《Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜》ちょっとオーバーキルじゃないですか?
「あっははははは、オラオラオラァ、どうしたよォ、さっきまでの威勢はよォ!」
「ちょっと、どこの悪人ですかそのセリフ」
あれま、ミツアキに突っ込まれてしまった。しかし俺は止まらない、人の怒りは簡単には止まれねぇ!
周囲の水分をこそぎ吸い取ってどんどん魔力に変換、その魔力で水分を吸い取っての繰り返しをしつつ、時折現れ敵共に炎熱の一撃を食らわせて焼失させる。
まぁ、なんてお手軽な作業なんでしょう、先のイースベルとの戦いの時にこれを考えついていれば、あんなに面倒くさい思いせずに済んだのにね。
「さぁゴミ共死に曬せェ!」
「どっちが人類の敵ですか、全く」
ミツアキに小聲で叩かれながらも、ただひたすらに両手の付與魔法を発させて周囲の狀態を変える。相手に適していてこちらに適していないフィールドだというのなら、まずフィールドから作り替えてやる。
「……はァ、うちのご主人は一何をやってるのかしら……」
「なんかよくわからないところでキレてます。緒不安定すぎません? あそこまで々ひどいと人としてどうかと思うんですが」
「まぁ、一人の人間があれだけの力を持ってしまった時點で人間はやめてるわよ。力に溺れてないとか思ってるつもりだったろうけど、いざ生活していくのに力がないとまるでダメなんだから」
「ねぇ、シルティスさん聞こえてるよ!? 流石にちょっと辛辣すぎないかなぁ!?」
増援に來てくれたかと思ったら悪口ですか、そうですか。あ、ミツアキ、後で覚えてろよ。まるで人間の仕打ちとは思えないくらいにズタズタにしてやるから。
「とりあえず今はそのことは置いといて、ご主人、これ持ってきたわよ」
そう言うと、シルティスは俺のいる場所に向かって紅羽と黃羽を投げてきた。
「おー、さんくす」
両手の付與魔法を一時的に解除して雙剣をけ取ると、更にその雙剣に付與魔法をもう一度かけ直す。
やはりと言うべきか、何かに付與魔法をかける方が能は安定するようで、両拳に付與魔法をかけていた時よりも出力が10倍ほど、燃費が3分の1程に減ったようだ。
ねぇ、そういうことでわかるようになってきた俺ってすごくない? あ、別にナルシストなんかじゃないんだからねっ!
『な、なんなのよ、あの化け……私たちに勝てるわけないわ!』
『5號、5號! お前の魔法であいつのきを止めるんだ!』
あわてふためくイースベルたちの聲を遠くに聴きつつ、炎熱屬を持った剣を大きく空に向かって振る。
一気に気溫を上げられた雲の中の水蒸気は、行き場を失ったと言わんばかりに唐突に大粒の雨となって地に降り落ちてくる。
「さぁもう1発!」
先程振った剣とは異なる剣で今度は自分の周囲360度を大きく薙ぐ。
土屬と水屬を同時に付與された黃羽は、水を吸い込んだ瞬間に魔力に変えていた拳のようなら段階をふむことなく、斬撃の風が屆いた範囲の雨全てを、一瞬にして俺の魔力へと変換した。
『親なる我が娘達よ、そのものを何としてでも抑えなさい! 殺害も許可します!』
戦闘を始める前に聞こえた、魔王と名乗った奴の聲がもう一度周囲に大きく響き渡る。何かのあん時でもかかったかのように、宙を飛ぶ魔法使いの群れとイースベルたちは、俺に一斉に氷の魔法をかけてくる。
流石にこうなると全方向避けるのはめんどくさいんだけど、さっきから音が聞こえてるから大丈夫そうだ。
「俺のことを忘れてもらっちゃあ困るぜ」
ほら來てたわ、1番面倒くさいけど、対イースベルに対してはチートだったトンデモ野郎が。
「『善悪隔てしラスト・神の大聖火ジャッジメント』」
