《事故死したので異世界行ってきます》最終話 救世主
「準備はできたか?できたなら早くかかってこい」
瞬間巖をギリギリと踏み込み一気に翔かかるリベリアル。
それと同時に俺も追隨するかのように大きな音を立て踏み出した。
「【天迦霧雙ガラク・ザ・ファントム】」
リベリアルとルシファーを深い霧が包み込む。
「ほう……先程とは比べものにならない程に速く、そして一太刀に鋭さが増したな」
「ウォォォッッッツツ!」
リベリアルが全力でエンドラをルシファーに向け振り下ろす。
霧を纏ったエンドラは素早く振り下ろされを切り裂き骨を斷つかと思われた。
ガキンッ!
金屬同士がぶつかり合う甲高くも鈍い音が響く。
「我にスペルビアを出させた事を誇りに思い死ぬが良い。死を刻め……傲慢の劔・スペルビア」
この上なくしい漆黒の刀にこの上なく豪華な黃金の裝飾。まさに己を強者だと謳う傲慢・ルシファーに相応しい剣が今リベリアルに向けられる。その瞬間、剣を振って無いにも関わらず無數の刺突と斬撃が繰り出された。
「【霧幻雷斬ファントム・ライジスト】ッッツツ!!」
本能的に生命の危機を悟ったリベリアルはすかさず防を展開する。
そしてルシファーの刺突、斬撃は全て霧を切り刻み不発……するはずだった。
「グハッっ……」
「その程度の小細工で我が剣技をけきれるとでも思ったのか?フハハハッ!」
「リベリアルっ!!」
空のない天を仰ぎゆっくりと落下するリベリアルを抱きかかえて著地する。
著地するや否や俺はすぐさま回復魔法をかけた。
「ど、どうして……」
「無駄だ、何人たりともスペルビアによってけたダメージを回復することは出來ない。大人しく死を見屆けてやれ。それくらいの時間はくれてやろう」
無慈悲なルシファーの聲が俺とリベリアルの鼓を靜かに揺らす。
「グハッ……役に立てずすまない……」
リベリアルの腹部からは赤いがドロドロと流れ、咳き込むたびに鼻を刺す鉄のような匂いを放つ鮮が口から溢れ出ている。
「喋るなっ!!」
「私を救ってくれた事謝している……本當にありがとう……人類を救ってく……れ……」
その言葉を最後にリベリアルは息を引き取った。
「ウァァォァァアァアアアッ!!!」
俺の中で何かが崩れ去っていくのをじた。
「フハハハハハハ!!!元から勝てる見込みなど無いのに挑んでそして死んでいく、実に面白い!」
「殺す……お前だけは絶対に殺す……」
「やってみろ。まぁ無理だと思うがな?フハハ!」
「無屬魔法…【虛無の斷罪インフェルノ・ジャッジメント】」
そう唱えた瞬間ルシファーの顔が変わったのが見えた。
「っ!?無屬だと!?」
空間が歪み2の巨大な彫刻像が生み出される。
「スベテノ悪ヨ」
「スベテノ善ヨ」
「「我ノモトニ平等ニ裁カレヨ」」
二の彫刻像がそう言った瞬間、俺とルシファーの元に拳ひとつ分程の魔法陣が描かれた。
「な、何をする気だッ!!!」
「不可視にして不可避の一撃だ……」
「何をしたァアアアッ!!!絶と敗北を切り刻め・スペルビアっ!!!」
俺の方に向かって無數の斬撃波が飛ばされる。それらの斬撃波は全て巨像に遮られる。
「裁キヲ中止スル」
「「スベテノ悪ニ裁キヲ」」
俺の元に描かれた魔法陣は消え去り、ルシファーの元に描かれた魔法陣は徐々にへとって行った。
「やめろォォォオオッッツツ!!」
ルシファーは生命の危機を察し聲を荒げて彫刻像に向かって斬撃を繰り出した。だが傷一つつく事なく彫刻像はルシファーを睨んでいた。
「「斷罪」」
その音聲とともにルシファーの抗う聲は途端に消えた。
「なんとか……勝てたのか……」
「「スベテノ善ヨ我ニ代償ヲ捧ゲヨ」」
再び俺の元に魔法陣が描かれる。
「わかってるよ……だが、魔神の復活だけは止めさせてもらう……」
