《召喚された賢者は異世界を往く ~最強なのは不要在庫のアイテムでした〜》第3話 運命の出會い?

森にってすでに數日、晝夜問わずにシャルロットとアルトリアの二人は森を進んでいた。

追っ手に見つかり襲われた時もあったが、アルトリアも近衛騎士の一員として、數人の兵士相手に遅れを取ることはなかった。

時々現れるゴブリン達からシャルロットを守りながら、森を進んでいく。

日々鍛えられたは、ゴブリン程度の魔では相手にならない。しかし連戦ともなれば疲れは溜まっていく。

次第にアルトリアの生傷は増えていく。

「アル……大丈夫……?」

心配そうにするシャルロットに、返りで汚れた顔を拭い笑顔を向ける。

「シャル、大丈夫。絶対にシャルの事を守ってナタリー様まで屆けるから」

シャルロットは自分のスカートを破り、アルの傷ついた腕に巻く。

「これくらいしか出來ないけど……」

「シャル、ありがとう……、よし、先に進もう」

二人は立ち上がり、森を進んでいく。

しかし、森は魔が多い、ゴブリンに狼系の魔、オークなど。

森の中で出會う魔は多くても三ほどであった。ない魔相手なら遅れを取る事はなく進んでいく。

だが、道のない森はそこまで早く進める訳ではない。その意気込みも森の中で十日を過ぎた頃にはなくなっていた。

今日何度目かの戦いを終えた二人はすでに満創痍であった。

騎士として鍛えあげてきたアルトリアでも辛い狀態なのに、王城育ちのシャルロットが耐えられる訳がなかった。

弱音を言うのも仕方ないことである。

「もうしだ、もうしでサランディール王國に著くはず。そろそろ行きましょう」

アルトリアの言葉に、し息が落ち著いたシャルロットが立ち上がる。

そして二人はまた終わりの見えない森を進み始めた。

進み始めて數時間、途中、順番に仮眠をし、ない食料と水を分け合い森を進む。

そして、森が開ける場所が見えてきた。

日のが差し込み、視線の先は明るく見える。

それは、二人にとっては希でもあった。

「シャル! もうしだ。あそこの先に森の切れ目が見える。森を抜けられたかもしれない」

アルトリアの言葉に疲れた顔を上げ、指差す方に視線を送る。

確かに視線の先は森が開けているように見えた。

「あとしなのね……」

しかし、先が見えた二人にとっては足取りは軽くなる。

最後に殘った力を振り絞るように二人は駆ける。そして森の切れ目を抜けた。

その先には――――。

末な家の集まりである。末にしても程があるという位ボロボロである。

そして、抜けた先は――――オークの集落であった。

視界の先には數十に及ぶオークがいる。

を食い散らかす者、寢転ぶ者、まだ子供のオークが走り回っていた。

人だったらしき“モノ”もオークにとっては食料と変わらない。

引き千切られた、人の腕や足を食すオーク。

そして冒険者であったらしいはオーク達に犯されていた。

すでに神は壊れているようで意識すらないように見える。生きているのかさえも不明である。

二人は目の前に広がる景に愕然とする。

そしてその景に正気を保てるはずがなかった。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

シャルロットは目の前に広がる地獄絵図に悲鳴をあげた。

咄嗟にアルトリアはシャルロットの口を手で塞ぐがすでに遅い。

オークの視線が二人に集まった。

それは新しい獲を見つけたという目である。

オークはゴブリンと同様に多種族との間で配が可能であり、人間も勿論対象である。

男は食料にされ、は種族の繁栄の為に苗床にされる。

それはこの世界では周知の事実であった。

腰の抜けたシャルロットは地面を濡らしながら後ずさる。

オークに遅れを取る事のないアルトリアとはいえ、同時に數十のオークを相手にすることはできない。

二人には絶の表が浮かんだ。

アルトリアは逃げるためにシャルロットを立たせようとし、腕を持つが、腰の抜けたシャルロットは立つことが出來ない。

諦めたアルトリアは満創痍ながら、オークに向けて剣を構え、シャルロットを庇う様に立つ。

「來るな、來るんじゃない……」

剣を構えるが、その剣先は震えている。

剣先だけでなく、アルトリアも恐怖で全が震えていた。

自分たちの近い將來が目の前にあるのだ。知識として知っていても、自分がその立場になるとは認められるはずもない。

その間も、ブモォーとオーク達は仲間を呼ぶために聲を上げる。その聲に反応してか、さらにオークは続々と集まって來る。

目の前の絶が、二人に近づいた時、予想外の事起こった。

「集落があると思ったら、人までいたか。良かった。まだ無事だったみたいだね……」

予想外の人間の言葉に、二人は聲の方向に視線を送る。

そこには、怠そうに手に何も武を持たず、ローブ姿の年が一人立っていた。

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