《ヘタレ魔法學生の俺に、四人もが寄ってくるなんてあり得ない!》雨宮君のお宅訪問

二日後。

「三日もベッドに寢かせとく必要無いよね!」と言う桜川先生の判斷(獨斷)により退院した俺。

「……全くあの人は……」

優秀な魔法醫なんだろうけど、ちょっと(どころかだいたい)ぶっ飛んだトコがあるからなあ……。

「ん?メールか。先輩からだ」

スマホに著信があった。……何かメールのやり取りのほとんどは先輩とやってる気がするんだけど、気のせいかな?

【急なおいで申し訳ありませんが、今度お暇でしたら、私の家に遊びに來て下さい。お待ちしてます】

ほんと急ですね!?……っていうか先輩ってお嬢様じゃん?お金持ちじゃん?だいたいお嬢様の親ってアホみたいに厳しいイメージじゃん!いつもの私服で行ったらぶっ殺しルート確定だろこれ!

「よそ行きの服なんてあったかな……」

スーツが良いんだけど、無いから……。あ、父さんの借りれば良いか。

「そうだ。父さんのスーツがあったよ。あれ著てけば多分大丈夫」

【先輩のお宅にですか?明日辺りにでも伺います】

こう返信したからには、早速スーツ探さなきゃな。

翌日。十月二十八日。

「……良し。ネクタイもバッチリだ」

鏡の前で、俺はそう呟く。ナルシストじゃないぞ?

「うわ、暁。何その格好。どっか行くの?」

ってきたのは和水。ノックして!

「先輩の家に招待されたんだ。お嬢様の家だから、それなりの格好で行かないと」

「へえ。ま、楽しんで來なよ」

楽しめるものなのかね……?っていうか和水さん。何か機嫌悪くなってません?

「なってないよ。全然なってない」

……顔膨れてる。あの、言と顔が正反対なんですけど。

「気のせいかな?和水、顔が膨れて……」

「膨れてないもん!機嫌良いから!ほら暁早く行きなよ!」

機嫌めっちゃ悪いじゃん!ちょ、押すな押すなって!階段転げちゃうでしょ!

そのまま俺は(よろけながら)靴を履き、

ばたん!

追い出された。……り、理不盡だ。和水さん、何で機嫌悪いの?

「先輩の家ってどこだ?」

當日になってふと思うこれ。目的地の場所が分からないってヤツ。皆も経験無い?

どうにもならず、俺は先輩に聞くことにした。

【急で悪いんですけど、先輩の家ってどこですか?】

すぐ返信が來た。めちゃくちゃ早いな。もしかして自分のすぐ隣にスマホがあるとか?

し遠いので、迎えの者を出します。雨宮さんは自宅の前で待っていてください】

迎えの者……あの黒服の諜報員もどき達か。

そして數分後。例の黒服達がやって來た。黒塗りの高級車に乗ってる……。

「お待たせ致しました。雨宮様。天條邸までお送り致します」

「(ヤバい。すげえ張してきた……。とりあえず親さんの前でヘマしないように頑張ろう……)」

天條邸への道中、俺は張から來る胃痛と戦い続ける事になった。

「お待ちしていましたわ。雨宮さん」

わお。出迎えてくれた。著だ。やっぱり似合うなあ。

「こんにちは。……何か俺が心配かけちゃったそうですね」

先輩ははっとした顔になり、

「そ、そうです!雨宮さん!におかしなところはありませんか?頭痛がしたり、お腹が痛かったりだとか______」

「え、えーと、特になんともないです。魔力の方も回復してきてますしね」

「そうですか。……良かった。本當に心配したんですのよ?雨宮さん、ぴくりともかないものですから_____」

「……あの、先輩。立ち話も何ですし、先輩の家の方で……」

スーツの男子高校生に著が詰め寄る図。

和洋折衷ってこういう事か。……多分違う。

「すみません。心配のあまり、つい……」

「いや、良いんですよ。俺の方に非がありますし、何より、心配してくれたのに謝ですよ」

あの決闘は魔力の配分ミスったからな。で、結果的にぶっ倒れて先輩心配させちゃったし。

謝だなんて、そんな……。あなたは私の想い人なのですから心配して當然です……」

「え?最後何か言いました?」

モゴモゴ喋って聞こえなかったな。心配がどうとか言ってたように聞こえたけど……。

「何でもありませんわ。それより、何ですの?その格好は」

同じ事をちょっと前にも言われました!しかも理不盡に追い出されたんです!

「いや、先輩のご両親とかに會っちゃったりしたときに、私服はマズいかなーって……」

厳つい顔の著流しの父親とか、「中流階級庶民の者をれる訳にはいきません」って言うような母親とか!

「……著流しに統至上主義ですか。それ、完璧に時代錯誤ですわよ?」

「え?著流しも統も無いんですか?」

なくとも私の家には、ですが。まあ、両親に會えば納得するでしょう」

じきに會うであろう厳格な父親と母親(想像)に心ビクビクしつつ、俺は先輩の後を追った。

    人が読んでいる<ヘタレ魔法學生の俺に、四人も美少女が寄ってくるなんてあり得ない!>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください