《Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜》魔王攻略會議中なのですが?
窟を無事に攻略した(あれを攻略というのかは甚だ疑問だが)俺とシルティスは地上で待っていた2人は魔避けを周りに立てて寢ている。
「そう言えば、窟でも思ったんだけどさ。シルティスって魔避け効かないわけ?」
そう。ほんとこれ疑問だった。魔って言ったって、魔族にも効果があるのは実証済みのものらしいから何も効かないってのはさすがに無理がある気がするのだが。
「まぁ、今は魔避けは効かないわね。イリアの加護があるから、世界の扱い的には魔族でも的には割と人間に近くなってると思うわ」
「へぇ、あのの加護ねぇ……」
「……たしかに、『あの』のかぁ……ってはなるわね……」
「……だな」
……ほんとに威厳ないよな、アイツ。もっと、なんかこう、『the神』みたいな格好出來なかったんだろうか。
ホント彼の場合はそこが惜しまれる要素だろう。
◇◇◇
夕食を取ったあと、シルティスが欠をし始めたのでそろそろ寢る準備を始める。さて、俺もそろそろ寢巻きに著替えるかと座り込んでいた重い腰をあげる。
寢間著を著る前に、昨日からを洗っていなかったので、寢ている二人を起こさないようにして、ゆっくりと夕食前に沸かして適溫に保っておいた湯に浸かり一服することにする。ついでにバスタブはドラム缶みたいな木の湯船を持參してます。要するにでかい木桶。
その湯船にコウジが水魔法で出したお湯をれて俺の風魔法で保溫をしたのだ。
「ご主人、ずるい……私も早くりたいからすぐ出て!」
「いやだわ、俺二日ぶりの風呂なんだからすぐ出るとかありえないから」
「ぅうううう! 早く出てよ、ご主人のケチ!」
児化がどんどん進んでますねぇ。でも、いくら可かろうと、ロリであろうと3次元は3次元。立に俺の至福のひとときはそんな簡単に奪わせないよ?
◇◇◇
「ふぁあえぇぇ、しふくぅぅぅぅぅ……もうあがりたくなぁい……」
俺が1人で一時間ほど湯船に使っていたので、ようやく湯に浸かることのできたシルティスは目を細めて気持ちよさそうにしている。
髪をまとめてタオルで抑えるあのスタイルは異世界でも共通らしい。口がオメガの小文字のようになり、目を細めて気持ちよさそうにしている。
湯船に使っているところ悪いとは思うのだが、し聞いておかなければいけないことがあるので改めて話を聞いてみる。
「そうだ、これ聞いておかなきゃいけねぇなって思ってたんだよ」
「なぁに、ご主人?」
タオルからはみ出た覚のような紫の髪を湯が伝う姿は、まさに漫畫やライトノベルで見るお気シーンだ……是非とも平面で拝見したかった。
……いや、今はそんなことを考えているのではないのだった。
「『バルトラ・アッシャー』の能力、そして戦力が知りたいんだけど、どれくらいの報を持ってる?」
「んー、私はあいつが魔剣士なんかになる前に魔王を辭めてるから正確な戦力は分からないけど、あいつの能力と魔剣士になる前の戦力なら分かるわよ? だけど、バルトラの報ならゴートの坊やたちがもう教えてくれたんじゃないの?」
「それでも結局倒せてなかったからなぁ……まだあいつらがなんか知らないあっても困るし、お前に聞いた方が確実だろ?」
「そう言っちゃえばそうなんだけど、それ、まるで坊やたちを信用していないような言い方ね?」
「ある一定のラインまでの信頼は置いてるよ。ただ、命を張れるほどの信頼は置いてない。まぁ、このスキルがある限りめったに死ぬ事は無いから、る命の価値はかなり低迷してるけどな」
