事聴取のような説明となったが、付嬢のミリアが俺のことを説明してくれたおで早々に開放された。

屋臺の店主に串焼きを二本もらい、一本食べるとタレがしみ込んでの味がジュワーっと口の中に広がっていき、思わず笑顔になる。

「おじさん、これは味いよ！」

「そうだろう！　ここらでいつも屋臺開いているからよろしくな！　次からは料金はもらうからな」

夢中で串焼きを頬ばっている俺を橫目に、屋臺の店主は笑いながら答えた。

そして持っている串焼きをいきなりコクヨウが噛り付いた。

「ちょっと！　いきなり！」

いくつか刺してあるの半分はすでにコクヨウの口の中だった。

仕方なく持っていた殘りをコクヨウの口に近づけると、モグモグと満足そうに咀嚼している。

「馬って……草食じゃなかったっけ……」

殘りの一本をコクヨウと並んでのんびりと食べた。

そしてギルド職員から、従魔の証がついていないから、このような事になったのだと説明をうけ、早々に従魔の証であるネックレスをコクヨウにかけることにした。

「コクヨウ、これが俺と契約の証みたいだから付けてくれるか？」

俺の言葉がわかるように、コクヨウは首を下げてネックレスがかけやすいようにしてくれた。

首元に持っていくと自で長さが調整されて、首元にるペンダントトップに自分の左手につけたバングルを近づけると、しり登録が完了した。

「よし、これで大丈夫だな。もう夕方だし、早く紹介してもらった宿に行ってみよう」

俺はコクヨウの首を軽くでて、歩くとその後ろをパカパカとついてくる。

ミリアから紹介された宿は、ギルドと門側のほうにあった。

紹介された宿は『狐の尾亭』といい、狐の尾が描かれた看板が掲げられていた。

扉を開けて中にると、食堂と付があり年配の狐の獣人がいた。

（獣人までいるのか……。これは、この世界も捨てたもんじゃないかもな）

「いらっしゃい。食事かい？　それとも泊まり？」

「泊まりで頼む。あと……従魔がいるんだが」

「従魔かい？　珍しいね。裏に獣舎があるから――あ、ラミィ、獣舎に案してあげて」

付のの聲で、ホールでウエイトレスをしているまだ十代の同じような獣人のが顔を上げた。

「はーい、お母さん。あ、お客さん、案しますね」

十代半ばのラミィと一緒に外に出ると、コクヨウに驚いていた。

「おぉ！　黒曜馬バトルホースなんて連れているなんて、高ランクの冒険者ですかぁ？」

「いや……さっき冒険者登録してきたところ……」

俺は苦笑しながらも答える。その言葉にラミィは笑顔を向けながらも、コクヨウをでている。コクヨウは気分を害することなく、ラミィに気持ちよさそうにでられていた。

「こっちに寢る場所があるからね、あとで味しいご飯もだしてあげるから」

ラミィはコクヨウを案すると、やはり言葉がわかっているのか、その後を付いていった。

俺も一緒に裏にいると、4頭くらいがれる獣舎があり、他には誰もっている様子はなかった。

「今日は他の従魔はいないから安心していいよ？　最初、他の従魔がいると安心できない従魔もいるからね」

笑顔で説明するラミィに俺は肯定するように頷いた。正直わかっていないが……。

二人で宿へ戻り付にラミィが母親に聲を掛ける。

「じゃぁ、付をしてね。従魔付きだと一泊銀貨1枚と銅貨５０枚だよ」

「……とりあえず１０日間頼む」

俺が次元収納ストレージから、わからないように取り出した銀貨１５枚をカウンターに置くと、引換で鍵と記帳を差し出してきた。

「毎度、じゃぁ記帳してもらっていいかい？　部屋は２階の一番奧だよ。もうすぐ夕食の時間だ。荷を置いたら降りてきな」

記帳にトーヤと記し、鍵をけ取ると軽く返事をしてから階段を上って鍵に描かれている部屋に向かった。

部屋はそこまで広くはないが、ベッドには清潔なシーツが掛けられており、クローゼットが備え付けられていた。早々に部屋に戻ったが荷は全て次元収納ストレージに収めた俺は食堂へと降りていく。