背後から聞こえたその聲に反応し、空から赤々と輝くマグマのようなものが垂れ落ちてくる。
俺のにも當たったが不思議と痛みや熱さはなく、むしろが休まるような気さえした。
一方、飲み込まれた魔法使い共やイースベルは、最初こそ雄びをあげていたが、しばらくするとその聲も消えて、敵知のスキルにも反応がなくなっていた。
「『ゾロアスター』に加えて『神の審判』と來たか。どこのゲームのチートキャラだよ、ヤン兄。てか、ヤン兄暴走した時悪神の方じゃんかよ、姿」
いろいろ突っ込んでみたけれど、そもそも、後方とは言ったけれど近くはなかったので聞こえなかったようだ。
それにしても、『魔力喰らい』、チート過ぎない? 敵認定されて萬全の狀態でこられたら俺勝てないかもね、ちょっと舐め腐りすぎてたわ。
「おいおい、歴代最強の勇者さんよォ、これくらいチャチャッと片付けろよ」
「何ニヤニヤ煽ってきてんだ、ヤン兄のクセして。てめぇまた暴走させられてぇのか? あぁ? お前への信頼なんて、俺の心境しだいで一瞬で変わるんだぞ? 肝に銘じとけクソ雑魚が」
あー、なんかもういいや、あいつやっぱ嫌いだわ。
「ご主人、説明も聞かずに外に出てっちゃうから何事かと思ったわよ」
「あの引きこもり狀態でもなお説明を続けてたのかね、君は」
「もちろんよ、それこそ外にイースベルがいるということををエルンが教えてくれたんだから、どうやって倒すかの作戦會議的なものをするところだったわよ」
「その教えて暗た當の本人はどうしてる」
「あの子にはキャンプ地を守らせてるわよ、あのこの能力だとイースベルたちに不利だし、戦い向きの力じゃないから」
「最初にあった時はバリバリ戦闘タイプだと思ったんだけどな?」
「まぁ、その理由はおいおいね」
その後、シルティスに々と話を聞きつつ、周囲からマグマがすべて消失したのを確認して俺たちはキャンプ地へと徒歩で戻っていくのだった。
【書籍化】左遷された無能王子は実力を隠したい~二度転生した最強賢者、今世では楽したいので手を抜いてたら、王家を追放された。今更帰ってこいと言われても遅い、領民に実力がバレて、実家に帰してくれないから…
※書籍化が決まりました! 電撃の新文蕓様から、2022年1月発売! 主人公のノアは、転生者。 前々世では剣聖、前世では賢者として活躍していたのだ。 だがずっと働きづめにされており、もう英雄なんてうんざり! ある日ノアが死んで目覚めると、今度は王子として生まれ変わっていた。 高い魔法の才能と、剣聖の剣術の実力を秘めていたが、また忙しい日々を送りたくなかったので、ノアは全身全霊をかけて無能のフリをした。 そして、15歳の誕生日。 スキル鑑定によって無能であることが判明(実は隠蔽スキルで隠していただけ)。 晴れて追放されたノア。 父より溫情として與えられたのは辺境の領地。 そこで第二の人生を楽して過ごしてやる!と意気込むノアだったが、彼は知らない。 実はその領地は、人が住めないとされる魔の森のなかにあったことを。 そしてこのこが前世、前々世と比べて未來の世界で、人間達のレベルが下がっていたことを。 ノアが森でモンスターに襲われていた女の子を助けたことをきっかけに、彼の有能さがバレてしまう。 「ドラゴンを一撃で倒すなんて、さすがノア様!」 「どうしてこうなったぁああああああ!」 一方で、王家もまたノアの有能さに気付いて、彼を取り戻そうとやってくる。 「來るのが遅えんだよぉおおおおおお!」 そのときにはすでに、ノアは魔の森の領主として、領民からあがめ立てられていたのだから。
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