《三人の霊と俺の契約事》父と母の出逢い②
ーーまるで風の一部になったようだった。
映畫のフィルムのように景が流れて行く。
グリフィンに乗ったアーサーと三人の霊達はバルティカ共和國に向かっていた。
「ねえ、アーサー様。何で竜と人間は爭っているの?仲良く出來ないのかな?」
リサの純粋に素樸な疑問。確かに僕も心の片隅に抱いていた。霊は、純粋で思ったことは素直に言葉に出てしまう。
「そうだねー、僕にも分からないけど爭わなければならない理由があるんじゃないかな」
「どんな理由かなぁ。みんな仲良くすればいいのにねえ」
「リサみたいにみんな単純に生きてないのよ。現実は厳しいのよ」
シルフィーが眼鏡を押し上げながら鼻で笑う。それを見てリサはムッと眉間にシワを寄せた。
「ーー何よシルフィー、私がまるで何も考えてないみたいじゃない」
「あら、何か間違いでも?」
口に手を當て、大袈裟に驚いてみせるシルフィー。その憎たらしい顔を見てリサは顔を膨らませる。
「人を馬鹿にした事しか言えないから、顔も格もブサイクなのよ!」
その言葉にカッとなるシルフィー、
「言ったわねえー、今日という今日はゆるさいわよリサ」
「こっちの臺詞よ!!」
リサとシルフィーの睨み合いが始まったが、それを無視してアーサーの背中に抱きつく茶ふわふわの頭。
「アーサーさまあ」
「ーーん?」
「アーサーさまは、人間の味方なの?」
「そうだねー、バルティカ共和國に援軍を要請されたからね」
「竜と人間のケンカの理由も分からないのに人間の味方をするの」
「ーー確かにね。何か理由がなきゃ、爭いは始まらないからなあ」
「竜とちゃんと向き合って話すれば、分かってもらえるかもなの」
「・・・爭わず誰も傷付けずに解決出來ればそれが一番だな」
アーサーはクルッと回りエルザと向かい合うと、ふわふわの茶頭をでた。
時折、アーサー自では思いもよらない事を霊達の何気ない一言が解決してくれる事がある。今のエルザの一言も霊の純粋な優しい一部が伝わってくる。ーーその優しさにどれだけ救われたか・・・。
僕も知らない間に目先の事しか見えない汚い大人になっていたんだな。と、改めて思った。
「リサ、エルザ、シルフィー・・・」
アーサーの一言で口喧嘩をしていたリサ、シルフィーのすぐに辭めて振り返る。エルザは、「なの?」とアーサーの前で目を丸くする。
「ありがとう」
三人は、顔を見合わせて、
「「「どう致しましてアーサーさま」」」
*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *
「君、怪我をしているのか?だからここからけない訳か?」
「ーーだから何だ人間、去れ!去らぬなら噛み殺すぞ!!」
「隨分と暴だな」
そこには、世にも珍しい白い神的な竜が傷付き橫たわっていた。
邪竜アポカリプスとの戦いで、巻き込まれたのだろうか。白い竜の傷は痛々しくとても立ち上がれる様子ではない。
青年は、白い竜に近づき傷の合を確認するーーしかし、
「貴様ーー!何のつもりだ」
「おいおい、こっちはお前の傷を治せるか見ていただけだろ?」
「何だと貴様、正気か?先ほどまで意味憎みあっていた相手の傷を癒すだと、どーゆー魂膽だ」
「・・・別に魂膽なんてないさ。傷付き倒れている人を見たら手を貸すのが本の男さ」
そう言うと、ゆっくりと白い竜に近づき手を翳した。
青年は目を閉じまるで診察するかのように、ぶつぶつと獨り言を言いながら納得した様な表を浮かべた。
「貴様、何を勝手にーー」
「黙って見てろよ!」
白い竜に翳した手の平が、ぼんやりと輝きを放つ。ーーそれは、白い竜を優しく包み込むように傷を癒して行く。
「・・・どういうつもりだ?」
巨を橫にしに包まれながら、目の前にいる青年を目を丸くし見つめる白い竜。
「治癒の揺り籠っていうの魔法だが?」
答えになってない答えを返事をし、その場をはぐらかそうとする青年。
「この傷が癒えたら、貴様を噛み殺すかもしれないのだぞ?」
「まあ、そん時はそん時で対処するよ。俺も一応、人間界では最強のギルドの一員だからさ、簡単には殺られない自信はあるけどね」
白竜は、その言葉と青年の表にイラついていた。何故なら青年は、自に満ち溢れた表を浮かべていた。まるで、今回の大戦は人間が勝って當たり前のように聞こえたからだ。
「・・・・・・」
白竜は、靜かに怒りを収めた。
今のこのでは、この青年を噛み殺す前に自分自が殺られてしまうのは目に見えていた。
白竜は、地面に顔を伏せ青年にを預けた。今は、この青年に傷を癒してもらうのが最善であると悟ったからだ。
この傷が癒たら今度こそは人間をーー
☆
「おーい、どこだあ?居るなら返事しろよ」
靜かな窟に木霊する人間の聲ーー、白竜は自分が寢てしまっていた事に今気付いた。
慌ててを起こすーー!!?
