《Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜》ノアのゲームってなんですか?

イースベルとの戦いが終わったあと、盛大に宴が行われ、ベースキャンプは來た時以上に騒々しくなった。

そんな宴も終わり、みんなが眠りについたころ。シルティスがこちらへやって來てループの経緯を話そうとしたが、ある程度わかっているからと斷った。

どんなことでも知りすぎることは罪だ。賢者はあれは事を知っているのではなく、罪にならない範囲で完璧な回答をあてがってくるだけ。これもコウジの弁だったりするが。

知ってはいけないことを知り、死んだ奴らなんてたくさんいるんだ。國だってそういうことしてたかもしれないし、それこそ、あの時の東京の景もそうだろう。知りすぎた人間がいたから生き返ること無く、その場にいた人間はみんなそのまま消された。

今殘っている記憶が正確なものだと証明できる両親のもこの場所にはないし、あれ以降の記憶がすべて造されたものかもしれない。自分の記憶が信じられない。と、考えていくと延々とマイナスに考えられてしまうが、それでもあの凄慘な出來事が夢の中のものだとは思いたくない。しかし忘れたいということも事実の中にあるのだからすこぶる厄介だ。

ししか分かっていない段階でこの有様だ。すべて知ってしまったら更にマイナス思考は止まらなくなるだろう。知を得ることはマイナス思考のブレーキを外してしまう行為なのだ。

好きなことだけ考えて、あとは適當に頭の隅にとどめるだけ。そうすればいいだけだと言うのに、こちらの世界に來てから昔を思い出す機會が異様に多い。

そのような効果がスキルにあるんだとしたら、ぜひとも早くこの冒険を終わらせて元の世界に帰ってとっととスキルとおさらばしたいものだ。

「ご主人、『シンクロ』」

唐突に橫にいたシルティスがシンクロを使ったため、脳にいっせいに報が流れ込んでくる。

今までの俺はどうやら火の付與魔法を覚えれずに苦戦していたらしい。ほかの付與魔法はすぐに覚えることが出來たから簡単だと勝手に思い込んだ。そこが失敗ってところか。それにしても無理やり教えてくるとは。

……しかし、重要なのはそこではない。今回のイースベルと前回のイースベルは何かが違うとは思っていた。喋り方にしろ攻撃パターンにしろだ。

それがこの記憶を見るとさらにハッキリする。イースベルは毎回違う攻撃パターンをもち、毎回違う格の個がここを襲撃しに來ている。

これはどういうことなのだろうか。

そして考慮すべきは魔族であるシルティスが、しっかりと人間側に裏切ったと報が知れ渡っているということ。

バルトラとの戦いの時に時間をかけすぎたか? 魔族間の流によってシルティスの現在の狀況がバレてしまったかもしれない。

となるとこれは非常にやりにくいだろう。コウジの話だと、魔族の中には強い魔族の発する魔力で場所がわかるという個がいるという。人間の魔力はじられないらしいのでこの間必死に魔力の気配とやらを消そうとした俺の努力は必要なかった……

一方シルティスは常に位置バレ狀態。

シルティスが俺たちと行していることがバレたということは、シルティス=勇者を倒すための目印になり兼ねない。

狙い撃ちされたり、待ち伏せされたりと々面倒なことが起こるかもしれない。ある程度の気配は消せるらしいがそれでもさすがにし無理があるようにじた。

……イースベルの格の謎は、とりあえず南の魔王のところに行けば何かわかるだろうから、今後の行しだいだな。

今のシルティスからけ取った記憶で、リプレイもしすぎると逆にわからなくなることが分かった。

これからはなるべく命を落とすような危険は避けて通るべきだろう。

なにせ、今回のように防力など関係なく丸呑みにしてくるような奴がいるとも限らないからな。

シンクロしている間に脳でテキパキと今後頭に留めておくことをまとめ終え、ちょうど手頃な位置においてあった焚き火が切れたのでキャンプの中で寢ることにした。

「ふー、久々の睡眠だわ……」

「お疲れさん……」

ひどく眠たげなシルティスに一聲をかけ、俺も久々に一眠りすることにした。

生活リズムの正常化は大切だお。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『あー、1號やられちゃったかー』

『私たちの中じゃあいちばん弱かったから、當たり前といえば當たり前ねぇ♡』

『それでも無限にある命じゃあないんだ。しっかりと考えて使ってしかったものだよ。なぁ、2號』

『だねー、コアまで破壊されちゃったら母様の修復も効かないしねー』

『……』

『4ちゃん、だまりこけちゃあだあめ♡』

『……うるさい、5號』

『えーー♡ もうっ、イケズねぇ♡』

雪が降り積もる中、4人のイースベルが楽しげに會話をしている。

氷子イースベルは人間でいうところのホムンクルス、人造人間のようなものである。

彼らは1人目の死後、どのようにして彼らを母である氷王に近づけないようにするかを議論していた。

『5號、この場合は4號の言っているとおりだ。ふざけるんじゃあない』

『もう、3ちゃんもお堅いんだから♡』

全く同じ姿の4人が、向かい合って異なる口調で話しているというものは見ていてかなり不思議なものだ。

に1人張り込んでいた柳沼桃花は、この會話を聞いてある人を思い出した。

(……まさか、こいつらの言う1號を倒したのって……ヲタみん?)

コウジとマキナの寢ている間に抜け出してここまで來た柳沼は、巖の後ろで擬態魔法を使って巖に化けていた。

(ヲタみんにも倒せたってことは雑魚なのかな、あいつら?)

いまだにエイジの強さを信じることの出來ない柳沼は、そのように思考すると自のスキルを発させる準備をする。

(『連撃』!!)

スキル『連撃』。一打につきレベル×所持スキル÷2の數値の數だけ相手に攻撃を當てる技。

言ってみれば普通1回の攻撃が、レベル25、スキルを3つ持っている人が使えばば、37回攻撃になるということだ。

この例は柳沼本人のもので、彼はこのスキルを使って數々の敵を打ち倒してきた。

が、しかし。彼のその圧倒的な自信と傲慢から來る強さはイースベルたちに屆くことはない。

『お姉ちゃんっ、こんなところで何してるの?』

「え?」

背後からの聲に振り向くと、そこには片手に木箱を持った年がたっていた。

『お姉ちゃんがこんなところいると不都合なんだ、だからね……』

殘酷な笑みを浮かべて箱を持っていない左手を掲げると、柳沼に手のひらを向けてこう言い放つ。

『消えてもらうね?』

「は?」

瞬間、柳沼桃花という存在はこの世界から消された。

當の本人は晝間なのに誰もいない學校に、1人でぽつんと返された。

『さぁ、そろそろ第2ゲームの仕込みをしなくちゃ』

年は獰猛な獣のようにクククとを鳴らしながら笑い、一瞬でどこかに消えてしまった。

『ノアのゲームの始まりだよ!』

その場にこだましているはずの年の聲。しかし、その聲がイースベルたちの耳に屆くことは無かった。

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