《三人の霊と俺の契約事》水竜討伐④
「アーサーさん・・・? 」
聲をかけられジッと見つめるアーサー。
メーディアは思わず背筋が寒くなるのが分かった。
それほど冷たく凍り付くような視線だった。
「円卓の魔導士の一人だったっけ確か。
大したことないね」
鼻で笑って、薄ら笑いを浮かべている。
「え? 」
今までのアーサーとの余りにもギャップがあり過ぎて混しているメーディア。
すぐにリサがメーディアに近づいてきた。
「アーサー様は金の瞳になると人が変わった様になってしまわれるの。 ごめんなさい」
リサが頭を下げて弁解する。
「何やってんだリサ。 チョロチョロするなよ! それよりも竜退治だ」
指をバキバキと鳴らしながら瞳を輝かせる。
ゲームに夢中になる子供のように笑みを浮かべてこれから始まることが楽しみのようで仕方ない様子だ。
水竜もアーサーの異様なオーラをじているようで睨みつけている。
「アーサーさん、弱點は顎とよ」
メーディアがアーサーにぶとーー
「あん? 五月蝿えんだよ、弱點教えてどうすんだよ。それを探すのも楽しみの一つじゃねえか、馬鹿かお前は消えろ! 」
地面に唾を吐きすて明らかに苛立ち始めたアーサー。
メーディアは、予想もしなかった言葉を失い呆然とする。
「メーディアちゃん大丈夫かい? 」
メイザースがメーディアの側に駆け寄って來て傷の心配をしている。
「メイザース様・・・あのお方は誰でしょうか」
メイザースは、メーディアの視線の先の金の瞳の人に目をやりながら答えた。
「アーサー・ペンドラゴンなのだよ。 ただ、これは非常に危ない事があるのだよ」
メイザースとメーディアは変わり果てたアーサーの後ろ姿を見つめていた。
★ ★ ★
アーサーと三人の霊たちの金の瞳が輝くーー
水竜は、冷気の息吹きをアーサーに向けて放つーー それをエルザが大地の盾アースシールドで防ぐ。
「それしか能が無いのか? 伝説の竜なんだろ」
まさにこの狀況を楽しんでいるように、はしゃいでいるアーサー。
「こっちからも行かせてもらうぜ! シルフィー」
「風の民よ 我にチカラを 無形の刃よ 悪を刻め 風神の刃ソニックウインドー」
音速の無形の風の刃が水竜を無數に刻む。
全ての攻撃を無効化すると言われている竜の皮が削られる。
水竜は、明らかに顔を歪めている。
「どうした全て無効化するんだろ? そんなに嬉しそうな顔するなよ」
水竜を相手に茶化すアーサー、更に挑発的に掌を立ててかかって來いとばかりな手招きする。
水竜は、怒りをわにし冷気の息吹きを撒き散らすーー
「だから、無意味なんだって」
簡単に冷気を避けながらリサに合図を送り水竜の口に指を指すアーサー。
「天を燃ゆる不死鳥よ 我に聖なる炎をーー発炎焼系最強魔法エクスブロージョン」
リサの放つ炎が水竜の冷気の息吹きを押し戻しそのまま水竜の口に直撃したーー
水竜の口の中から煙が上がるーー
白目になった水竜はそのまま地面に倒れ込んだ。
それを見たアーサーはケラケラと腹を抱えて笑っていた。
「何が伝説だ、つまらん! エルザ沈めろ」
「大地の母ガイアよ 我にチカラを 大地鎮魂歌アースレクイエム」
大地震が起こり水竜の地面に巨大な地割れが起きたーー水竜は我に返って翼を広げ地割れから逃れようとする。
しかしーー
「殘念。 ーー竜殺しの稱號を貰います。バイバイ」
地割れの上から足掻きあがき羽ばたく水竜クロセルを見下した金の瞳の冷たい視線が突き刺す。
天にも響き渡るような地響きと共に地割れが再び元に戻り水竜クロセルは飲み込まれ消えていったーー
「肩慣らしにもならなかったぜ。 帰って寢るかな。行くぞお前ら」
ふわふわと宙に浮いている霊たちは無言でアーサーの後を追った。
その異様な景をメイザースとメーディアは唖然と見つめていた。
「メイザース様、後でお話しがあります」
「メーディアちゃんの聞きたいことは分かるのだよ。 とりあえずキルケーちゃんの手當てを先に」
水竜討伐に功したのだがアーサーの異様な態度と雰囲気の謎を殘したまま皆はまたメイザースの屋敷に戻るのだったーー
ーー アーサーは変わってしまったのか?ーー
- 連載中60 章
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生涯一度もタイトルを取る事が出來なかったおっさんプロ棋士。 最後の挑戦として挑んだ名人戦は敗北し、一人家で晩酌を楽しんでいた。 そして、いい加減眠ろうと立ち上がった所で意識を失い、命を落としてしまった。 そして気づくと、幼女になっていた。 これは幼女に転生した無冠のプロ棋士おっさんが、史上初の女性プロになり名人のタイトルを手に入れようと努力する、そんなお話。
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