「・・・傷が癒てる」
「當たり前だろ?俺が治してやるって言っただろ?」
白竜は、目を丸くし青年を見下ろしていた。
「ーーさて、仲間も迎えに來たから俺は行くとするよ。じゃあな」
白竜に背を向け去って行く青年。
白竜は、思わず、
「待って!!」
青年がその聲に振り返るとそこには、先ほどの大きな白竜の姿は無く、真っ白なき通るような白いと腰までの長い髪をしたが立っていた。
「・・・・・・」
余りのしさに言葉を失う青年。
「せめてお名前を・・・」
「え?君はさっきの白竜?」
「はい、エキドナと申します」
「僕の名前は・・・」
ーー  あなたの名は? ーー
【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜
※書籍化します! 10/1にKラノベブックス様で発売! コミカライズも決定してます! 史上最強の勇者である俺・ユージーン。 魔王を討伐した後、気づけば俺は貴族の息子・ユリウスとして転生していた。 どうやらこの世界の俺は、魔力ゼロの忌み子として、家から見捨てられていたらしい。 優秀な雙子の弟と比べられ、わがまま王女な婚約者を寢取られ、學校や屋敷の人たちからは無能とさげすまれる。散々な日々を送っていたみたいだ。 しかし別人に転生した俺は、それらを全く気にせず、2度目の人生を気ままに過ごすことを決意する。 このときの俺は知らなかった。 ここが勇者のいた時代から2000年後の未來であること。 平和な世界では、魔法も剣術も、すさまじくレベルが低下していたことに。 勇者としての最高の剣術、魔法、回復術、體術を引き継いだ狀態で転生した俺は、衰退した未來の世界で、自覚なく最強の力を振る。 周囲の悪評と常識をことごとく覆し、戀人や家族、そして俺を馬鹿にしていた弟からは嫉妬される。 けれどそんなこと全く気にせず、俺は今日も自由をただ謳歌するのだった。 ※書籍化に合わせてタイトル変更しました 舊「落ちこぼれの兄の方が実は最強〜史上最強の勇者、未來の世界へ転生する。優秀な弟に婚約者を寢取られ、家や學校からも無能と蔑まれてたが、前世の力を引き継ぎ気ままに生きてたらいつの間にか目立ってた」
8 75【書籍化】誤解された『身代わりの魔女』は、國王から最初の戀と最後の戀を捧げられる
【書籍化準備中】 秘密だけれど、ルピアは世界でただ一人の魔女だ。『相手の怪我や病気をその身に引き受ける』魔法が使える。そんな彼女は、初戀相手であるフェリクス王と結婚することになった。 彼のことを一途に思うルピアに、フェリクス王も魅かれるけれど……誤解から、彼女が裏切ったと考えて冷たく當たってしまう。 ルピアはそんな彼の命を救い、身代わりとなって深い眠りについた。 「……ルピア。君が私への思いを忘れても、私はずっと君を愛するし、必ず君を取り戻すから」 夫のことが大好きな妻と、妻のことがもっと大好きな夫の話。 あるいは、長い片思いで息も絶え絶えになった夫が、これでもかと妻を溺愛する話。
8 193オーバーロード:前編
未來に存在するVRMMO『ユグドラシル』のサービス終了の日。最強クラスのギルドの一角である『アインズ・ウール・ゴウン』のギルドマスター『モモンガ』は、メンバーと共に作り上げた居城の玉座に、臣下たるNPCたちにかしずかれながら座っていた。たった1人で、もはやいないかつての仲間達を思いながら。 そしてサービスが終わり強制ログアウトが生じるその瞬間、異変が起こった。ログアウトできず、そして何より話すことの出來ないはずのNPC達がまるで生きているかのように忠誠を示しだしたのだ。さらには外の世界は未知の世界。モモンガは混亂しながらも、絶対者(ギルドマスター)として行動を開始する。 これはアンデッドの肉體を得た絶対者たるモモンガが、己の(頭のおかしい)目的のために、異世界を蹂躙していく物語である。 この作品はarcadia様の方でも公開しております。