すでに數人が食堂で食事をしながら一杯やっていた。

俺は席に座ると、ウエイトレスをやっているラミィがお盆をもってやってきた。

「トーヤさん、今日のメニューはオークのシチューだよ。朝と夜は基本的に食事はついているから。でもドリンクは別料金ね！　お酒も頼む？」

ラミィからメニュー表をけ取ったが、よくわからないメニューだったから一番上に書かれていたエールと合う摘みを頼んだ。

すぐにエールと小皿が置かれ、俺はとりあえず一口エールを飲んだ。

「ぬるい……。この世界はこんなもんなのか……。それにしてもこれからどうするかな……」

宛も知り合いもいないこの世界で、一人で生きていくのはやはり不安だった。

明日からの生活は次元収納ストレージにっていた金がそのまま使えるから問題はない。冒険者ギルドで依頼と言っていたが……何か食い扶持を稼がないといつかは資産も盡きていく。

一人でエールをしずつ飲みながら考えていると、目の前に料理のった皿とパンが置かれた。

「うちのシチューは最高に味しいよ！　なんせお父さんが作っているから！」

笑顔のラミィがを張って答えるのに俺は頷いて、スプーンですくって口に運んだ。

の旨味が凝されていて。臭みもなく本當に味かった。

「うん、味い！　味しいよ」

「そうでしょ～。うちの自慢の料理なんだ。もう従魔にも食事は出しておいたからね」

料理を褒められて笑顔のラミィはスキップしながら廚房へと向かっていく。俺はそのまま料理に噛り付き、いつの間にか皿は空になっていた。

最後に殘ったエールを飲み盡くし、飲み代を払った俺は早々に部屋に戻った。

部屋に戻った俺は、早々に靴をぎベッドへとダイブし、これからの事を思い浮かべる。

「風呂は貴族くらいしかれないっていうし……。し金の相場も調べないとな。持ち金がどれくらいの価値があるのかわからんし……。あとはこの次元収納ストレージにっている荷をどうするかだよな。最悪売ればしは金になるだろう……。あんまり目立つのは嫌だが生活のためには仕方ないか……」

次元収納ストレージの中を眺めながら、今までのゲームで集めた素材の事を考えていたら、いつの間にか意識を手放していた。

翌朝、食事を済ませた俺は早々にギルドへと向かった。コクヨウには留守番をしてもらって一人で向かうことにした。店を見て回って相場を調べるのに普通の馬より何回りもでかい黒曜馬バトルホースを連れていたら目立って仕方ないからだ。

冒険者ギルドに行って、早々に俺がけられるE,Fランクの掲示板にられている依頼書を眺めていくと、いきなり後ろから聲を掛けられた。

振り向くとそこにいたのは、街まで一緒にきた、クラーダ達だった。

「おう！　トーヤじゃねーか。無事に冒険者登録もできたみたいだな。もう早々に依頼か？　あのゴブリンの耳はもう出したのか？」

クラーダの言葉でまだ出していないことに気づき、俺は首を橫に振る。

「なんだ？　まだ出してないのか。ゴブリンは常時依頼になっているはずだから、そのままカウンターに持っていけばいいぞ。ほら、今空いているし、行ってこい」

クラーダに連れられてカウンターに行くと、昨日相手してくれたミリアとはまた別の付嬢が座っていた。

「こいつが倒したゴブリンを換金頼むぜ」

クラーダは付嬢にそういうと、さっさと掲示板に戻って行ってしまった。一人殘された俺はゴブリンの耳がった袋をカウンターに置いた。

「あと、ギルドカードもご提示お願いします」

言われるがまま、ギルドカードを出すと、読み取り機に通して、その間に素材の數量を確認していく。

「トーヤ様ですね、たしかにゴブリンの耳３０確認できました。依頼これでトーヤ様はEランクになります。常時依頼で出ているのは、ゴブリン５で銅貨５０枚ですから、全部で銀貨３枚になります」

……え？　そんなんでいいの？

疑問に思っている俺に、付嬢は説明をしてくれた。

「トーヤ様はFランクでしたから、Eランクの依頼であるゴブリンの討伐は、ポイントが２倍になるんです。初めての討伐にしてはすごい果ですね！　でもお一人ですから無茶はしないでくださいね。あとこれからはDランクの依頼もけることができます」

俺に向けられる笑顔の付嬢に申し訳なくなる。俺が倒したわけでもなく、コクヨウが全部弾き飛ばしただけなんだが……。

銀貨３枚とカードをけ取った俺は、カードの文字を浮かべると、確かにEランクに変わっていた。しかし、コクヨウが全て魔を蹴散らしたおでレベルはまだ１のままだった。

そして、新しい依頼を見ようと掲示板に俺は向かった……。