「「スベテノ善ニ告グ、ソノ行ヲ許可スル」」
「ありがとよ……」
俺はリベリアルの側にに落ちているエンドラを手に取り、祭壇に駆け上がり漆黒のオーラを纏った魔王の骸の頭に突き刺した。瞬間魔王の纏っていたオーラは飛び散るように消え去り、祭壇にはただ虛しく王の骸が孤獨に祀られている。
「「スベテノ善ニ告グ、代償ヲ捧ゲヨ」」
俺の元に描かれた魔法陣が回転しながら心臓に近づいていくのが実できた。
あぁ……俺はここで死ぬのか……でも、リベリアルの願いは葉えられたよな……
死を迎える寸前、走馬燈のようにリリカやリベリアル、ラギナにミルコ、それから學校の生徒たちと楽しく語り合った日々を思い出し不意に涙が零れおちる。
全てに覚悟を決め死を悟った俺はゆっくりと目を瞑った。
靜寂を切り裂くようにある一聲が耳に飛び込んできた。
「王族魔法【消去イレーズ】」
瞬間、スペルビアでさえ傷ひとつつかなかった巨大な彫刻像はみるみるうちに崩れ去り、心臓にっていく時とは逆回転をしながら魔法陣が元に浮かび上がり砕けるように消え去った。
「ラギナどうしてここに!?」
「ふぅ……なんとか間に合ったわ。相変わらず無茶な真似をする男よ。さぁ皆がお主の帰國を待ちわびておる。帰るぞ」
助かったと言う安堵、世界を救ったという達に包まれ俺は気を失った。
「うっ……ここは……」
目を開けると小汚く、低い天井が視界いっぱいに広がっていた。
「ユウくんっ!!」
その聲とともに、最の妻リリカに包まれる。シンも心配そうにこちらを見ているが目を合わせるとプイっと視點を逸らしてしまった。
「終わったのか……?」
「うん……終わったよ、全部終わったんだよ…」
その言葉を聞くなり、涙を流しながら、リリカを両手で抱きしめた。
「シン、遅くなってすまないな」
「こっちこそ……ごめん。國の恥だなんて言って……」
「気にするな、本當に俺は國のーー」
「ごめんなさいユウくん、もうシンには伝えてしまったの」
「そうか……え、えぇっ!?」
びっくりして反的に上半がムクッと起き上がってしまった。
「もしもの時に、ただ犬死しただけだと思われてはあんまりだと、儂が告げ口した所為だ。申し訳ない」
聲が聞こえてくる方に首を振るとそこにはラギナが立っていた。
「なんでこんなとこに!?」
「お父さん、今まで誤解してたよ」
「ど、どうした?」
「俺も、お父さんみたいな立派な國の英雄に。いや、人類の英雄になってみせるよ!!」
「ホッホッホ!これは楽しみじゃのう?」
ラギナが笑うとそれにつられるように俺とリリカも和かに笑いあった。
「なんで笑うんだよっ!!ぜってぇー親父を超えてやるからなー!!」
 
斯くして異世界の平和は守られた。そして民は、いや人類は忘れることはないだろう、平和を願いその為に命を賭した勇者リベリアル・ヴァン・ヴィルヴォルブと國王スズキ・ユウスケの名を。
彼等の名前は未來永劫語り継がれるであろう。
そして、英雄の息子もまた、無數の偉業をし遂げ語り継がれることになるのであった。
今話を持ちまして連載を終了させていただきます!
急に急ぎ足になってしまい申し訳無いです(T ^ T)
最後まで閲覧してくださった方、本當にありがとうございました!
評判がよければ後日談や、続編(シンのお話)も書かせていただこうと思います!
また、4/1からNo Heavenという題名で新作を連載する予定ですのでもしよろしければそちらの方も読んで頂けると幸いです(T ^ T)
今まで本當に、本當にありがとうございました!
No Heavenを読んで下さる方はそちらで、そうでない方はまたどこかでお會い出來ることを心より祈っております!
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