《非リアの俺と學園アイドルが付き合った結果》私のまだ浸る慨と俺のトラウマ

三十七話

【新転勇人】

「な、何であいつが……?」

「んー、あのあとすぐ別れたからわかんないけど…」

「けど?」

「まだくだらないことしてるみたいだよ」

悸が止まらない。

何であいつが今俺の前に?

まずい…周りの音がぼやけてきた。水の中にいるみたい…。

「大丈夫。お姉ちゃんがいるから!ね!?」

大丈夫だ…。新天さんがいる。俺はもう獨りじゃないんだ……。

それに今は真奈姉も。

「真奈姉…俺どうすれば……」

音が不明な中、真奈姉の聲がはっきりと聞き取れるはずもないのにそう呟いていた。

「大丈夫。大丈夫だよ。お姉ちゃんが守ってあげるから…」

うまく聞こえなかったが真奈姉は確かにそう言った。

そしてそれを最後に俺は深い眠りに落ちていった。

【花咲莉子】

「新転に彼…か。」

北野ハナの取扱説明書を聴きながら、今日あったことを思い出す。

オープンスクールの手伝いの予定で行ったはずの戸高校で新転に會うなんて。

知らないお姉さんも。

今日は不思議が多い日だった。

「あたしは何やってんだろ…」

適當な男をとっかえひっかえして、金を貢がせる。

當然相手の方は“ただ別れられた”と思っているだけ。

の服とか良さげなバッグを貰っては、男を変える日々。

クラスの一部からは“ビッチ”“軽”と囁かれ、一度起こってしまった波は別の波が立つまで止まない。

元は私たちが悪かったのだが、そんなことを言っても彼は許してくれないだろう。

私はもう彼から離れることは出來ないし、偽りで満ちた彼との“人ごっこ”を続けるしかない。

「何で私が……」

悪いのは私だ。

分かっている。

私のキャンバスは新転を騙してからずっと灰に染まったままだ。

【新天円香】

「勇人くんと人同士にぃ…」

私はまだ慨に浸っています。

「勇人くんの彼に…」

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