《非リアの俺と學園アイドルが付き合った結果》私の盜み聞きと俺の行う救出劇!

十五話

それから俺が新天さんを見ることは無かった。

あの後直ぐに淺見くんの待つ食堂へ戻った。

淺見くんには、何をやっていたか、もしかして頭おかしくなったか?とか々聞かれはしたが、あくまで裏に新天さんといるため“トイレに行っていた”と告げた。

そこからはいつも通り午後の授業をこなし、獨りで帰宅した。

それらの行の中で俺の頭には新天さんが言っていた「助けてください」この言葉が鮮明に焼き付いていて、こべりついて取れなかった。

俺は眠りにつくまで“助ける”この事について考えていたが、俺の頭じゃ得策と言えるものは思いつかなかった。

なんで彼には気づかれたのでしょうか。

なんで彼はあの寫真を持っていたのでしょうか。

あの寫真だけなら噓だと、新聞部のドッキリだと言って脅迫に乗らないことも出來たのですが……。

なんで彼があの登校時の寫真を……。

あれと同時に拡散された場合、全生徒が信じて、バレてしまうのは時間の問題です。

….いや一層の事バレちゃえば場所を気にすることなくイチャつけ………いや…あくまで私のわがままで“ごっこ”をしているのでそれは出來ませんね…。ちょっとショックです。

作戦は明日、勇人くんならきっとやってくれると思います。

最後に作戦の容を振り返っておきましょう。

始めに、不快ですが私自らが彼をホテルへいます。彼のことですから確実に乗ってくると思います。

そして、お母さんに遅くなると連絡をすると言い、電話帳から【お母さん】という名前で登録してある結花さんへ連絡を掛けます。これなら目の前で電話してもバレません。

結花さんには先ほど“電話したらすぐに作戦を開始してください”と連絡しておいたのでこれで勇人くんを呼ぶことができます。

そして、勇人くんを信頼していない訳ではありませんが、金霧先輩も呼んでおきます。

今回の作戦は勇人くんへさんざん甘えてしまうことになります。

だからこそ私は失敗できない。

「よし!」

勝負の日は明日。

私はお腹を冷やさないように掛け布団にくるまって眠りにつきました。

「兄貴起きんのはや」

「あぁ…うん。まあな」

正直なところあまり深い眠りにつくことは出來なかった。

何せ今日は作戦の実行日でまだその作戦を聞いていないのだ。

結花経由で教えてもらえって言ってたけど、その結花は話す気配ゼロだ。

俺はどうしたらいいんだ?

とりあえず家にいればいいのか?

俺がそわそわしていると、そんな俺に痺れを切らした結花が、

「まだ連絡來てないからじっとしてて!」

と、し怒った表で告げてくる。

ひぃ……怖いよぉ……。

俺はソファの端っこに育座りでいることにした。

時計の針が十時を切ろうとしていた時だった。

「電話だ!」

スマホの軽快な音とともに、焦った様子の結花は通話ボタンをおし、耳へスマホを當てる。

「…………………」

だが一向に喋らなかった。

なぜ?

俺が疑問に思い、結花に目を向けていると、結花はいそいそと紙とペンを持ち出し、何やら文字を書き起こし始めた。

「ら……ぶ……ほ……が……い……」

はい?

ラブホ街ってあのラブホ街!?

そして、俺が驚きをけ止められてないうちに次の言葉が紙に起こされる。

【いけ】

文字からとてつもない圧をじた。

俺はすぐに家を出て、地元で有名なラブホ街へと向かった。

正直あそこには嫌な思い出しかないんだよなぁ……。レアモンには逃げられるし変なには絡まれるしで…。

二度とあそこには行かないと思ってたのにこんなスパンで行くことになるなんて……。

まぁ今回とこの前では話が違う。

俺がゲーム関係アニメ関係以外で外に出るなんていつぶりだろうか。もちろん學校は例外だ。

そういえば新天さんと出會っていろいろ変わったことが多いな…。

高校生活で淺見くん以外とご飯を食べたのも初めてだったし。

そもそも子とまともに喋ったのも初めてだった。

そして、登下校を二人で喋りながら、ゲームを教えながら歩くのも初めてだった。

もちろん獨りぼっちに悲壯を覚えるのも。

俺はこの短期間の間にかなりのことを経験した。それもこれも新天さんのおだ。

俺はし足を速め、ラブホ街へと向かった。

そろそろ勇人くんが來るはずです。

私は彼とし間を開け、ゆっくりと歩きます。

彼はルンルンで歩いているため、多間が空いたところで気にしないでしょう。

私は先程から「綺麗なところがいい」と言って時間を稼いでいます。

でもそろそろ限界なのが現実です。

そろそろ路地を抜けてしまいます。

「ここはどうだ?」

「…もうし他のところを見てみましょう」

私は外観を凝視し、あたかも悩んでいるかのようにふるまいます。

彼は「そうか」とだけ言って再び歩き始めます。

目に見えるだけであと二軒。

10數メートル先にあるラスト二軒目のホテルでも私は外観を理由に斷ります。

「あと一軒だけだぞ?」

「はい…」

私は再び足を踏み出します。

その時でした―

「―新天なにやってんの〜?」

私の後ろからその聲が響きます。

振り返ると、金霧先輩がだるそうに立っていました。

「誰だあん―」

彼の聲が途中で途切れます。

「何ジロジロ見てんの〜?あ、ボタンか。」

先輩はだるそうにしてボタンを閉めます。

「あ、あんたも一緒にどうだ?」

「なにが?」

「何がってここに來てやることといえば一つだろ?」

不気味に震える聲でそう言います。

おバカさんです。彼はおバカさんです!

