《召喚された賢者は異世界を往く ~最強なのは不要在庫のアイテムでした〜》第4話 やはり運命でしょう

時はし遡る。

北の森の調査に向かった俺は、街を出てコクヨウにり路を駆け抜ける。

馬車で一日の距離と言われていたが、コクヨウの腳なら二時間もかからずに到著した。

目の前に広がる森は、馬車がすれ違える位の幅の道が通っており、ルネット帝國との貿易のために使われていると説明をけた。

念押しして言われたのは、「冒険者に國境はありませんが、越境だけはしないでください」であった。

特にルネット帝國は戦時中であり、抜けたら戻れる保証もないとのことだった。

俺としても、屋敷にはフェリスが待っている。そんなつもりはない。

いつかジェネレート王國に戻れば、自分のいた日本に送り返して貰えるのだろうか……いや、あの國の格からして無理だろう。

――すでに“勇者”はいる。

今更俺が戻っても無かったことに……、もしかしたら処分もあり得るかもしれない。

――それならこの居心地がいい街でいるのもありか。

両親はいるかすでに疎遠となっているし、獨で妻や子供はいない。會社もいつ帰るのかわからなければ退職になっているだろう。

それなら――――。いや、まだ決めるのは早い。

そんな気持ちを切り替えて、探査サーチを使い、森を探っていく。

……いっぱいいるな。

次元収納ストレージから両手剣を取り出し、魔がいる方にゆっくりと森を進む。

は數ごとにまとまって森を徘徊しているようだ。

「おりゃぁぁぁぁ!!」

何度目の遭遇だろうか。が付いた剣を振り払う。

眼下にはすでに亡骸となったゴブリンが橫たわっている。遭遇する魔はゴブリン、フォレストウルフ、ボア、たまにオークが出てきた。

倒した魔の匂いで、さらに魔が寄ってくる。その魔を倒すという繰り返しだった。

……なんだ。雑魚ばっかりだな。

あれだけ切羽詰まって依頼してきた割には、低ランクの魔しか出てこない。

これ、俺がける必要があったのか……。

「集落を探すか……このままじゃらちがあかない」

倒した魔を次元収納ストレージに仕舞い、森の奧へと進んでいく。

奧に進むが相変わらず出る魔は一緒だ。一刀で斬り捨てる、それの繰り返しである。

フォレストウルフは多スピードがあるが、直線的な攻撃ばかりである。

しかもそれでも俺よりスピードは遅い。ましてやゴブリンなどただの雑魚だ。

まともな魔はオークだけだが、それでも散漫なゆっくりなきであり、いくら出てきても問題はない。

さらに奧に進むと、大きな反応があった。

「數は數十はいるな……確実に集落だろ……って!? もしかして……」

俺は一気に駆け出す。手に持つ剣は邪魔だから次元収納ストレージに仕舞い、魔法に切り替えていく。

森で火魔法を使うわけにもいかない。風魔法を使い、すれ違う魔に魔法を放ち葬っていく。

急いでいるから、魔は放置だ。

「……間に合ってくれよ……」

木々を避け、走り続けると、木々の切れ目が見えてくる。

俺は一気に走り抜けた。そして目の前に広がる景。

オークか數十。獲を見つめた目で、――二人を囲んでいた。

囲んでいるオークの中には上位種も見けられる。

「集落があると思ったら、人までいたか。良かった。まだ無事だったみたいだね……」

思わずホッとする。

まだ生きている人がいた。

俺と同じくらいだろうか、の子二人はボロボロになって、全を震わせている。

……とりあえず、早く終わらせるか。

次元収納ストレージから再度、両手剣を取り出し、肩に擔ぐ。

「ちょっと待っててくれ。そこからかないように」

「えっ……」

予想外のセリフだからだろうか、それとも恐怖からだろうか。

返ってきた言葉はその一言だけだった。

達を囲んでいたオーク達は、俺の言葉に反応し、手に棒などを持ち出し囲むように広がっていく。

オークからしたらきっと俺は獲が一人増えたとしかじてないだろう。――それは間違いだけどな。

に魔力を行き渡らせを強化する。

「お前ら、行くぞっ!」

両手剣を構え、一気に走り出す。

先頭にいたオークを一振りで斬り倒すと、その橫にいるオークを橫薙ぎにする。

それからは躙だった。

オークの鳴き聲で、集落中のオークが手に武を持ち向かってくる。

近くのオークには斬りかかり、遠くにいるオークには左手で風魔法を放つ。

集団の中へと斬り込んでいくと、転がっている人だった亡骸が目にってくる。

苗床になるために躙され、目を見開いたまま命を絶たれた冒険者を見て怒りがこみ上げてくる。

「……覚悟しろよ。お前ら、一も逃さないぞ……」

そしてまたオークに斬りかかった。

ひたすらその作業を繰り返していくと、奧から一際大きなオークが出てきた。

その橫にも、普通のオークより大きく、末ながら裝備を著たオークが三並ぶ。

「上位腫か……ジェネラルはわかるが、それより大きいのは……オークキングか……」

冒険者ギルドからは、集落が出てきている場合は、上位種が必ずおり、規模によっては“キング級”がいる場合があると。その時は必ず撤退して冒険者ギルドの報告し、人數を揃え、數十人のパーティーで討伐するようにと念押されていた。

しかし今はそんな事を言ってる場合じゃない。

オークキングは俺の周りで倒れている自分の配下達を見下ろし、怒りに満ちた顔をし、一際大きな鳴き聲をあげた。

それと同時に俺は一気に斬りかかる。

距離は十メートルほどあったが、強化されたなら、二歩の距離だ。

目の前で飛び上がり、そのまま頭から一直線に剣を振り落とす。

一度距離を取るように離れると、次第にオークキングのはズレていき倒れていった。

ズドーーーン

五メートルはあろうかというオークキングは一瞬にして絶命した。

その姿にオーク達は――一斉に逃げ出した。

しかし俺は逃がすつもりはない。逃げるオークに後ろから斬りかかり、反対側のオークは魔法を放ち切り刻んだ。

十分も経過すると、辺りは靜寂に包まれた。

集落だった場所は地獄絵図のようにオークの死骸が転がっている。

俺は剣を仕舞い、大きく息を吐いた。

「ふぅ……流石にこの數は多いよな。キング級までいるとは誤算だった。あっ……そういえば……」

助けた二人ののことを思い出す。気には止めていたつもりであったが、オークキングが登場してからは存在を忘れていた。

二人の場所に視線を送ると、二人のは口を開いたまま、信じられないような表をしている。

俺は近くに寄って聲を掛ける。

「――大丈夫だったか……?」

俺の言葉に返っきたのは――。

「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

二人の悲鳴だった……。

何なんだ。

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