「は言いようだわ……結局あの子達じゃ頼りないって言ってるんじゃない。それ」
「まぁ、そうなるな。頼りないよ、正直。ヤン兄は俺の攻撃でワンパンだし、コウジは殘念ながら戦っているところを1度も見てないから戦闘面の信用は薄い」
「ふーん、本格的に強者の思考に染まってきてるわね」
「俺はただ早く元の世界に帰りたいだけだよ。そのためなら合理的かつ最善の道を選んで、萬全の準備をして挑む。馬鹿みたいに無計畫で突き進んでも時間をかけるだけだ」
「ご主人は要らないところで計畫を発揮するわね……まぁ、その言葉が本心からの言葉とはとても思えないけど」
「俺はそんなツンデレさんじゃねぇよ。まぁ、今回の窟は無計畫でどれだけ行けるかの基準として考えればいいだろ。お前が服を溶かされるようなことがあるのが無計畫、それを事前に防ぐための計畫ってわけだ」
「クソ真面目なご主人見てると鳥が立ってくるわ……」
「失禮だなっ! 俺は自分のメリットデメリットに対してはいつも真剣だよ」
「ほんとにそれだけかねぇ……それが理由と言うよりは坊やたちにが移って守るために々考えているようにしか思えないけど」
「そんなことはいいからあいつの暫定戦力教えてくれ」
「はいはーい、ご主人の仰せのまっまにー♪」
窟で1度自決兼睡眠をとっているので今晩は眠らずに作戦會議だ。
◇◇◇
「要するにバルトラには幹部が50人いて、その幹部が出払っているタイミングで勇者たちが突したから一時的に追い込まれたと」
「そんなところだと思うわ、あいつのところは月一で幹部に休暇を與えて、東の魔王の『歓楽都市』に行かせるから」
「魔王だって魔族を雇用する立場って事か」
「うちの子たちは違ったけどね、全員サキュバスの筋で一番強い者に使える風習が殘ってるから」
「てことは北の魔王もサキュバスか?」
「あぁ、閃帝もサキュバスよ。私が剣を教えてあげたの。一閃も元は私の技! どう、ご主人。この間一閃使ったって言ってたけど、すごいでしょ、あれ考えたの私!」
「お、おう、そうか。すごいな……」
こいつ自分で俺に一閃教えたの忘れているのだろうか?
「でしょでしょ!」
はい、児後退の進み方がすごいです。もう最初の威厳がゼロ。
「話を戻すぞ。バルトラの幹部達は今は魔王のダンジョンにいると……面倒だな」
「ご主人が件を降ればみんな一撃で消えるだろうけどね……強いて言うならイストゥムが殘るかなってくらい」
「イストゥム?」
聞き覚えのない名前が出てきた。
「バルトラの幹部の中で一番強い魔法使いよ。他にもミネルヴァっていう理特化のやばいやつもいたけど」
「理が効きにくいってことか?」
「単純に魔法だけじゃなくてもできるってだけ。ただ、防値がどっちも高すぎるのよ」
「よくそんなことまで知ってるな……どうして?」
ほかの陣営の報をここまで知ってるのか。ここまでの報は実は期待していなかったのだけど。
「魔王達はお互いの勢力を牽制し合うために刺客を送って、互いの陣営の総能力値を確認するのよ」
「牽制ねぇ……人間に対しては暴を行って、魔族同士では互いに戦いが起こらないようにしてると」
「そんなところね。人間は40年くらいまえからイリアを進行し始めたばかりだから、鬼神や魔神が封印される前から彼らを崇めてた魔族にとっては、新しく現れた異教徒みたいなものだったのよ。無信仰のままだったら一切の襲撃はなかったでしょうけど」
そうすると、この世界に勇者を送ったことで存在を示してしまったあのに、多の責任があるのではないだろうか?