しも疑ってないのでしょうか。

―でもそっちの方が好都合です。

ここで先輩に時間を稼いでもらえば―

「新天がするならあたしもするよ」

先輩ーー!!

まだ勇人くん來てないんですよ!?

いよいよアウトですよ!?

「じゃあいこうぜ、もうあそこでいいだろ」

彼が指さしたのは差點の角っこにある店。

何故か差點に近いところに口があるところでした。

私は最後の抵抗をするため、いつでも振り返れるように重心を後ろへ持っていきます。

ですがその時でした。

奇跡はもう一度起こったのです。

「いて…」

誰かが…いや、勇人くんが勢いよく角を曲がってきて彼にぶつかったのです。

「あっごめんなさ―」

勇人くんが起き上がる時、私と目が合いました。

えへ……ハッ!照れている場合じゃありません!勇人くんが來たということはあの男から逃げる準備を―

「新天さん逃げて!!」

「は、はいっ!」

「あっ、おい!まて……ッ!」

勇人くんに言われたように私は金霧先輩の方へと逃げます。

「金霧先輩!新天さんと一緒にどこかへ!」

「がってん!」

先輩に腕を取られ、その場を後にします。

彼の罵詈雑言の言葉が背から聞こえてきますが、私たちは必死に逃げます。

でも勇人くん一人で大丈夫でしょうか。

この聲……。

俺はどこか聞き覚えがあり、忘れることのない聲に似ていることをじる。

俺のじているものが本な訳ない。だけどこのつき、聲質、俺は知っている。

「なぁ勇人…なんでお前なんかにあんな可い彼がいるんだ…?あ?」

彼が喋るたびに俺の中に浮かぶ一人の友達にピントが合っていく。

「なんでお前に出來て俺に彼できねぇんだよ」

お願いだからもう喋らないでくれ…。

俺は顔を上げて、確信する。

やっぱりか…。

「ゲーマーでオタクなお前にあんなカワイイ彼が出來んのに、なんで俺にはできないんだよッ!」

彼は俺の唯一の友達であり、最も信頼できる男。出會って良かったと思える友の淺見冬彌くんだった。

「何でこんなこと…」

自然とそんな言葉が口から出ていた。

だが、それは失敗だったと気づく。

淺見くんの表が怒りのこもったものに変わっていくのだ。

「何で?そりゃ決まってるだろ。お前だけいい思いするのは良かねぇよなぁ?友達なんだろ?」

友達。

心が痛むのをじる。

俺の中での友達の存在が音を立てて崩れていく。

そして彼は無慈悲にも言ってのけた。

「まぁ俺は友達なんて思ってなかったがな。元々罰ゲームでお前とつるんでやってたんだから」

なんだ…そうだったのか……。

何かおかしいと思ったんだよなぁ…こんなイケイケな奴と友達になれたなんて。

そっかぁ……全部俺の獨りよがりな高校生活だったのか…。

もう全てがバカバカしく思えてくるな。

「それなのにお前は新天と登校したりしてんだろ?割に合わねぇよなぁ?わざわざ友達ごっこしてあげてたのになんでお前がいい思いするんだ?」

淺見くんは、新聞部が取り上げた俺と新天さんがキスしている寫真を寫した寫真と、仲良さげに登校している寫真を見せながら言った。

俺はそんな淺見くんに何も言い返すことが出來なかった。

ただ自分がけなく、不甲斐ない気持ちでいっぱいだったからだ。

俺が不甲斐ないばっかりに新天さんに迷をかけ、俺だけが傷つくならまだしも新天さんの事だから、この事実を知れば彼まで々考え込んでしまうだろう。それだけは嫌だ。

出來るだけ大事にせず、かに、靜かにこの場を収めよう。

傷つくのは俺だけでいいんだ。

―だがその考えはすぐに破綻させられることになった。

「まぁその新天さんもお前を好きになるようじゃそれだけのバカだって事だろうけどな。」

俺はこの時初めて、淺見くんへ反論をした。

勇人くんは大丈夫でしょうか。

金霧先輩に一言告げ、様子を見に戻ってきたのですが……と、とりあえずを隠しましょう。

私は近くの自販機の側面へと張り付きます。

「―も……じゃ……な」

うーん。この位置からじゃ上手く聞き取れません。

私はコソコソとし近づいた所にある自販機の側面へと移ります。

でも先ほどの聲はたしかにあの男の聲でした。勇人くんは大丈夫でしょうか。

ちょっと覗いてみま―

「撤回してよ…」

冷たく鋭い聲が響きました。

勇人くん…でしょうか。

あの男の聲ではないようですが…。

「あ?」

「撤回してって言ってるんだよ…」

「何をだよ。あんまり調子乗るなよ?」

やはり先ほどの聲は勇人くんの……。

「―新天さんをバカにしたことを撤回しろって言ってんだよ」

は、勇人くん……?

