《俺、自分の能力判らないんですけど、どうしたら良いですか?》外伝~とある母親の日常~
こはる「お母さん!今日ね?學校でね?たくさん発表したの!」
私「ふふっ、たくさん発表したの?すごいじゃない」
こはる「へへー」♪
こはる「それでね?ゆかちゃんと一緒におままごとしたんだよ!」
私「楽しかった?」
こはる「うん!」
全くこの子は何てかわいいのかしら
片手に買い袋、もう片方の手で娘と手を繋ぎながらふとそんな事を考える。だって!「頑張ったんだよ?だから譽めてっ!」と言っているようなもなのよ?それで譽めると「へへー」ってはにかみながら照れるのよ?かわいくないわけないじゃない!
親バカなのは自覚している、だけどあの人が殘してくれたこの子に甘くなっちゃうのは仕方ないとも思う
夫はこはるを産まれてからすぐに他界してしまいここまででひとつで育ててきた。
両親ともに他界してしいるため誰かに相談もできずに今まで育ててきたけれど、我ながらこの子は素直な子に育っていると思う。
學校での出來事や友達との事を楽しそうに話す姿を見ているとあの人をじられる
そんな娘と手を繋いで歩いていると、気品溢れる婦人が重そうな荷をもって歩道橋の階段を上ろうとしていた
こはる「ねぇ、お母さん。あのおばさんお荷おもそうだね」
私「そうだね?あの人困ってそうだね?」
こはる「こはるあのおばさん助けてくる!」
こはるが婦人の元に走っていく
こはる「大丈夫~?おばさん?」
婦人「有り難う。こんな老い耄れの事を気にしてくれて。お嬢さんは優しいのね?」
そう言って階段を昇ろうとしてるけど・・・本當に大丈夫かしら?
婦人「なんのっ、これしき!」
いやいや、無理しちゃだめでしょ。・・・・あぁあぁ、息切れてるじゃない・・・
婦人「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
こはる「おばあちゃん、お荷持ってあげるよ!」
婦人「大丈夫ですよ?お嬢さんは気にしないで?」
こはる「大丈夫!」
そう言うとこはるは重そうな、私でも持てなさそうな荷を片手でひょいっ、と軽々と持ち上げて、タタッ、と階段を掛け上がる
婦人「これは・・・驚きました。お子さん力持ちなんですね?」
明らかに力持ちじゃ済まされないレベルですけどね。
そう、この子は生まれつき常人の2、3倍の能力を持っていた。何故かは分からないけど。
普通なら人と大きく違っていたり優れてと威張りそうなものだけどこの子は威張るどころかクラスのいじめっこから友達を守っているらしい。そこもこの子が真っ直ぐ育ってくれてると思う由縁なのだ。何処に出しても恥ずかしくない自慢の娘だ。
こはる「おばさん、お母さん、早く!早く!」
私「そんなに急かさなくても行くわよ」
婦人「良くできたお子さんですね?」
私「我ながら自慢の娘です」
婦人「こんな老い耄れのためにあんなに思い荷を・・・」
私「そんな事言わないでくださいよ、あの子は大丈夫ですから。それにまだまだお若いじゃないですか」
婦人「ふふっ、これでも今年で86になりますのよ?」
私「えっ!」
86!?噓っ!?もっと若いと思ってた・・・
婦人「どうされました?鳩が豆鉄砲を食らったようなかおおなされて?」
私「っ、す、すいません。つい驚いてしまって・・・」
婦人「いえいえおきになさらず。皆さんその様なお顔をなされますので」
そう言って、ふふっ、と微笑む婦人。
なんと言う風格と気品、若い頃は相當モテたんだろうなぁ
婦人「其れでは行きましょうか、お子さんも待っていますし」
私「そ、そうですね、ははは」
二人で階段を昇る
こはる「遅いよぉ待ちくたびれちゃった」
婦人「免なさいね?しお話をしていたのよ」
こはる「うん!いいよ!」
いいのか、娘よ・・・
婦人「あ、そう言えば貴方のお名前を教えてくださるかしら?」
こはる「こはるだよ!」
婦人「こはるさんね?可いお名前ね?」
こはる「ありがとう!おばさん何て言うお名前なの?」
婦人「私?私は枝子よ」
婦人「みえこさんだね!」
婦人「ふふっ、そうよ。それからこはるさん、どうもありがとう。」
こはる「どういたしまして!」
婦人「お母さんも、有り難う座います」
私「あ、い、いえ、此方こそお役に立てたなら幸いです」
婦人「ふふっ、其れでは失禮します。」
そう言って優雅な婦人はこれまた優雅に去っていった。
私「なんだか気品溢れる婦人だったなぁ」
こはる「きひん?」
どうやら口に出していたようだ
私「そう、気品。あの人のような人に使う言葉だよ」
こはる「ならこはるもさっきの人みたいになりたい!」
私「なれるといね?」
こはる「うん!」
全く可いなぁ。あ、そうだ
私「こはる、明日は公園にピクニックに行かない?」
こはる「本當!?やったぁー!」
ふふ、喜んでる喜んでる。さて、明日はサンドイッチでも作ろうかな?
そんな事を考えていた私は思ってもみなかったのだ
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