《Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜》あなたマジで生きてたんですか?

戻る道中、道を間違えたのか通らなかったルートに來てしまった。

そこには明らかに俺とシルティスに切り伏せられたであろう魔族の死が丁寧に積まれた山が並んでいた。

訳が分からず、ただ黙って俺たちの後ろをついてくるだけの元バルトラの従者に聲をかけて聞き出すことにした。

「クシャナって言ったっけか? これはお前がやったのか?」

「……いいえ、違いますね……死した我が元主と似た匂いはしていますが」

「え、バルトラと似た匂い?」

意味がわからず、気の抜けた聲しか出せない。

「まさか、バルトラみたいな能力を持ったヤツらがまだいるのか?」

「まさか。あの方は特別ですから。普通の幽族(ゴースト)は魔族にしか乗り移ることができません」

「そうか」

今こいつにはスキル『正偽判決』をかけているから噓をつくことは出來ない。

「しかし、どちらかと言うとあの方の匂いというよりは、人の匂いと混ざったもののような気がします。おそらく先程まで寢ていた彼が目覚めたのでしょうね」

「人の?」

「……おい、まさか……」

「いや……ありえるかも」

いやいやいやいや、ヤン兄とコウジさんよぉ、お二人揃ってどうしたのかな?

なにか分かったのなら僕にも教えてくださいよォ。

「まだ可能の段階だけれど、この城の中にいる僕達以外の人間でバルトラの匂いが付いてるやつなんて、一人しかいないね」

「……ああ。益村だ」

「え、生きてたの?」

てっきり大量慘殺の時に一緒にを切ってしまったと思っていたのだけれど、さすがは勇者。俺が軽く振っただけの剣撃なら耐えれたのか。

「凄まじい防力だな、おい」

「あのは、常に霊裝サンティアを纏っていたゆえ、あのお方が気絶なさりから出てしまった時も、は生き続けたのでしょう」

そういったクシャナは、し不思議そうに「それでも魂が殘っていたことは謎のままですが」と告げる。

背丈は俺と同様にあまり大きくはない彼だが、やはり魔族。それなりの年月を生きているので知識は富なのだろう。

の山が続いている方ほどんどん歩いていくと、ガサガサと1人く影を見つけた。

「……あんたは誰た?」

「あ、いや、このまま彼らの死を放置しておくのもどうかと思ったので、せめて火葬しようかと思って並べてたんです」

俺のドスの効いた聲をの魔族の聲と間違えたのか、目の前にいる人間は焦って饒舌になった。

「おい、慌てるな。俺は人間だよ」

「え、人間?」

「あんたこそ、まさかバルトラだっていうオチじゃないだろうな?」

「な、何を言ってるんだ! あいつは知らない間に俺のから抜けて、消えていった」

人影がゆっくりとこちらに向かってくる。

「俺の名前は益村浩一郎。ここまでくる人間ってことは、あんた勇者だよな? 俺のことを聞いてないか?」

「ああ、常々聞いてる。こいつらからな」

そう言って俺は後ろの2人を指さす。

「……よう、益村」

「おかえり、益村くん」

2人が驚いて大したコメントを返せないので、俺は會話を割って質問をすることにした。

「あんたの魂、本來は殘っているはずがないらしいんだが、なぜ生きていた?」

「それは、だけは生きていた人達は、一時的に魂がイリア神の所に保管されるらしくて、そこにいたからだ」

「あの、そんなこともやってたのか」

「はじめは本気で焦ったけどね。『死にかけのあなたの魂を一時的に救済しますです』とか言われたら、もう何が何だか」

「さすが超傲慢荒野だな」

「……ちょっと良くわからないけれど多分そんなじでいいと思う」

「多分でそんなことを言っちゃいけないぜ? 超傲慢までは分かるだろ? あの人間に対しての高圧的な態度。俺たちに頼んでいるはずなのに、なんか妙に上から目線に見えるヤツ」

「ま、まぁわからないではないけど」

益村が困り始めているけれど、無視して俺は続ける。ストレスを吐き出すには人の悪口が1番だっていうらしいよ? はいそこクソ野郎とか言わない。

「荒野は真っ平らの意味だよ、真っ平らのな。今どき二次元や2次元ロリでももっとある。なくとも、あー? さくらんぼ程度?」

「お、おう」

「だけどあいつは斷崖絶壁というか、あたり一面が荒野だからな。さらに言えばあんな荒野で行するやつなんていないだろ」

『《稱號》

神を冒涜するもの』を手しました。

神を冒涜するもの』

たまたま神が下界を除いたタイミングで悪口を言われていたので、腹が立って勢いで作った稱號。

神イリアからの『わたしはいつでもあなたのことをみていますからね?』の意が込められた、世界で一つだけの稱號』

……いや、見られてたから特になんなのってじなんだけどね……あの、頭までちびっこなんじゃなかろうか。もっと、能力制限とか々考えるところあっただろうに。

何となくの話をするのも飽きてきたので、ここまで來た俺たちの経緯を益村に説明し、彼が今後どうするかを話し合った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「では、行ってまいります」

「數分くらいしかかからないでしょうに」

「いえ、この人間の耐えれる速度で行くので、1時間ほどかかるかと」

益村は一度王都へと戻ることになり、俺の使い魔として(正確には違うけれど)マキナが王都まで益村を送ることになった。

俺とヤン兄、コウジの印を押し、益村の事を説明した手紙を益村に渡しておいたので、彼が魔王だのなんだのと迫害されるようなことはないはずだ。

一応、あちらに付いたら小泉健太郎という奴に事を説明しろ、俺の名前を出したら一発だ。と言っておいたので、なんとかなるだろう。

あいつのよく分からない分も、利用できるのならした方がいいからな。

「では、いくよ。コウジ、カスカ、またいつか」

「おう」

「すぐに帰るよ!」

そう言って、飛び始めたマキナの足にぶら下がって、數分後にはもう姿が見えなくなっていた。

「よし、俺達も次に行くか」

「次は、リンシャね。人間でいう第2魔王」

「第2魔王ねぇ……人間には名前くらいしか伝わってないんだろ?」

この世界の人間は、敵の報に対して疎すぎるのが常識。よって確定で最低限の報、名前くらいしかわからないだろうという俺の考えだ。

「ああ。分かるのはリンシャっていう名前だけだな」

……はい、大當たり。

「あの子は、ある意味では1番強敵かもねぇ……」

「ん、どういう事だ?」

「まぁ、見ればわかるってじかしら…私の口からは説明出來ないわね。なんて言ったらいいかわからないもの」

「とにかく行けばわかるんだな? コウジ、馬車を出してくれ」

「了解っ。リース、セイル、行くよ!」

馬の名前を呼び、馬車を呼び出したコウジ。その馬車に急いで乗り込み、俺たちは次の魔王、氷王リンシャの住む王都南の土地『アルカナムト大冷原』へと向かうことにした。

「……はぁ、早く嫁たちをでたい」

俺の目標を達するには、今までと同じ作業をあと7回繰り返さなければいけないらしい。

めんどくさいなぁと思いながらも、やらないと嫁たちが皆途方に暮れてしまうので、とにかく早く帰らなければ。

家族のいない俺にとって嫁たちフィギュアは家族のようなものだ。

今は手元にいないフィギュア家族たちに思いを馳せながら、俺はゆっくりと眠りに落ちた。

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