《非リアの俺と學園アイドルが付き合った結果》私の絶と俺の行う不意打ちキス
三十五話
【新天円香】
「まだー?」
「新天さーん?」
どうやら予想通り沢山の人が集まってくれたようです。
戸高校に在籍してる方もいるみたいです。
「円香、落ち著いてね。何を言われても激したり言い返したりちゃだめだからね?」
心配そうに私を見つめる真結。
「大丈夫ですよ。任せてください」
私がそう言うと、安心したのか笑顔を浮かべた真結は、私の背中を叩き―
「さぁ!行ってらっしゃい!」
「はい!」
私に勇気をくれました。
「オープンスクールの中集まっていただきありがとうございます。」
私は集まってくれた人の數に思わず息を呑んでしまいます。
不満そうな顔をしている人。
面白がっているのか笑みを浮かべている人。
だるそうにしている人。
様々な方が集まっていました。
私はその方々へ、こう告げます。
「今回の記事は事実であり、私と新転勇人くんはお付き合いをしています」
「だからなんだ」と言われてしまえばそれまでかも知れません。
だけど真結の言っていたとおり、周りからは―
「なんであんなヤツなんだ」
とか、
「なんで俺じゃないんだ」
とか、
「あんなオタクの何がいいんだ」
とか、々腹が立つ言葉が飛びっています。
「話せば長くなってしまうのですが、彼じゃなきゃダメなんです。」
私がそう言うと、その言葉が止み、しばしの靜寂が訪れました。
私も何も言葉を発さず、集まってくれた方も顔を顰めるばかりで何も発さない。
―ですが、その靜寂は一人の男子生徒の言葉で破られたのです。
「証拠はあるんですか?新聞部に加擔したと仮定すればあの寫真だって取れないことないですよね?」
傍から見れば、そしてこんな狀況じゃなければ苦し紛れの言葉だったでしょう。
でも、顔を顰めてた人たちへの発破にはそれで充分でした。
分かっていない訳では無いのです。
私が學園のアイドルと言われていることも。
そりゃあ毎日のように告白されていたら嫌でも気づきますよ。
集まってくれた方の中に私へ告白してくれた方がいたのにも気づいていました。
それは反の聲が上がることの証明でもあり、“私の負け”が確定するものでもあります。
私の負けというのは、沢山の人の中で“事実じゃない”と共通認識を持たれることです。
私が反を上げている方と同じ立場でも“噓だ”と決めつけてしまうでしょう。
「どうなんですかー?」
「やっぱり新聞部の部費のために加擔したんですか?」
「なんか夏休み前、左道さんとよく喋ってたよね……」
反の聲は止みません。
壇上ということもあり、ほとんど全ての方の顔が見れるため、徐々に私を蔑んで見てきているのが分かってしまったり、薄ら笑うような表を浮かべたりしている方もいます。
さながら真っ黒な雲が育館を包んでいくようなものでした。
「勇人くん…たすけてよぉ…」
誰にも聞こえないように小さく呟きます。
壇上では一人、誰も助けてはくれない。
分かってました。分かっていましたけど……真っ黒な雲は徐々に大きくなっていってます…。
その雲の中に金髪でしい見つけました。
私は無意識のうちに「私と変わってくれればいいのに」なんて酷いことを考えてしまっていました。
もうダメだ。
私は一人じゃ何も出來ない……。
空嘔吐きがこみ上げてきています。それにより吐き盡くした空気は、真っ黒な雲となり私の神なかを蝕む。
いつもいつも勇人くんに助けてもらってばっかりで。
私は私がけない気持ちでいっぱいになりました。
【新転勇人】
スマホを開くと―12:10と表示されており、既に育館での作戦は始まっているようだった。
壁伝いにふらつく足で向かっているため、かなりの時間を要していた。
だがもうそこに育館り口が見えてきた。
あとし……あとし…。
―何とかり口のドアにたどり著けた俺は、息を整えるために壁に寄りかかるようにして休む。
―その時だった。
「何が學園のアイドルだよ、笑わせんな。ただの悪じゃねーか。その新転って奴のことも騙してんだろ?」
中で何が起きているのかは分からない。
新天さんと激しい口論をしているかもしれない。
逆に完なきまでに論破されて、苦し紛れの一言だったのかもしれない。
新天さんが一方的に罵詈雑言を浴びせられているのかもしれない。
そう。さっきも言ったが、中を確認するまでは何が起きているかは分からないのだ。
だが俺のはいていた。
新天さんへ酷いことを言ったことだけは分かるから。
ドアへと力強く指をかけていた。
新天さんを傷つける言葉だから。
そして、力いっぱいドアを開けていた。
何より俺が傷つく言葉だから……ッ!!
「ッざけんじゃねぇぇ!!」
勢いに任せ、その言葉に続ける。
「騙されてなんかねぇよバーカ!現実見ろよ!新天さんは俺の彼なんだ!」
そう吐き散らしたが、の熱が収まらない。
俺は普段なら考えられないような態度で壇上へと向かう。
人の目線はいつもより激しいものだった。
―壇上に上がり新天さんの隣へ行った俺は、開口一番こう言った。
「なんか大口叩いてすいませんでしたァーッ!」
そう。
燃やし盡くされるような視線に熱を奪われ、俺は至極冷靜になっていた。
だって怖いよ!
バーカとか現実見ろとか言っちゃったんだよ!?
闇討ちどころかこの場でひきにされるよ!
隣の新天さんはクエスチョンマークが止まらないといったところだろうか。目をぱちくりさせて俺を見ている。
ごめんなさい新天さん。
でも―
俺はそんな彼の頬へ手をばし、口付けをわした。
「おいテメェなにやって―」
「新天さんが可そうだ―」
「レイプだ!警察を―」
皆一律に俺への怒りの聲上げるがを離し、再び怒りの聲を上げているものに顔を向けると、また皆一律に一つの終著點へと到著していた。
それは―
「「「新天さんがけてる!!!?」」」
「えっまじ?」
あ―
「きしゅ……はぁ…勇人くんからキス…」
本當にけきってる!!
ごめんごめん。
俺の思ってたのと違った。
皆一律に、現実を直視して“絶”の表を浮かべていて俺ウハウハなじになると思ってたのに……えっ!?
「勇人くん…?」
そんなとろりした瞳を浮かべる新天さんが俺の名前を呼んだ。
まだが上気しているようで、ふわふわとした雰囲気をまとっていた。
「もっかいしよ」
「まじですん―」
新天さんを塞がれた。
橫目にみんなを見ると、“絶”を通り越して“呆れ”“ドン引き”の表を浮かべている人がほとんどだった。
あれ―見覚えのある二人が……。
「…るよ……し…るよ!」
…ん?
「閉めるよー!」
背後から小さな聲で左道さんが呟いていた。
俺は頷いて応答する。
「あっ…離れちゃやーぁ」
ちょっと新天さんまじで、純劇のラストシーンみたいになってるから!幕が降りてきてるのにキスしてるのラストになっちゃうから!!
「そろそろ離れんかい!」
「あうっ」
左道さんが新天さんへチョップを食らわし現実へ強制帰還させる。
が離れ自由を取り戻した俺は、さっき見た“見覚えのある二人”を確認するため、幕から外をのぞき込む。
―だがそこにはその二人は殘っていなかった。
【????】
勇人に彼……?
昔は「お姉ちゃんと結婚するー!」って無邪気に言ってた勇人が……?
【?????】
新転に彼…?
あいつ私が騙してから一層オタクになったのに何であいつが幸せになってんの?
まぢで意味が分からない。
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