目を開けると見知らぬ空間にいたーー。

「ここは？」

誰かの記憶の斷片が頭の中にり込んでくる。コレは前にも見た彼たちとルナの喧嘩の原因となった學生時代の記憶だ。

「ーーまただ」

今度は、俺と霊達で城下町でサタンを追い払った時の記憶だ。相変わらず憎たらしい顔をしているサタン。

「うっ・・・頭が割れるように痛い」

コレは知らない記憶だ。

ルナともう一人誰かがサタンと戦っている。

凄まじく強く 特異能力者だ。

あっ、ミリア？ ルナをかばってその男は倒れたーー これはルナの記憶なのか？

「何でこんな記憶が流れて・・・」

ここは、真っ白な空間見渡す限り何もない。

この空間に先ほどから記憶の斷片が流れ込んでくる。

真っ白な空間がいきなりその場にいるような覚に襲われる。記憶が流れ込んでくる前は必ず頭が割れるように痛くなる。

「まただーー」

＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊

「ルナ契約しよう」

「えっ？ でも・・・」

「俺のことは嫌いでもいい。みんなを守りたいんだ」

「だって・・」

「ごめんルナ！」

強引にルナを引っ張り無理やり口づけをした。

アクセルは大好きな人との最初で最後のキスかも知れないと思った。

本當は、こんな形でしたくなかった。

最後までルナの心を癒してあげれなかった自分が悔しかった。

もっと別の形で逢いたかった。

君の本當の笑顔が見たかった。

君とずっと一緒にこの先も笑っていたかった。

俺の気持ちが屆かないことは分かってた。

俺なら君の心の闇を消してやれると思ってた。

助けてやれなくてごめんな。

だけど、君へのは本だから。

アクセルの心の聲だったーー。

口づけの契約が終わるとアクセルはゆっくりとを離した。

アクセルが目を開けるとルナは泣いていた。

「ルナ・・・ごめんな」

そう言って指で優しく涙を拭ってあげた。

「アクセルは、いつも強引なんだから」

初めてルナの本當の聲を聞いたような気がした。

ずっと、待ってたこの時を優しく穏やかな表のルナはいつも以上にらしくしい天使のようなの子だ。

アクセルの前で一回転してスカートの裾を両手で摘みあげて、

「アクセル様、天の霊ルナです。あなたを一生守り致します」

満遍の笑みでルナは微笑んだ。

「アクセルだ。宜しくなルナ」

ルナの頭を優しくでた。

今この時、この瞬間がいつまでも続けば良いとアクセルは願った。

世界で一番大好きな人がやっと自分のパートナーになってくれた。

絶対に葉わなぬ願いと思っていたのに、例えすぐに終わることになっても今このひと時はこの人と・・・

「アクセル・・・様・・・」

「ん？ 」

「私のこと・・・すき・・ですか？」

アクセルは、思わずしてると言いかけたが・・・

「この戦いが終わったら教えてやるよ」

ルナはぷーっと顔を膨らませた。

「これだけは言える。俺はお前とはずっとずっと一緒に居たいと思ってた」

「ルナは、その言葉だけで充分幸せです」

アクセルは、優しく自分のにルナを押し當てた。

「アクセル様、ルナ嬉しいです」

「こんなことしか出來なくてごめんな」

「そんなことないです。幸せです」

ポンとルナの頭を軽く叩き

「行くぞ！ ルナ！！！」

「はい！」

この戦いが終わったらちゃんとしてるって伝えて二人でのんびり笑って過ごすんだ。

また、森で晝寢したり、川で水遊びしたりルナの大好きな花畑で花を摘んだりして。

＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊

これは、 誰の記憶だろう・・・

何で俺の中に流れ込んだのだろう。

この空間に何で俺は居るのだろう。

ーー あなたのがあなたの心が他の人のや記憶に共鳴しているのーー

何処からか優しい聲で囁くように聞こえてくる。

ーー あなたの流れるが、この空間を創り出したのーー

「俺の中を流れる・・・」

ーー あなたは、あなたのことをどれだけ知ってるの。僕はあなたの知らないあなたを知ってる ーー

「俺は、俺自を知ってる？ 俺はーー」

自分自に問いかけてみる。自分は魔力が無く頭も悪く何もない空っぽだ。家族や街の人達からも嫌われてきた役立たずだ。

「そうだった。あいつらに出會って本當の弱い自分を忘れてた。違う思い出したくなかった。 無かったことにしたかったのかも知れない。 本當の俺は落ちこぼれの役立たずだ」

