《Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜》突然の展開について行くのに必死なんですが? 後編
「私はあなた達と契約しに來たの。シルティス・ゲオルギウス。あなた達でいう、元・北の魔王って言えば分かってもらえる?」
サキュバスの口から放たれたその言葉は、魔の者たちを絶対悪だと聞いていた俺に対して、驚愕と違和をじさせるものだった。
◇◇◇
「シルティス、ゲオルギウス?」
あいにくながら俺がこの世界に來て聞いた主な魔王の報は、
・この世界に魔王が8人存在確認されていること。
・その魔王たちが悪神たちを復活させようとしているのでそれを阻止しなくてはならないということ。
・魔王の中で唯一ある程度の報が分かっているのが『バルトラ・アッシャー』だけだということ。
という3點だけで、一切北の魔王という名前は聞いたことがないし、魔王は昔から同じ魔族が務めているのだと思っていた。
すると、コウジがゆっくりと口を開いて言った。
「暴帝シルティス・ゲオルギウス……閃帝の前に北の魔王として君臨したサキュバスだ……」
「もう、そんなに構えなくっていいって! 私はあなた達と契約しに來たの。契約、魔族がその言葉を使う時は相手に隷屬を誓う時だわ」
真剣にこの場をどう切り抜けるかを考えているであろうコウジに対して、シルティスはおどけた雰囲気で話を続ける。
「あなた達、あいつらを倒したいんでしょ?」
「それがどうした」
何が目的なんだ、このサキュバス。コウジが今にも手を出しそうだから、要件を話すなら早いうちに話してほしい。いやまぁ、手を出しそうというか自己防衛の構えなんだけど。
警戒の意識を弱めないコウジに対して、シルティスはおちゃらけた態度で話を続ける。
「私はあいつらを殺さなくちゃ行けない理由が出來ちゃったから、とっととあいつらを消したいのよ。ただ、私の顔と能力はもう割れてるからさ。それであんた達、特にエイジってやつに報提供をしてやれって」
「してやれ?」
まるで誰かにやれと命令されたからやったかのような言い草だ。この世界に來てまもない俺を知っているやつなんて、極小數のはず。
「誰がそんなことを言ったの?」
コウジが、彼が打てる限りの最大級の魔法をストックし、いつでも打ち放てる狀態にしながらシルティスに話しかる。
「え、あんた達のところに連絡來てないの? 參ったわ、どうりでゴートの坊やが私の部下達を消したわけだわ」
ゴートの坊やが誰か一瞬わからなくなったが、容と狀況的にヤン兄であろうと判斷する。
「イリアよ、イリア。あんたらをこっちの世界に送り出した人」
イリア? 誰だっけ、それ。
「コウジ、イリアって誰だっけ?」
ぼそっと小聲で呟いて聞いてみる。
「俺たちをこの世界に送った神様だよ」
そんなやついたっけ? まぁいいか。これ以上コウジに迷かけて魔法の発を遅らせたら逃げられなくなるもんな。
「そうそう、あののこと。私が魔王をやめたから、悪神たちの加護がなくなってね。干渉してくるようになったってわけよ」
唐突な容にあっけに取られている俺たちを無視して話が進んでいく。あ、神(イリア)ってのことか。
「自分の前世の記憶を思い出して、魔王を辭めて隠遁生活をしようと思ってたら神から急に神域に呼び出されてね。勇者の加護を持ってこの世界にまた召喚されたってわけよ」
前世の記憶に何があって魔王をやめることになったのかはわからないし、魔王を倒す理由もわからない。
元から仲間として接してきたコウジの話は機がなくても多けれることは出來たものの、流石に敵だ敵だと教えられてきた魔族に対してそんな簡単に心を許すほど俺は人間ができてない。
むしろまともな人間をしているのは嫁たちの前でだけだと思う。俺、かなりの妻家で家族も強いからみんな平等にけれられます。可い2次元のの子に限るけど。
さぁ、このサキュバスのことをどうするか。ここは1番俺なんかよりも勇者歴の長いコウジが決めるべきなのだろうが、魔王というものの恐ろしさを知っている彼は簡単には、今の好戦的な考えから方向転換することは容易ではないだろう。
俺の場合はシルティスの砕けた話し方のおかげでだいぶ最初の印象は拭えてきている。信じられる相手なのだったら協力してもらうことに対して是非もない。
「お前が與えられた神の加護、お前の前世、そしてどうしてその前世を知り魔王をやめたのか、魔王たちを倒す必要があるのか。その機を一から説明しろ。説明次第では俺たちはお前をけれる」
