《召喚された賢者は異世界を往く ~最強なのは不要在庫のアイテムでした〜》第15話 特訓1

時はし遡る。

屋敷での共同生活が始まり、冒険者登録を済ませたシャルとアルとテーブルで向き合う。

ナタリーは店を開くために、朝から屋敷をすでに出ていた。

「トーヤ様、私はルネット帝國を救うために、ししたらナタリー様と共に國へ戻りたいと思っております」

「それはわかるが、命からがらこの街に逃げてこれたのに、どうやって國を救うんだ? アルとナタリーを含めて三人じゃ、どうにもならない。シャルは戦えるのか?」

真剣な顔をするシャルに俺は殘酷な現実を突きつける。

「そ、それは……」

「私が守り通します!」

立ち上がりアルが憤慨するが、アル一人の力ではどうすることも出來ないのは明白であった。

「アルも一人でどれだけ相手にできるんだ? 十人か? 戦爭ともなれば、千人以上の兵士が死に狂いで攻めてくる。普通に考えて相手に出來ないだろう」

俺の言葉にアルは苦蟲を噛み潰したような表をし、「しかし……」と言いながら力なく席に座る。

「だから提案がある。ちなみに二人のレベルは?」

「私は37です。騎士として鍛えてますから」

「……私は5です……」

元気よく答えるアルと、申し訳なく言うシャル。ナタリーが賢者といわれるほど強いとしても、三人で國を相手に勝てるとは思わない。

しかも、ジェネレート王國には――勇者がいるのだ。

「戦爭には參加するつもりはないが、俺でよければ二人を鍛えることが出來る。々と話せない事も多いのだが……」

俺の言葉に二人は目を輝かせる。

「トーヤ様、ぜひ、お願いします。私は國を救いたいです。両親もどうなっているか心配ですし」

「私もお願いします。兄や母が無事かも……」

「よし、分かった。二人ともレベルを上げれるように俺も協力する。明日からし森に籠るつもりでいてくれ」

「「はいっ!!」」

二人には森に籠る準備をしてもらい、俺は森で食べる食事などの準備の為に市場に向かった。

大量の食材を買い占めるのは、恒例行事のようで、商店員も特に気にせず対応してくれる。

大きな袋を持ち、路地にるたびに次元収納ストレージに収めていく。

大量に仕れた食材で、帰ってからは數種類のスープなどを作って保管していった。

そして、ナタリーが帰宅した後に、レベル上げのためにしの間、森に籠ると伝えた。

「……そうか、二人とも頑張ってくるのじゃ。わしはその間は店に泊まるようにするのじゃ。トーヤの飯も食えないのでな」

……飯目當てかよっ! と苦笑しながら、俺は頷いた。

次の日、朝から三人でコクヨウを連れ、街を出て魔が出る森へと向かう。

途中、馬車を次元収納ストレージから取り出し、乗り込み、コクヨウに引いてもらうと、二時間ほどで森のり口に到著した。

北の森は、戦爭の影響と、俺がジェネレート王國の越境の報告をしたせいか、ギルドでは森することが止されていた。他の冒険者が近づく事がないから都合が良かった。

俺が先頭に立ち、その後をシャル、アルと続き奧へと進む。

この場でコクヨウを仕舞う訳にもいかず、コクヨウには一番後で、二人を守るように伝えた。

コクヨウは「ブルゥ」と一鳴きし、アルの後ろにつく。

二人は、オークに囲まれた記憶から、し戸っていた。

「國を救うつもりなんだろう? これくらいでこまっていて國なんか救えるのか」

と、俺が聲をかけると、歯を食いしばり、力強く頷いた。

途中、一度休憩をして、森の中で開けた場所につく。

「――ここは……」

「うん、オークの集落があった場所だ。ここを拠點にレベル上げをするつもりだ。まずは……」

平らな場所を見つけると、俺は次元収納ストレージから“家”を取り出す。

目の前にいきなり現れた日本の一般的な二階建ての住宅が、突如として姿を現わす。

「ここが拠點でいいな。二人とも――」

二人に聲をかけるために振り向くと、口をポカンと開け呆然としていた。

「……アル、家を次元収納ストレージに仕舞う人なんて見た事ある……?」

「……いえ……初めて見ました」

「ですよね……トーヤ様は一……」

目の前に現れた家に呆然としている二人に、再度聲をかける。

「二人とも、取り敢えず中にってくれ。中で一度話すことがある」

「あ、はいっ……」

二人は後を追うように家へとった。

「あ、そこの玄関で靴をいでくれ。中は土足厳だ」

「わかりました……」

二人はブーツをいで、素足で家に上がる。

一階は、キッチン、水回り、ダイニング、リビングがあり、階段を上った二階には六畳ほどの洋室が四つある。

異世界が全くない日本の住宅に、俺はため息を吐きながらリビングへと向かった。

恐る恐る俺の後をついてくる二人にとっては新鮮ななのかもしれない。

特に飾り気もなく、壁紙も白一で、蕓品が置いてある訳でもない。

ダイニングとリビングで二十畳くらいあるだろうか。俺は、置かれている椅子に座るように促す。

俺が椅子に座ると、向かい合うようにシャルとアルの二人は並んで座った。

「……まず、言っておく。この家の事についても他言無用だ」

「……えぇ、勿論です。さすがにこれは……」

「私も言いません」

二人が頷いた事を確認すると、俺は口を開く。

「まずは裝備を整える。それは俺が貸す。街に戻る時は必ず返してもらう。これだけは理解してくれ」

「「はいっ」」

「二人の裝備をまずだそう。シャルは……霊魔師だったよな。魔法師マジシャンと同じで問題はないか?」

冒険者登録する時に、二人の職業は聞いていた。霊魔師は希な存在であり、登録時にミリアが驚いていた事を思い出す。

俺がやっていたゲームでは、そんな職業はなかったが、何となくイメージはつく。

この世界には霊がいるのは、家霊のフェリスがいる事で把握はしている。

「えぇ、問題はありません。私の場合、霊にお願いすることで、魔法と同じ効果をもたらすのです」

……なら、これだな。

次元収納ストレージから、ローブと杖を取り出してテーブルに置く。

「これは、魔力消費量を減らしてくれる裝備だ。防力も十分にある」

ローブも杖もイベントで手にれた裝備だ。ローブは魔力消費量を半分にし、杖は威力を増幅してくれる効果がある。

白いローブは金糸で彩られ、見るからに高級品とわかるである。しかし、俺が手にれたのは、まだレベル100にも満たない時のであり、特に大事なでもないので、倉庫キャラであるこのキャラ俺に仕舞ってあった。

しかし、裝備の能を聞いたシャルは口を開き絶句していた。

隣に座っている、アルも同じであった事は言うまでもなかった。

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