改めて自分を見つめ直すと自分が虛しくなるほど無力で空っぽで人間のクズのような男だと分かった。 何も努力せず諦めて家族から逃げるように過ごし自分の殻に閉じこもっていた。

ーー それも、あなた。今のあなたもあなた。 本當のあなたもあなたが創る ーー

「君は誰？ 何故俺は此処に」

ーー 呼んだのはあなた。呼ばれたから僕は來た ーー

「俺が君を呼んだ・・・」

ーー しいものがあったんじゃないのーー

しいもの？ 確かに願った。

ホーエンハイムの街並みやキャットハンズに兵士達が傷付きながらも何度も何度も立ち上がりクルセイダーズ達に立ち向かって行く姿を見て。

その全ての元兇が悪魔サタンにある事に。

そして、その瞬間に思ったのだ悪魔族をこの手で倒すとーー、

「ーー俺はチカラがしい。悪魔族を倒すチカラが」

アーサーは、決意を新たに力強く拳を握った。

ーー僕は、あなたを知っている。あなたに借りを返す。願ってみてチカラがしいとーー

「願うーーチカラがしいーー」

目の前が輝き眩しさで目が眩んだ。

＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊

「君、どうしたの？ 何で泣いてるの」

また記憶の斷片か・・・・。

「ーーーー」

これはい頃の俺？

「どこか痛いの？」

しゃがみ込んで泣いている男の子に話しかけるい頃のアーサー。

「お家に帰れないの」

しゃがみ込みんで泣きながら男の子は言う。

「お家の場所分からなくなったの？ お父さんとお母さんは？」

しゃがみ込みんで首を振る男の子。

「お家は何処なの？」

アーサーは、困った顔で話しかける。

男の子は、しゃがみ込み込んだままアーサーを指差す。

「僕？」

アーサーは、キョトンとして首を傾げた。

「僕が君を家に帰せるってこと」

頷きながら男の子は言う。

「魔力が無くなっちゃったの」

「魔力？ 魔力があれば君は家に帰れるの」

「うん。帰れる」

「僕にも魔力あるのかな？ あれば僕の魔力を貸してあげるよ」

「イイの？ 本當に」

男の子は、初めて顔を上げてアーサーを見つめた。

その子の顔はよく見えなかったが特徴が一つあった今でも覚えている。

見かされたような金の瞳ーー。

「うん。困ってる人は助けなきゃ」

アーサーは、笑顔で言った。

「ありがとう。いつか君にこの恩返しをするよ。 必ず、必要な時はいつもでも僕のことを呼んで」

し目を逸らした隙に男の子は消えていった。

男の子の嬉しいそうな聲だけがその場を木霊していた。

アーサーは、すぐに周りを探したが男の子は居なかった。

アーサーは、その後一切の魔力を失った。

＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊

「思い出した君はあの時の僕だ」

「思い出してくれたんだ。そしてやっと呼んでくれたね」

「何であの時現れて、この瞬間に今、現れたの」

「全ては、　この瞬間の為に。魔力を借りたのは貯金みたいなものかな。いろんな記憶の斷片を見せたのは僕を意識してくれるキッカケを捜していたのさ」

金の瞳のいアーサーは、今のアーサーに抱き付いた。

「やっと逢えたね・・・もう一人の僕」

そして、顔を上げて金の瞳と目が合った瞬間にまた目の前が真っ暗になったーー

ーー 必要な時は僕の名前を呼んでーー

＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊

「アーサー様、大丈夫ですか」

「大丈夫なの」

「アーサー様、お気を確かに」

三人の霊たちは、急にかなくなったアーサーを心配そうに見つめている。

我に返り周りを見渡すとそこは、ホーエンハイムの街中にいた。

「ん・・・俺は」

「アーサー様、急に倒れてしまったので心配したよお」

三人の霊たちは涙を浮かべて心配していた。

アーサーは、霊たちを見て何とも言い難い難しい表現を浮かべ、深く息を吐いた。

「この戦いに終止符を打ってやる」

アーサーが目を閉じ、もう一人の心の中のアーサーに語りかける。

ーー 出番だよ、パンドラ ーー

真っ白な空間に鎖のようなモノが巻き付きた箱が一つ置いてある。

アーサーは、ためらいなく封印されている箱を開けた。

ーー君の今、必要なモノが中にあるーー

アーサーが再び目を開くと・・・

ーー 金の瞳に希が映し出されたーー