8 189【書籍化】捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜國の王太子からの溺愛が待っていました
★ベリーズファンタジーから発売中です!★ 伯爵令嬢ロザリア・スレイドは天才魔道具開発者として、王太子であるウィルバートの婚約者に抜擢された。 しかし初対面から「地味で華がない」と冷たくあしらわれ、男爵令嬢のボニータを戀人として扱うようになってしまう。 それでも婚約は解消されることはなく結婚したが、式の當日にボニータを愛妾として召し上げて初夜なのに放置された名ばかりの王太子妃となった。 結婚して六年目の嬉しくもない記念日。 愛妾が懐妊したから離縁だと言われ、王城からも追い出されてしまう。 ショックは受けたが新天地で一人生きていくことにしたロザリア。 そんなロザリアについてきたのは、ずっとそばで支え続けてくれた専屬執事のアレスだ。 アレスから熱烈な愛の告白を受けるもついていけないロザリアは、結婚してもいいと思ったらキスで返事すると約束させられてしまう。しかも、このアレスが実は竜人國の王子だった。 そこから始まるアレスの溺愛に、ロザリアは翻弄されまくるのだった。 一方、ロザリアを手放したウィルバートたちは魔道具研究所の運営がうまくいかなくなる。また政務が追いつかないのに邪魔をするボニータから気持ちが離れつつあった。 深く深く愛される事を知って、艶やかに咲き誇る——誠実で真面目すぎる女性の物語。 ※離縁されるのは5話、溺愛甘々は9話あたりから始まります。 ※妊娠を扱ったり、たまにピンクな空気が漂うのでR15にしています。 ※カクヨム、アルファポリスにも投稿しています。 ※書籍化に伴いタイトル変更しました 【舊タイトル】愛されない妃〜愛妾が懐妊したと離縁されましたが、ずっと寄り添ってくれた専屬執事に熱烈に求婚されて気がついたら幸せでした〜 ★皆さまの応援のおかげで↓のような結果が殘せました。本當にありがとうございます(*´ー`*人) 5/5 日間ジャンル別ランキング9位 5/5 日間総合ランキング13位
8 96名探偵の推理日記〜囚人たちの怨念〜
かつて死の監獄と呼ばれ人々から恐れられてきた舊刑務所。今ではホテルとして沢山の客を集めていたが、そこには強い怨念が潛んでいた。そこで起きた殺人事件の謎に名探偵が挑む。犯人は本當に囚人の強い恨みなのか?それとも生きた人間による強い恨みなのか? 〜登場人物〜 松本圭介 小林祐希 川崎奈美(受付の女性) 吉川尚輝(清掃員のおじさん) 田中和基(清掃員のおじさん) 磯野吉見(事務のおばさん)
8 165一兵士では終わらない異世界ライフ
親の脛を齧って生きる無職の男、後藤弘は変わろうと思いトラウマ多き外に出る。そこで交通事故に遭い敢え無く死亡。そして気がついたら変なところに。目の前に現れたのは神様と名乗るモザイク。後藤弘はそいつによって第二の人生を送るため異世界に転生させられる。今度は間違わないよう家族を大切にして生きる男の第二の人生の物語。
8 133