「――何か？」

俺が一言だけ返すと、途端に冒険者達の表が崩れていく。

「さっき言った事がわからねぇのか？　スラムの鬼なんて放っておけって言ってるんだよ？　わからねぇのか？」

俺に聲をかけてきた年も、ガラの悪い冒険者から隠れるように俺の後ろへときた。

「別に貴方達に言われる覚えはありませんが……」

「……この……魔法職の癖に俺たちに文句だと……？」

プルプルと震え始めるたところで、ギルド職員から注意がきた。

「ギルドでの爭いは止されております。場合によってはギルド除名か、捕縛しますよ？」

一人の付嬢が出てきた事でなんとか場が収まった。しかし三人は「覚えていろよ」と捨てセリフを吐いてギルドを出て行った。

まさかのテンプレとは……。でも助かった。レベル的に負ける事はないが、まだこの世界に來て間も無くギルド除名されたら、生活できるかもわからない。

ホッとしてギルド嬢に禮を言う。

「たまに、ああいう人もいるので注意してくださいね」

その言葉を殘し、カウンターの中へと戻って行った。

「案してくれるかな？　その前に俺はトウヤって言うんだ。君は？」

「俺は……レオルって言うんだ。著いてきて」

俺はレオルに案を頼みギルドを後にする。

レオルの後を追うと、人通りのあるところから次第に寂れていき、スラム街へとっていく。所々から視線をじる。年に連れられた冒険者というのも奇異なのかもしれない。

スラムにり十分くらいで一つの建で年が立ち止まる。

「ここなんだ。住んでるの。早く診て！ 回復できる人連れてきたよ！」

レオルの聲に――子供がワラワラと建から出てくる。

……ここは孤児院か何かなのか……。

出てきたのはレオルよりもく、まだ一桁代の年ばかりだった。

「お兄ちゃんがお姉ちゃんを治してくれるの！？」

まだいが期待を込めて俺を見上げる。

「とりあえず、そのお姉ちゃんの合を診ようか」

「うん、こっちだよー」

レオルの後を追うと、その後に子供達が著いてくる。

案された部屋にると、一人のがベッドで眠っていた。

近くにより、顔を見ると、赤くなっており額に手を乗せるとかなり高熱が出ている。

「ハイヒール」「解毒魔法キュア」

魔力を込め魔法を唱えると、はに包まれていく。

ヒールだけで十分かもしれないが、念のため解毒魔法もかけた。

が消えていくと、そこには赤みが引き、落ち著いた呼吸をしたが眠っている。

俺と同じくらいの年かな。金髪であたりまでばし、眠っていてもわかるほどのだった。

「これで大丈夫だと思うよ。あとはゆっくりとしてちゃんと食事をすれば……」

俺の言葉に、子供達は笑みを浮かべ喜びあう。

子供達の笑みはやはりいいものだな。

ギュルルるるるるる……

その中で腹の音が響く。視線を送るとがし恥ずかしそうな顔をする。

ここにいるのは子供達だけだ。眠っているが食事の用意をしてたのだろう。

「お兄ちゃんがご飯を作ろうか？　臺所まで案してくれるかな？」

「「「「ご飯！！！」」」」

俺の言葉に子供達が喜びの聲を上げた。子供達についていくと小さな臺所に案された。

食材は……何もないな……。

次元収納ストレージから食材を次々と取り出して並べていく。

後ろで眺めている子供達から「おおぉぉぉぉ！！！」と聲が上がるが、気にせずに料理を始めた。

と野菜を切って次々と次元収納ストレージから取り出した鍋にれていき、水魔法で鍋を満たす。そして火をかけてグツグツと煮込んでいく。

「ここに何人いるんだ？」

「全員で八人だよ。あとお姉ちゃん」

「そっか、じゃぁあとは……」

護衛の依頼をけて、街で買いをしたパンをいくつか取り出して、食べやすいサイズに切っていく。

「じゃぁもうしで出來上がるから、パンを持って行ってくれ」

子供達は皆で切ったパンを持って部屋を出て行く。

鍋もグツグツと煮えて、味付けを行い味見をする。

「うん。いいじ」

出來上がったスープのっている鍋をそのまま次元収納ストレージに仕舞う。見ていた子供達もいきなり大きな鍋が消えたことに驚きの聲が上がった。

「よし、出來たぞ！　食堂へ行こう」

「「「「はーーーい！！」」」」

食堂に移し、子供達が用意したにスープを注いでいく。

全員に行き渡った事を確認してから食べ始めた。

「味しい！！」

「おがってる！！」

「本當だ！？　おなんて久々」

子供達はパンを齧りながらスープを啜っている。食べながら浮かべる笑みに俺も思わず頬が緩む。

俺もそこまで腹は減ってないが、掬ったスープを口にする。

「うん、味い」

子供達と雑談をしながら、ここのことを聞いた。やはり孤児院らしい。

もともとは寢込んでいるの親がやっていたが、亡くなり、その跡を継いでが一人で子供達の面倒をみているとのことだった。

そして急に扉が開かれた。

「これは一、何……？」

振り向くと、先程まで寢込んでいたが立っていた。