「っ!? 何を言ってるの! こいつは、元魔王なんだよ!」
困顔でコウジがこちらを見つめてくるけれど、そんなことは知りません。ごめんけど僕には関係ありません。
「『正偽判決』指定、シルティス・ゲオルギウス」
俺の使用したこのスキル、このスキルは俺TUEEEEな発的攻撃力や敵を必ず消し去るなどの理効果は持っていない。
 
し・か・し・、俺はこのスキルは話が通じるやつとの戦いでは最も重寶するだろうと思う。
スキル『正偽判決』。指定した相手が噓をついたとき、相手のステータスを全て奪い去って朽ち果てさせる。ただし効果時間は5分。発中は発者と指定された人の攻撃、魔攻のステータスが一時的にゼロになる。
わー、すごーい! この能力を現実世界の裁判で使ったら、有罪=存在消滅だね! ぜひ法廷で働く皆さん、この能力をおにつけください。
「すべて簡潔に答えろよ? さぁ、まずお前の加護。チートスキルの名前と能力は?」
格かつ迅速に。五分の効果が切れる前に全てを聞き出さなくてはならない。
「能力名は『魔屬超特攻』、『実態分』。特攻の方は名前の通りで、実態分は、自分と同じステータスの分を50まで作り出すことが出來る。あなた達を連れ出した私の部下達はすべて実態分だわ」
「思い出した前世で何があって魔王を辭めた?」
「當時冒険者だった私が、大戦に巻き込まれて魔神に殺されたことを思い出したから」
「他には」
「故郷が焼き払われたわ」
「どうして魔王を辭める必要が?」
「魔神を復活させたくないから」
「魔王を倒さなくてはいけない機ももそれと同じか?」
「ええ」
「なぜ俺たちを襲った?」
「あなた達みんなを一時的に夢の中に閉じ込めて話を聞かせようと思ったのだけど、1人だけ効かない子がいてね。それで襲われたから反撃したってわけ」
一通り聞きたいことは聞き終わったか。事前にスキルの容でも知っていたのか、シルティスはミスを犯すことはなくすべてを答え終えた。
「さぁ、これでいい? 私と契約をして。あなたなら全ての魔王を倒せるんでしょう?」
「いいだろう」
俺はさきほどスキルを使用したこと、シルティスが噓を一度もつかなかったことを全てコウジに伝えた上で、俺が契約を行い監視下に置くという條件でシルティスと契約を行う事にした。
「何かあったらそいつのことはすぐ首チョンパだからね?」
まだ納得していない様子だったが、俺なりの考えなので納得してもらいたい。
俺がこのままもし魔王を倒しながら旅をする、となっても、今回のようにその場しのぎのチートスキルだけで全てに対応できるとは限らない。
それならば魔王達の報を俺たちよりは持っているであろうシルティスがいれば攻略は簡単になるだろう。
要するに、このゲームをクリアするための攻略本がシルティスというわけだ。
突然に舞い込んだ有利な展開に完全にはついていけていない気がするが、この手札を上手く使って、俺の能力で魔王さっさと倒してやる。
「じゃあ、やるわ。『命約ニヨリ、汝我ヲ付キ従エ、我ハ汝ニ全テヲ捧ゲル』。これで契約は完了。詳細はステータスにあるから読んどいて」
「ああ、分かった」
俺には家で待っていてくれるフィギュア嫁や妹たちがいるんだ。こんな所世界で時間を潰している暇なんてない。
「魔王なんてサクッと全員倒してやる。俺には、嫁たちの元に早く戻って、未消化のアニメを消化するっていう使命が殘ってるからな!」
そうもう一度に誓い直し、聲に出してぶ。なんなのか理解していないシルティスは、「あ、ああ、頑張って?」頭にクエスチョンマークを浮かべながら返事をする。
それに対して、俺の何故か橫でドン引きしているコウジ。あなたさっきまでピリピリしてた態度はどうしたんですか? 演技ですか? 噓つかれてたのなら僕は悲しいです……
普段人のことを考えない俺ができる限りでコウジのことを考えて行したというのに。ヤン兄は対象外だ。まぁ、俺たちを守ろうとしてくれたところだけは謝しよう。次殺されそうになったら消すけど。
ふとコウジの方に向き直ると、今も尚引き気味で俺からしずつ離れて行くので、『正偽判決』を連用し、彼のヲタクに対するイメージを3時間程かけて改正させた。
……ごめんけど目に見える形で俺の趣味嗜好に対して否定的なのは許さないよ?
その晩、コウジがなにかに魘されていたようだったけど、俺は何も聞かないふりをして、そのまま翌日の晝まで惰眠を貪った。
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