「魔族たちが協力して魔神と鬼神を起こそうとしてるってのは事実か?」
「事実ね。実際に魔王たちには背に封印解除のための鍵の紋章が刻まれていて、八つの鍵を二つのに収めてあの神二人をそのの中に復活させるのよ」
「お前は鍵は? 元魔王だろ?」
「魔王の代替わりで継承されたわ、ほら」
そう言って自分の背中を見せてくるシルティス。たしかに、そんな刺青とか紋章とかそのような類のものは一切見けられなかった。
「あれがあるだけで溫泉にれなかった時の悲しみは今でも忘れないわ」
「魔族でも溫泉刺青止なんだな……」
同時にいらない報を手……まじ使うことないと思うわ、これ。
「とりあえず暫定戦力として幹部達は倒せそうだっていう目星はついたけど、肝心のバルトラ本人の力はどの程度なんだ?」
「うーん、人間が言ってる通り、魔王たちの中でも例にれず最弱よ。先任のゴッテルだったら間違いなく魔王の中で最強だったけど、あの人は私と同じように過去を思い出した人だから」
「で、今は?」
そのゴッテルという魔族が魔王たちを倒すためにいているのならコチラとしては好都合、二手に分擔しているようなで魔王たちを効率的に殲滅していきたいところだ。
「彼は行方不明。『私は本日をもって魔王を引退させて頂く』って突然言って、継承終わらせたらすぐに消えちゃったらしいから」
期待薄か……それでも強い人なのならシルティスのように手伝ってもらうことを期待するのもいいかもしれない。今後、寄る先々で彼の報も調べてみるとしよう。
それにしても、この世界の人間はバルトラのことしか知らなかったので、かなり狹い視野で世界のことを考えていたのだが、正直スケールが思っていたものと違うな……
魔王は八人、敵の神は二人、未だに魔王に勝てたものは存在せず、最弱の魔王の報以外は魔王に関する詳細な報がない。これは俺の覚だと、事前報ゼロでヒロインを攻略しろって言われてるのと同じだ。
……さすがに無理がある。シルティスがいなかったら王國はこれからも、勇者団全滅のシナリオを繰り返し続けていたんじゃなかろうか。
ギャルゲ並みにドラマチックな展開を期待しているとは言わないが、無理やり転移させられたのだから、ほとんどの勇者は自分が活躍してチヤホヤされることを保証されたいだろう。
何度考えてもこの転移、ブラックだな。
「ご主人、バルトラのことなんだけど」
「どうした?」
黙り込んで思考していた俺にシルティスが話をかけてきたので、思考を一時停止して彼の言葉に耳を傾けることにする。
「言い忘れてたけどバルトラに魔法は使わせちゃいけないの。やつの周りには魔力の補給源として、魔力を大量に詰め込まれた魔達がいるから、そこの坊やに協力してもらった方がいいと思うわ」
「ヤン兄に? どうして」
「彼のスキル、『魔力喰らい』って言ってたわよね」
「お前との戦いにんでたもんな」
「あれは、魔や魔族の魔力を喰らうスキルなの」
「ほう、でも俺達が襲われた場合、萬が一お前の魔力が喰われたらどうする?」
「そもそもあれは暴走してしまうのがメインのスキルじゃないわ。自分が仲間として意識している人間の信頼が得られていないと暴走するの」
「……謎だな、なくとも俺は仲間として認識されていないだろうから問題ないだろうが」
「まぁ、人伝いに聞いた話だから。詳しいことはゴートの坊やに聴いてあげて」
そう言うと、シルティスは風呂から上がってを拭き始めた。
「ただ、私たち魔族より遙かに短命な人間のことだもの。魔族ですらすぐに思考なんて変わってしまうのだから、人に対する印象や考えなんて、流れるように変わっていくものだと思うわ」
寢巻きに著替えながら話すシルティスの、その臺詞に々くさいものをじながらも、そのことについて真剣に考えている自分がいることに気づく。
……明日、話くらいなら聞いてやってみるか。
今この時點で、ヤン兄に対する自分の考えが化しているのが分かり々照れくさくなったので、俺は新しい武を作って気を紛らすことにするのだった。
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