。これは病気でしているのか。はたまた廚二病をこじらせているのか。……あまり深く考えないようにしよう。
「貴殿のこの功績を讃え、竜殺しの稱號及び守護者の稱號を與える!」
「はっ!ありがたき幸せでございます」
ちなみにこの臺詞はジルドさんに言えと言われたものだ。
この先、俺の言う臺詞はもうない。
普通ならこの後、面を上げてそのまま下がるのだが、この式典は普通ではない。
「ここで貴族に報告がある。今日のこの後すぐに、我の前にいる冒険者と、我が娘の結婚式を行う。」
貴族達がざわめき始める。それもそのはず、この國の王が結婚をするのだから。ましてやそれがどこの馬の骨とも分からない冒険者であったとするなら尚更だろう。
だがこいつらは知らない。俺が強制的に結婚させられてるだけということを。
こいつらは知らない。ジュリと関わったばっかりに俺の負擔が増えて疲労が溜まっていることを。
ほんとジュリに対するツッコミは間に合ってないので、もう1人くらいツッコミ役がしいです。
「靜まれ。おぬしらがそうなるのも分かるが、これは我が娘が決めた事だ。人の人生の決定には誰であっても意見することは許されん。當然了解してくれるな?」
王の圧力がすごいな。あの田舎のおじさんみたいな優しさではなく、一國の王としての威厳が出ている。
それからはとんとんで結婚式にった。さすが國王だと思った。
だって、あれからすごい勢いで指示を飛ばして、元々セッティングしていた教會まで貴族達を連れていき、俺とジュリの結婚式で著る様の服を手配していたからな。
そして、現在俺達のいる場所は教會の外に設けられた控え室。
「マスターカッコいー!」
「ええ、そうですね。さすが主様です」
「カッコいい」
「カッコいいと思うぜ!」
俺の今の格好は結婚式に著ていく用のタキシード。蝶ネクタイとか、付けたことないからちょっと手間取ったぞ。
そしてそのタキシード姿をみんなに見せたところ、さっきの反応が帰って來たのだ。
ジュリは別室でドレスアップしているらしいからいない。
「もうそろそろ時間じゃ。準備はできてるかのぉ?」
「はい。出來ています」
「ジュリの方も準備出來ておるからもう始めるとするかの」
どうやらもう始まるみたいだ。
「それじゃお前達は観客席的なところでじっとしていろよ?」
「はーい」「はい」「ん」「おう!」
ほんとに大丈夫だろうか。心配だ。
「ほれ、そろそろじゃぞ」
「はい今行きます」
そして、俺は先に教會の祭壇へ。俺はまぁまぁの拍手で迎えられる。
俺は祭壇に著いて、ジュリを待つ。
あー遅いなー早く來ないかなーとか考えていると貴族達から嘆の聲が上がる。貴族達の視線の先にはドレスアップしたジュリがいた。
ジュリが小柄だという事すら忘れるほどに大人びていてしいと思った。
ジュリは純白でシンプルだが華やかなドレスを著ている。1歩また1歩と歩くその作ひとつひとつに気品の様なものをじる。
うわぁ。いつものジュリと全然違うんですけど。なんかドキドキしてきたな。張してきたのかな?
ジュリはバックスさんと一緒に歩いてきて俺の隣に來る。
そして聖職者が聖書を読み始める。
それほど長くはなく。心を落ち著かせるのにちょうどいい時間だった。
聖書を読み終わった聖職者がこっちを向く。
そしてあの言葉が俺に向けられる。
「新郎は、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これをし、これを敬い、これをめ、これを助け、その命ある限り、真心を盡くすことを誓いますか?」
はい!來ましたー!有名なこの言葉ですよ!そして俺の言う事はただひとつですね。
「誓います」
はい。これですね。初めての経験ですよ。ただこれが俺のんだ結婚だったらもっと良かったんだけどね。
「新婦は、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これをし、これを敬い、これをめ、これを助け、その命ある限り、真心を盡くすことを誓いますか?」
「誓います」
ジュリを見てみると、ジュリもテンションが上がっていた。大方俺と同じこと考えてたんだろうな。
「では、誓のキスを」
あ、キスがあるの忘れてた。まぁいいだろう。ここは流れにを任せるしかない。
俺はジュリにかかっているベールをめくる。そしてお互い見つめ合い顔を近づけ…。
「「「「待った!」」」」
おや?聞き慣れた聲が4つ上がったぞ?
俺はキスしようとするのをやめてそっちを見る。
そこにはゼロ、レン、ミル、リンが勢揃いしていた。
「わたしもキスしたいのー!」
「そうです!主様!」
「ん!」
「オ、オレも……」
おいおい、こいつらは何を言っているんだ。
「それじゃみんなでしましょう?」
ジュリは何言ってんだよ!みんなの目がマジになってるじゃん!
『そっちの方が面白いかなって。』
『こんのバカタレがー!』
じりじりと詰め寄ってくる5人。じりじりと退く俺。何が起こっているのか理解出來てない俺達以外の人。カッカッカッ、と笑っているバックスさん。
バックスさん!笑ってないで助けてくださいよ!
そしてついに壁際まで追いやられてしまう俺。
このままでは貞的な何かがヤバいとじた俺は教會から逃げ去る。
それを全力で追いかけてくる5人。
そして冒頭へと………。
ああ、そうだった。これに捕まったら全員にキスをせがまれるんだった。
逃げるのに必死になって忘れてたわ。
「主様!追い詰めましたよ!」
「大人しく捕まる……!」
「そ、そうだぞ!オレに大人しく捕まれ!」
「マスターを絶対捕まえるのー!」
「あら?モテモテじゃない?」
「ジュリのせいでこうなってるんだがな!!」
「そうだったかしら?」
くっ!こいつめ!
俺は今、十字路の真ん中にいる。そして4方向と上を塞がれてる。
これはもうダメだぁ……。大人しく降伏するしかないよな。
俺は両手をあげる。
「……本當に憾ではあるが俺の負けだ。煮るなり焼くなり好きにしろぃ!」
負けを認める時は潔く!そっちの方がカッコいいからな!……多分。
「マスター捕まえたのー!」
あぁ、最初はゼロか。この世界で初めてあった奴だ。キスぐらいならしてあげてもいいか…。
「捕まえたから、次はマスターが鬼なのー!」
「「「「「は?」」」」」
「みんなにげるよー!」
ゼロはキャッキャ言って遠くに走っていく。
どうやらゼロは俺を追いかけている間に本來の目的を忘れたようだ。
結局みんなもゼロにつられて鬼ごっこをすることになった。俺的にはそれで安心したんだけどね。
最初は転移とかしてたゼロ達は卑怯じゃね?という俺の意見を聞き、それならと魔法が止になった。もちろんジュリの支援魔法もだ。
スキルは飛行が止で、それ以外は使えるようにした。
そして俺達は日が暮れるまで王都で鬼ごっこをして遊んだ。
「楽しかったな」
「うん!」
「ん」
「……そういえば、何かを忘れているような気がします」
「レンちゃんどうしたの?何か忘れ?」
そこでジュリが俺と自分の姿を見て何か思い出した様に言う。
「あっ!結婚式!!!」
「「「「「あっ!」」」」」
それから俺達は國王の元に行って、こっぴどく叱られるのであった。
ちなみにジュリは結婚式を途中ですっぽかした王として王都で有名になるのだが、それはまた別の話。
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