《Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜》健太郎さんどうしたんですか?
「エイジどのぉっ! あ、あれはどういうことなのです……ダンジョンのありとあらゆる壁が傷つけられ、最下層まで我々は1度も魔と遭遇することがありませんでしたぞ!」
窟からヒィヒィいいながらはい出てきた鎧姿の3人組。そう言えば昨晩窟にあの3人ってったけど、そんなに登ってくるのに時間がかかるようなところだろうか? ワープを使えないなんてことはないと思うのだが……
それにしても、あー、あの人たちほんとに最下層まで見に行ったんだー。てか、あんと俺の実力を見て危ない仕事頼み込んできたんじゃなかったんですか? ちょっと信頼されてなかったことに幻滅。後でボコっちゃおうかな!
「まぁ、さんざん魔湧かないようにしてきましたからね。それの何か問題でも?」
「問題多ありです! ここで勇者達の訓練をしようと思っていたのに、このようなことになるとは……」
「そんなこと言わても、こちらにあなたが教えてきた事前計畫にそのようなものはありませんでしたから」
「うっ……」
まるでおしいところを疲れたとでも言いたそうに、こちらを恨めしく睨む騎士団長。
「……その點に関しましては申し訳ございませんでした……」
なんなんだろう、この人。団長のクセに脳足リンなのかな馬鹿なんだね。
「暴帝さまぁ……もっ、もうやめてくださいよぉ……」
「ふぉっふぉっふぉっ、ここがいいんじゃろ? ここしかないんじゃろぉぉぉぉ!?」
久しぶりにシルティスたちのじゃれ合い中のセリフがあたりに響き渡る。
「な、なんと卑猥な!?」
「はい、家の隷屬魔達がお取り込み中なのでさっさと帰ってください」
「……行きますよ、二人共」
「「はっ」」
なんか騎士団長の目がキラキラしていた。危ないものに目覚めてしまったかもしれないな、王國の勇者たちが同人誌即売會を始めるのもそのうちだったりして。
朝食を食べ終えて腰を上げた頃には、疲れ果てたマキナと以上にツヤのいいシルティスが寢袋の上に橫たわっていた。
「……おい、そろそろ出発するから移の準備しとけー」
はい、もう何も驚きません。人數が増えた件に関してもノータッチ、戦力が増えた程度のプラスの思考で行きましょう。
「……ぼうてぇいしゃまぁぁ……」
「うふふふ、かーわいっ!」
……いいからもう支度してください、3次元でその花を咲かせるとちょっと生々しいんだよ。
すっかりお楽しみなシルティスを橫目に、男3人は旅の準備を進めるのだった。
◇◇◇
「さぁ、そろそろ出るか。団長たちが追いついてるってことは俺らが相當遅いペースだったってことだろうからなぁ」
ヤン兄がそういうが、あいつらが早すぎただけだと思う。だって俺たちは元ここに來る予定がなかったとはいえ、ベースキャンプに滯在していない分かなり時間的余裕があったはずなのだ。
絶対王國のヤツらなんか馬車よりいいもん隠し持ってたぞ、こら。
なんやかんや言いながら出発の準備を終わらせ、ちょうど出るという時に、窟の方から走ってくる一段が現れた。
「おーい、エイジー! どこ行くんだよ?」
先頭を走るのは、我らがクラス委員の健太郎。
「どこ行くって、騎士団長に頼まれたことをやりに行くだけだけど?」
「は? 頼まれたこと?」
「おう。魔王たちの偵察」
「……」
口を大きく開けて唖然としている健太郎。大のことは聞いていたのだろうが、やはり俺の口から聞くとポカンとしてしまうのだろう。俺自そんなことをやるキャラじゃあないからな。
「じゃ。俺らもう行くからさ。お前も頑張れよ」
「お、おい、ちょっと待てよ。なんでお前がそんなことを……」
「なんだよ、俺は早く魔王共をぶっ飛ばして元の世界に帰らなきゃいけないの。その為になら偵察でもなんでもするさ。そういうことだから早く行かせてくれない?」
なにが言いたかったのかはわからないが、健太郎は何かを言おうとしてやめた。
「じゃあな、久しぶりに會えてよかったよ」
俺はそう一言だけいうと、そのまま次の目的地である西の魔王のダンジョンの方に向かう。
先に止めてあった馬車にいつものように乗り込み、コウジが者臺に座って馬たちに目的地を伝える。
「……またか、またなのか……俺は何度弟エイジに先を越されればいいんだァ! 兄としてのメンツが立たないだろうがァァァ!」
「……何言ってんだ、こいつ」
ヤン兄が冷めた目で的確なツッコミをれている。ほんと、何言ってんだ、こいつ。
「ま、まってくれよ、弟よ、俺も冒険に連れて行ってくれないか?」
「いや冒険しないし、そもそもお前俺の兄貴じゃないだろうが。俺は長男だわ」
「うぐっ……」
「ケンタロウ殿、何をしておられるか!」
「ほら、お迎えが來たぞ」
健太郎の後方から全力でダッシュしてくる1団。え、なにあの馬、飛んでね? てか早くね?
