《Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜》不意に昔を思い出したんですが? 1

「おい、起きろよエイジ」

ヤン兄に頬をバシバシと叩かれて目を覚ます。なんだかこんなふうに起こされるのはなつかしい気がした。

理ダメージは一切ないのだが、叩かれた覚はそのままなので正直反で痛いと言いそうになってしまった。

結局旅立つ前にクシャナと擬似隷屬を結び、彼をどんな時でもすぐに召喚できるように簡易魔法陣をシルティスに組んで貰った。

クシャナは西の地方に住む人狼の一族の1人らしく、シルティスは弱いと言っていたけれどもバルトラの従者の中ではそこそこ強いほうだったようだ。

「ったく、朝くらい自分で起きれねぇもんかねぇ……」

晝寢ばかりしているやつに言われるのは心外だが、突っ込むのはめんどくさいので何も言わないことにしておく。

最初こそ頭のおかしいやつだと思ったものの、その理由がわかれば案外簡単に彼をれられた自分にかなり驚き、どれだけ俺の頭は人を疑うことを知らないんだとツッコミをれたくなった。

「さぁ、今朝のメニューはハムエッグサンドとカツサンドだよ!」

定期的にクシャナの魔法陣を介して送られてくる王國の追加資のおかげで、俺たちの食料はむしろ増え続けてしまい、収まりきらなくなったために、マジックバックをワンランク上げることでなんとか対応ができた。実質五年分の食糧である。

今ではクシャナが王國と俺たちの中間をしてくれているおかげで資には困らなくなったので、あのときに消さなくてよかったと思っている。

結局今までとった行が全て後悔しなくて良かったのだと自己確認しているように見えてし気持ち悪いけれど、力を持っている分、間違った行をとってはいけないと気張っていたのは事実だ。正確にいうと、限度を過ぎた能力と言うべきかもしれないけれど。

昔から何事にも飽きやすく中途半端な正確なのは自分でもわかっている。だからこそ、人並みの生活が送れる程度には自分を縛ってきたのだ。父も母もいなくなり頼れる親戚も折らず、あまつさえ姉まで嫁りしてしまって半絶縁狀態で孤獨な俺の中では、そうやって自分を縛ることでなんとか自分を保っているという気になっていた。

それでも見してしまった本は隠すことは出來なかったが、それこそ今となっては同類が多い社會。不躾に扱われることは無かった。

久しぶりに地球にいた頃を思い出していると、不意に家族たちのことを思い出した。

……今となってはだいぶ薄れてしまったけれど、やはり思い出すと心が痛むどころではすまないような出來事。

あの出來事さえなければ、俺は今、ここにいることは無いんだろう。

俺たち家族がいろんな意味で終わってしまったあの日を、俺はもう一度思い出していた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーエイジ、ほら、エイジ!ーー

何も考えずにただただのんびり寢る。これぞ休日の最上級の嗜みだろう。そんな紳士の嗜みを妨害され、憤りはじたけれど、聲の主には勝てる気がしないので仕方なく目を覚ます。流石にあの姉さんには勝てない。無理。

「んん、起きてるって……」

頭上から響く怒聲に、痛む頭を抱えながら応答し、起きていますというアピールをしてもう一度布団をかぶり直す。

「あっ、ちょっと、やめなさいっ!」

この寒い時期に布団を剝ごうとしてくる鬼畜なこの姉を誰かどうにかしてはくれないだろうか……

「よし、こうなったら仕方ないわね……」

姉は俺の寢る六畳間の和室の端まで下がり、クラウチングスタートの姿勢をとったかと思うと、そのまま助走をつけて大きく飛び上がり、俺の顔面に向かって膝をぶち込みに來た。

寢起きプロレスは朝の基本なのでとにかくそれをわす。流石にあのキングコングニードロップみたいな技を食らえば、五満足で生んでもらった俺のが殘念ちゃんになり兼ねない。

いくら人に好かれる方ではないといえども、周囲にガン無視されたり超絶嫌われていたりするわけじゃないのだ。

今より下に落ちたら、確実にそのポストに落ちてしまうだろう。現代中學のなんて、だいたいそんなものだ。

顔や績で全てが決まるのだからそれが集団生活の恐ろしいところだな。

「ちっ、私の技よけられるくらいならはじめからちゃんと起きなさいよ!」

「日曜日くらいゆっくり寢かしてくれてもいいじゃないか……」

「今日は家族みんなで東京旅行でしょ!?」

ああ、早とちりしてるんだな、姉さん。東京旅行に行くのは父さんと母さんだけ。俺たちは家で留守番なんだけどなぁ。

「姉さん、聞いてないの? 俺たちは今日、家で留守番なんだけど」

「え!?」

「昨日の晩飯の時にも言ってたよね?」

「……」

まるで魂が抜けてしまったかのようにその場で固まってしまった姉を、とにかく別の場所に移すために背負う。

姉の部屋には勝手にるなと言われていてると面倒なので、とりあえず居間まで運んで放置。

重いものを運んで疲れてしまったので、俺もそのまま今で朝食をとることにした。

「あ、エイジ〜、サヤカ〜、行ってくるからね〜」

「ほい、行ってらっしゃい」

やけに楽しそうな聲で玄関へと向かっていく母さんを見送る。どうやら父さんは先に車に向かっていたようだ。

靜岡県中部の北側に位置するこの街は、ド田舎と言っていいほど未発展な町である。車がないと生活ができず、店も多くないために街まで買出しに行かなくてはならない。

俺達一家は昔からここに住んでいる訳ではなく、あとからんで引っ越してきたのでなんの不満もないのだが、俺や姉さんと同學年の中高生からは不満の聲しか聞かない。

「こんな田舎やだよ、こんな生活やだ」とか、「來世は東京の(以下略)」とか、「どこにもシャレオツなじぇいけーがいない」みたいな夢見がちな若者たちがどんどん町から出ていってしまうせいで、人口減がものすごい勢いで起こってしまっているというのが現狀らしい。

むしろ、あんな息苦しい町よりもこういうのどかなところにいて、時折都會に出て買いをするくらいが夢があってちょうどいいと思うのだが、この覚は確かに一度住んでみないとわからないかもしれない。

なんでも揃いすぎるというのが、なんかこう、気持ち悪い。どこに行っても建が立ち並び、人が溢れかえっていて、常に誰かに見られてるきがしてならない。

そんな苦行を行うためにあるような場所に住みたいという神は、実際そこに住んでいた自分たちとしては信じ難いものがある。

「はぁ、婆ちゃんたちの新居見たかったなぁ……」

フリーズが溶けて殘念そうに座り込んだ姉さんを見ながら、俺は靜かに二人分の朝食の準備を始めた。

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