《Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜》は何者ですか?

「うにゃー、なかなかそれらしいものは見つからないねー」

「お前が探すのが下手なだけだろ、俺はもう10數件見つけたぞ」

「うぇー、ヲタミンが本格的にヤバいやつに見えてきたよー」

柳沼のストレートな悪口を無視しつつ、俺は今日も市営図書館のパソコンに向かってキーボードを叩く。

図書館でパソコンをいじって報を探し始めてから4日。昨日から割と手広い範囲で調べるようになり、俺は數人の『転移経験者』と名乗る人間とコンタクトをとることが出來た。

普通こんなにわかりやすく移をしていれば、警察はすぐに俺たちのことを見つけてしまうのではないかと思っていたのだが、俺達がなくなっても構わないとか、いなくなることが分かっていたとかそんな様に思える、ガバガバな捜査を行っているようだった。

多くの人のが通る大通りがあって、なおかつ監視カメラも常備されているような市の施設。警察が目を通さないなんてことがあるだろうか?

まぁ、分かりもしない日本の治安組織のを考えても仕方ないのだけど、見つかって保護されてしまい何も行が出來なくなるよりはマシだ。

……さて、吉と出るか兇と出るか。

「おい、柳沼。俺は今日、昨日摑んだ記事の主とコンタクトが取れたから會いに行ってくる。お前はこのまま探しとけー」

「あいあいさー、閉館時間になったらアジトに戻ってるからね、そこんとこよろぴ」

「パリピぶるのウザイからやめた方がいいぞ? どれだけ頑張ってもお前が漫研の姫、つまりヲタクのアイドルであることに変わりはないからな」

え、ちょっと、じゃあアイドルヲタクってなんなの? とぶ柳沼の聲が聞こえたが、聞こえないふりをして俺は図書館をあとにするのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ヲタクの街として有名だという秋葉原という街がある。この街は、さすが都會といいたくなるほどにものの揃いがよく、多種多様なヲタクたちの趣味に対応している、地方のヲタク達にとっては理想都市のような場所だ。

俺もその意見には全く同で、うちの嫁たちの大部分はこの街で買ったものや、この街から送られてきたものである。まぁ、なんか変なこだわりで秋葉原からのものを選んでいる自分がいるのは確かだ。

聖地最高、聖地萬歳。

そんな理想都市の駅前、アイドルの劇場があるところの前に今俺はたっている訳だ。

いや、斷じて俺にそのような、3次元にかまけるような趣味がある訳では無く、今から會う相手がこの劇場の前を指定してきたのだという補足をしっかりとしておこうと思う。

そう、斷じて俺は3次元の子には興味はない。汚は消毒、3次元は洗浄。すべてが2次元になれば萬々歳だと思ってます。

さて、そろそろ彼が訪れる時間となずなのだが、おかしいな……一向に現れない。事前に貰っていたメールアドレスに今どこにいますか? とメールを打つが返答がない。いやー、これはやられたか? デマ摑まされたか?

あー、ちょっと期待してたんだけどな……帰るか。今は金を惜しんでいられない、そんな気がするから無駄にはキレないでおいてあげよう。

「ちょ、ちょっと……」

「はい?」

俺の服の袖を、そのか細い腕で引っ張る小柄な重裝歩兵が1人。

え。

「私が、あなたを、呼んだ……あ、えと、その……葉かのう ひかり」

「えっ、子!?」

田舎者から見ると、典型的な都會スタイルと思われるスタンダードなヲタク兵裝。白地に赤い線のチェック柄のシャツをジーパンにインした、獨特な格好の子が現れた。

黒縁の丸メガネとマスクで覆われたその顔面は、3次元に対するフィルターだと言わんばかりに強固な防じた。

「は、はぁ、一応子という扱い、大きな括りだと」

「いやぁ、てっきりメールでの話し方が男みたいだったので男の方と勘違いしてました」

「まぁ、むしろ、子だと分かって、うっほーいとか飛び込んでくる、パリピクソ野郎じゃなくて安堵……」

ジロジロと俺の顔を見た後、再び彼が口を開いた。

「ヲタク同種か……そうか」

「え、えぇ、僕もあなたを見て同じ想を抱きましたよ……ただちょっとあなたの方が僕よりも深い何かをじましたけど……」

俺も自でかなりのものだと思ってはいるのだが、彼は度を越している。生まれながらにしてヲタク、ヲタクになるべくして生まれたヲタク。そんな印象をけた。

「さて、私が、あの世界に行って得た能力、それらを、見せてしいのだね?」

「と、唐突ですね。でも、そうです。出來ればその時のお話もお聞かせください」

うん。この人には強く出れないや、なんか怖い……何故かわからないけど何かが怖い。

「では、し場所を変えるか」

そう言うと、彼はついてきてと小さく呟き、スタスタと歩き出した。

「……本當に大丈夫かな、この人……」

思わず口かられてしまったその言葉を、俺はそのすぐ後で訂正することになる。

なぜなら、彼は世界間移に最も薄した魔師だったからだ。

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