彼は今まで私が聞いたことのないようなドスの効いた低い聲で告げます。

「俺のことを馬鹿にするのは構わない……けど俺に人とゲームを楽しむことを教えてくれた彼をバカにするのはいくら淺見くんでも許せない」

「んだよ彼氏気取りかよ、今のセリフってゲームかなんかの請け売り?ゲーマー怖―」

「黙れよ」

遠くから聞いている私でさえ息が詰まるような圧迫を得る聲で告げる勇人くん。

その言葉からしばらく沈黙が続きました。

そして、その沈黙を破ったのは勇人くんでした。

「―新天さんに謝って。」

そう言ったのです。先程とは比べにならないほど優しい聲で。

數刻遅れてあの男が言いました。

「……分かった…。」

そんな勇人くんの聲を聞いて、気が落ち著いてきたのか、素直に返します。

「ありがとう。…あと、さっきは黙れとか言ってごめんね」

勇人くんの聲質はすっかりいつも通りに戻っており、さっきの聲は本當に彼のものかと疑うほどでした。

「なんでお前が謝んだよ」

「へへ…なんでだろね……お、俺たち……やり直せないかな」

「まぁ俺がやったことは最悪退學もんだからな」

「そう…だよね……」

先ほどの煽るような會話ではなくなった彼らの話を聞いています。

大事に至らなかったので、今は安心でがいっぱいです。

「お前は俺も許すのか?」

「もちろん全ては許さないよ?…でも淺見くんが良ければ友達のままでいてほしい。ごっこじゃなくてね。」

勇人くんはおバカさんかなにかですか?

なんで淺見くんとやらを許すのですか?おかしいですよ!ごっこと言えど彼である私を獨占していたのですよ?しかも弱みを握って!

なんてお人好しなんですか!?もう…好き!

「でも次俺の彼を傷つけたらどんな理由があろうと許さないからね」

今私を彼って……。

その時、私の頭の中で何かが弾ける音が聞こえました。

あ〜お花畑ですよ〜ほら、あそこ〜蝶々も飛んでますよ〜。

どうしましょう…このままどこかへ飛んでいってしまいそうです〜。

勇人くんが私を彼って…んふ。

し取りしてしまったが、なんとか場を収められて淺見くんは帰っていった。

彼に言ったとおり、すべては許さない。

新天さんを傷つけたし、何より新天さんをバカにした。

だけど脅される原因となった登校の寫真は俺がもうし周りに気を配っていたら避けられたものだ。そもそもバレたくないなら一緒に登校するなって話なんだが。

そして、俺の中で考え方が変わったものがある。

それは、新天さんが良ければの話だが、コソコソとごっこをするのではなく普通のカップルのように過ごしてみようかと。そう思うのだ。

多分俺への非難は凄いことになるだろうが、まぁそんな視線や噂話は慣れっこなので、今回のような脅しが無くなるとするならば大っぴらにするのも手だろうと。

俺は新天さんたちが逃げてった方へ向かう。もしかしたらどこかで待っていてくれるかもしれない。

俺はそちらの方へ足を進める。そして、ほんのし歩いたところで―

「(ぽわぽわー)」

「・・・」

「・・・(ぽわー)」

なにか見間違えだろう。

黒髪、學園アイドルこと新天円香さんが自販機の側面に隠れるようにして佇んでいた。

だが新天さんは、彼をじっと見つめる俺の視線には気づかない様子。

そんな彼は高熱でも出しているかのように真っ赤な顔をし、ぼんやりと虛空に視線をやっていた。

もしかしてさっきの會話聞かれてたのかな……。

自分の顔が熱くなっていくのをじる。

「次俺の彼を傷つけたら―」

さっきの言葉がフラッシュバックする。

いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!死にたい!意図せず彼の前であんな事言ってしまったなんて……!これは死ねる!死ねるぞぉぉぉぉぉぉお!!

自分でもわかっている。つまりはオタク特有の焦りを見せているのだ。

「勇人…くん…」

隣でわしゃわしゃと忙しないきを繰り広げていたので流石に気づいたのだろう。

顔を真っ赤にしたままの新天さんがこちらへ視線を移す。心做しか赤味が増している気が……。

「か、帰りますか。こんなとこ長いしたら々まずいですし」

「そ、そうですね」

何故か互いに探り探りの會話をしてしまう。

ここから帰り道の別れ際まで、互いに照れあって會話が進まなかったのは言うまでもないだろう。

次の日、淺見くんは一ヶ月の停學処分を言い渡された。

彼を許さなかった金霧先輩が先生へ伝えたらしい。

これに関しては俺も同意見だ。停學になって當たり前だと思う。

そして、晝休み。俺たちふたりは新聞部部室へと來ていた。

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