《Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜》人化ってなんなんですか? 1

『ハーメルン』

優しく響く、しかし冷たくて重いその聲に、その場にいた誰もが死を覚悟した。すべてがスローモーションになり、靜かに眠るように意識が消えかけていく中、飛びそうな思考で俺はひたすら考える。

あれは単純な強さなどに依存するものでは無い。確実に命を摘み取る呪いのようなもの。昔見たアニメでもそのような技を使う敵のキャラクターがいたとふと思い出す。

まさかそんなものが自分の前に、しかも何の予兆もなく唐突に現れるとは誰が思うだろうか。

幸いまだ意識はある。意識があるうちに、なにか、なにかスキルを!

……思い出せ、このような時に有効なものは……だめだ、死に戻りしても記憶を持っているのは俺だけ、魔王の背に魔王紋がないと説明するのは骨が折れるし、事を詳しくは話せない。

俺とシルティスだけで復活してもほかの組手段がないから今後の旅に大きく響いてしまう。

探せ、探せ、探せ。ネットサーフィンは得意だろ、ただひたすらに報を探せ、目當ての1件を探し當てろ、魅せてやるぜ、ヲタクの底力ァ!

『スキル:原點回帰リターンエースを使用しますか?』

おっおっおっ、こちらが本気出すと何もしなくても見つかるスタイルなんですね、いいよ來いよ、使ってやるよ、現狀頼るしかないないならな!

『スキル:原點回帰リターンエースを意思により発します』

ジリジリとすり減っていく意識の中で、最後に摑んだ希に全てをかけて、俺の意識は靜かに落ちていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「え?」

気がつくとそこは先程の魔王城の殘骸跡。しかし唯一様子が違うのは、誰も倒れていることなく、やつが來る前の狀態に戻っていたことだ。

『あーあー、う、しゃべりにくいの、これ』

コホンと聲を立てて聲のエコーを解除した元魔王はこう言った。

「戻るにしてももっと前に戻してもらわんと私ら全員死ぬじゃろ……」

「は!? お前達も覚えているのか?」

死に戻りのように戻った人間だけが記憶を持っているわけではない、むしろ全員覚えているような面持ちだ。

「ご主人が使ったのは、リターンエースかしら。確かにあれならこんな効果でも納得だわ」

「ああ、確かそんな名前だったな。あのスキル」

詳細を確認するためにステータスでスキルを見てみる。

『原點回帰リターンエース→なんど敗北しようとも戦闘開始時點まで時間を巻き戻す』

どうにも廚二病臭いスキルだが、助けられたのは確かだし、場合によってはとかそんなのもなしに、ぶっちぎりで死に戻りより便利だと思った。

いや、直前に戻るから場合によっては死んでセーブ地點からやり直した方が戦いやすい時もあるのか? 要するに、セーブ地點から始めるか、バトル開始から始めるかの2択だったわけだ。

結果的に元魔王をこちら側に連れてくることが出來たのは大きいだろう。となると今回はリプレイ死に戻りを使わなくて良かったと考えるべきか。

「そらァいいけど、あいつ來るまであと數分もないぞ、戦うにしたってどうにも……」

そう。一撃で倒されてしまうのなら、戦うにしたってどうにもならない。しかし、一撃でやられなかった場合は? 最初から一撃必殺を使ってくるようなやつだ。案外その攻撃以外は弱い可能もある。

「私の魔王紋を持っていったのはあいつじゃ! お前達、奴を滅ぼせい!」

『姉さんすをさらけ出すのはいいけど、もう魔王としての威厳も皆無だから選ぶるのはやめた方がいいんじゃないー?』

「魔王紋が、あいつに?」

「……」

だとしたら、強力な魔法技を使われてもおかしくない。太刀打ちのしようがない可能が高すぎる、一旦ここから退避するか?

「皆さんに、話しておかなければいけないことがあるんです。一旦ここから麓まで急いでいけますか?」

『ボクの転移魔法のスクロールを使えば麓までならすぐだよー』

「ではお願いします」

急に話し出したミツアキの圧に負け、俺たちはエルンの用意した麓行きの魔方陣で山の麓まで降りることになった。

この際、囮で元魔王をあそこに置いてきてもよかったのだけれど、シルティスが両手を頭の上まであげてまで持ち上げて運び出していたので、一応連れていく方針となった。てか自分で歩けよ。

『転移!』

エルンの掛け聲でみんなが一斉にみんなが麓に転移する。

「お、お帰りですか、勇者様!」

「おおお、勇者様が帰還なさったそ!」

気味の哨戒兵に事を適當に説明すると、近くにあった哨戒兵の宿直用の小屋を借りて話の続きをすることになった。

「まず、これを見ていただきたい」

そう言うと、まずミツアキが取り出したのは、いつも腰に指して戦闘時に使用していた刀だった。

漆を塗ってあるのか黒りしてしい鞘からゆっくりと引き抜かれたそれは、刀は一般的なものより一見長く、刃の反り合も真っ直ぐびているとはいいがたいが、かと言って大きく沿っているとも言えない微妙な合だった。

それを床に躊躇なく刺し立てると、ミツアキが刀に話しかけ始める。

「雪花、人化を許可する。彼らの前で人化を見せてやってくれ」

『はぁ、キャラ被りしてる後輩キャラがおるじゃろうに、そうおいそれとコチラとしては人化したくないんじゃが?』

刀から聞こえたその聲に俺は正直かなり驚いたのだが、よく考えれば時折ミツアキが刀になにかを語りかけていた場面を何度が見ているので、頭の中でバラバラだったものが繋がった気がした。

「そんなこと言わずに。さぁはやく」

『仕方ない、ほれそこの元魔王とやら、これ以上のキャラ被りは許さんぞ!? 絶対じゃからな!? もし被りよったらお主の首、即刻はね飛ぶと思え!』

『口調被ったくらいで刑罰が重すぎるじゃろ!?』

元魔王の悲痛なびと共に、刀が白い煙に包まれる。

「ふぅ、この姿は久々じゃあ! 超絶スーパーウルトラ技巧人化対応自立思考型天才日本刀・雪花とは、私のことよ!」

「あ、あはは……」

「「「「『「『…………』」』」」」」

目の前に現れた、短い白髪に赤い著を著込んだを見て、俺たちはただただ唖然としていた。

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