「さぁ、王國に帰りますぞ。國の地下に保有していた人工の低レベルのもので申し訳ないが、そこで実踐訓練をしていただきます」
「くっ、エイジっ! お前のその辛い試練は、兄ちゃんが何とかしてやるからな、まってろよぉぉぉお!」
騎士団長の小脇に抱えられ連れ去られた健太郎は、悲痛なびをあげながら遠い空に飛んでいき、最終的に見えなくなってしまった。
「……キモかったな……」
「……あれみたいなのをホモっていうのか?」
「……俺にはわからない次元だ」
ヤン兄にホモについて詳しく聞こうとして見たのだが、やはり詳しくないらしい。
脳が百合レズで汚染されたあとのオスのやばいやつの出現は、いろんな意味でかなり応えた。
「……もう出発していい?」
複雑な顔で俺のことを見つめるコウジ。やめてください、の目を向けるのはっ!
「あんなやつじゃなかったと思うんだけどなぁ……」
走り始めた馬車の中、地球にいた頃の健太郎を思い出し、どうしてああなってしまったのかを真剣に考えてしまった
◇◇◇
「おおあえおエイジぃぃぃぃ!」
「ケンタロウ殿、うるさいですぞ!」
「わがこころのおとうとよぉぉぉ!」
エイジがドン引きしているとはつゆ知らず、當の健太郎本人は騎士団長に抱えられたまま、エイジへのをび続けていた。
「俺の弟は、おれがまもるぅぅ!」
「……私、なんでこんなやつ好きだったんだろう……」
隣を走っていた菜はそんな彼の姿を見て、これからは相手の格をちゃんと見ようと思ったそうだ。
風が強い王國の上空で、小脇に抱えられながら暴れる健太郎。到著直前に王宮の時計塔に向かって勢いよく落ちていって大怪我を負ったのはまた別のお話。
【書籍発売中】【完結】生贄第二皇女の困惑〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜
【書籍版】2巻11月16日発売中! 7月15日アース・スターノベル様より発売中! ※WEB版と書籍版では內容に相違があります(加筆修正しております)。大筋は同じですので、WEB版と書籍版のどちらも楽しんでいただけると幸いです。 クレア・フェイトナム第二皇女は、愛想が無く、知恵者ではあるが要領の悪い姫だ。 先般の戦で負けたばかりの敗戦國の姫であり、今まさに敵國であるバラトニア王國に輿入れしている所だ。 これは政略結婚であり、人質であり、生贄でもある。嫁いですぐに殺されても仕方がない、と生きるのを諦めながら隣國に嫁ぐ。姉も妹も器量も愛想も要領もいい、自分が嫁がされるのは分かっていたことだ。 しかし、待っていたのは予想外の反応で……? 「よくきてくれたね! これからはここが君の國で君の家だ。欲しいものがあったら何でも言ってくれ」 アグリア王太子はもちろん、使用人から官僚から國王陛下に至るまで、大歓迎をされて戸惑うクレア。 クレアはバラトニア王國ではこう呼ばれていた。——生ける知識の人、と。 ※【書籍化】決定しました!ありがとうございます!(2/19) ※日間総合1位ありがとうございます!(12/30) ※アルファポリス様HOT1位ありがとうございます!(12/22 21:00) ※感想の取り扱いについては活動報告を參照してください。 ※カクヨム様でも連載しています。 ※アルファポリス様でも別名義で掲載していました。
8 73【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい溫泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の溫泉帝國を築きます~【書籍化+コミカライズ】
◎アーススターノベル大賞にてコミカライズ大賞と審査員賞を頂きました。6月1日に書籍が発売されました!第二巻も出ます! 「魔力ゼロのお前など辺境に追放だ!」 魔法の使えない公爵家令嬢のユオは家族から『能なし』と疎まれていた。 ある日、彼女は家族から魔物がばっこする辺境の領主として追放される。 到著した貧しい村で彼女が見つけたのは不思議な水のあふれる沼だった。 彼女は持ち前の加熱スキル、<<ヒーター>>を使って沼を溫泉へと変貌させる。 溫泉の奇跡のパワーに気づいた彼女は溫泉リゾートの開発を決意。 すると、世界中から様々な人材が集まってくるのだった。 しかも、彼女のスキルは徐々に成長し、災厄クラスのものだったことが判明していく。 村人や仲間たちは「魔女様、ばんざい!」と崇めるが、主人公は村人の『勘違い』に戸惑いを隠せない。 主人公の行動によって、いつの間にか追い込まれ沒落していく実家、ラインハルト公爵家。 主人公は貧しい領地を世界で一番豊かな獨立國家に変えるために奮闘する。 全ては溫泉の良さを世界に広めるため! ビバ、溫泉! 自分の能力に無自覚な主人公最強のスローライフ領地経営+バトルものです。 戀愛要素なし、ギャグタッチで気軽に読めるようにしています。 ※R15は念のためとなっております。 誤字脫字報告、ありがとうございます! 感想は返信できておりませんが、とても勵みにしています。感謝です。 現在は月曜日・水曜日・土曜日に更新しています! ※書籍化に合わせてタイトルを変更しました。舊タイトル:灼熱の魔女はお熱いのがお好き?魔力ゼロの無能だと追放された公爵令嬢、災厄級の溫めスキルで最強の溫泉領地を経営する~戻ってこいと言われても絶対に嫌です。あれ、気づいたら実家が沒落してた~
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