《Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜》打倒魔神軍ってスケール大きすぎやしませんか? 3

自分の記憶なんかよりもはるかに度が濃く、それでいて膨大な量のシルティスの記憶の中で、重要そうな部分を一つ一つ手繰り寄せるようにして自分の中に収めていく。

本來ならばそんな意識もなく、心そのものが完全に同化してしまうのだが、今回はそれをシルティスが激しく拒んだようでこちらが一方的に記憶を引き出すことができるという不思議狀況に陥っていた。

ところどころ鍵がかかったかのように閉ざされた記憶があるのだが、よく覗いてみるとそれはどうやら最近の記憶であり、パッと見今回の件には関係がなさそうだった。

閉ざされた記憶の中から時折れてくる聲は、まさになにかに甘える貓なで聲のようであり、聞いていて心落ち著くものではない。

『お兄ちゃんっ♪』

……塞がれた記憶の端から、人そんな聲がれた。瞬間、なにかが大きく音を立てて崩れる音が聞こえた。シルティス本人がらすまいと必死になって隠していた記憶も、やはり『シンクロ』の力の前では無力なようで、完全には塞ぎきれなかったらしい。

『あ、あぁもう好きにして!』

ヤケになったシルティスが、記憶の開閉の主導権をすべて俺に委ねた。今更そうするのなら最初からそうして頂けるとありがたかったんですが?

『……うー……』

何も言えない、というじで。しかしすこぶる怒っています、という意思を思い切りこちらにぶつけてくる。

プライベートは見ないにしても重要なとこほだけ抜き取るのは至難の業なのですけど?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

……何とか必要な記憶を見つけながら、現在の狀況を把握し終え、シンクロもちょうど解けた。

……シルティスよ、自分にとって都合が悪い記憶は勝手にでも俺にシンクロして消しなさい……さ俺も々見たかないものを見てしまった……俺はお前がそんなやつだとは思わなかったよ……

シルティスが俺に対して抱いていたのは家族の、それも兄妹のそれだったが、俺にそんな趣味はない。妹はいらないな、出來ればヲタトークができる弟がしい。

そんな俺の思考を読みとってか否か、シルティスは先程からこちらを睨んでは「シャーッ」と、貓のようにガン飛ばしてくる。

「あぁもうわかったわかった、もう無理矢理シンクロはしないし、変に々探ったりしないから」

なぜ俺が下手に出ているのだろう。子はいまいちわからんな。

「次やったらもう許さないから……」

それだけ言うとそそくさとキャンプの中にっていってしまった。

「あそこまであの子を怒らす人は初めて見たよ」

「割としょっちゅう怒ってると思うんだが」

あってからご主人ご主人と呼ばれる割には、俺が叱られる立場なきがする。

「……あー、君すかれてるんだn」

その瞬間、それは空をヒュンッと音を鳴らして橫切った。

「エルン、余計なことは言わなくていいのよ……」

漫畫ならばゴゴゴゴゴゴゴゴゴと間違いなく騒な擬音が當てられそうなほどに、シルティスのいる場所がどす黒く見える。

「今日は最初から何もなかった。いいわね?」

『は、はい……』

テントの口から圧倒的貫祿でこちらを見つめているシルティスに、一同全員で必死の返事をする。

先ほどと飛ばされてきた氷の刃は、見るも無殘に々になっていた。俺が握って相當なさだと思ったので、一シルティスがどれくらいの強さで投げたのか、し恐怖をじる。

「……あー、俺ちょっと外回りしてくるわ……

そう一言殘し、俺は周囲の狀況を見張りつつ今後のことを考えていた。

打倒魔神軍、そんな目標を掲げている魔族の集団がいるだなんてことは明らかに予想外だったし、シルティスがそんなことをしていたというのも予想外だった。

この手のジャンルのゲームを多くこなしてこなかった俺にとって、今までやってこなかったことが大きく裏目に出たということだろう。

この先の展開が全く読めないのだ。

このあとどうなるか、なんてことは、今まである程度予想がついていた。しかし、今回のイレギュラーなじたいあの発生から何もかもが大きく一変している。

【打倒魔神軍】、面倒くさいことに片足を突っ込んでしまったなぁ……あぁ、早く家に帰りたい……

それにしても周りが靜かだな。夜だからだろうか、來る時には聞こえていた達の何聲もすっかり消え失せている。

「!?」

唐突に敵知に何かが引っかかる。

先程シルティスとシンクロした時に自的に発をしてたらしい。周囲に敵がいなかったので気が付かなかったが。

……後方から向かってくる2つ、左斜め前方から向かってくる1つ、右斜め前方にかない敵影が1つ。パーティースタイルか。面倒くさい……

紅羽と黃羽もないし、ここはとりあえずさっきの氷で急造の剣でも作って戦うか。

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