《非リアの俺と學園アイドルが付き合った結果》あたしのノスタルジックなと俺の死と隣り合わせなレベリング

四十話

【金霧杏佳】

「今日もログインしてない……か」

私はいつもの通りMMOを開いてフレンド欄【お気にり】の所を見る。

勇っちは最近オンラインになっていない。

やっぱり新天と付き合っていることが原因なのかな…。

「……原因って…なんであたし悪いように言ってんだろ…」

新天にとってもいい事なのに。

勇っちにとっても……良い事なんだよね…?

MMOなんて人が離れやすいゲームNo.1だもんね。仕方の無いことだよね。

レベルキャップも解放されてるのに…。

いつもなら勇っちのほうからレベル上げにってくるのに。

あたしだけでは効率が悪い……。

勇っちの大切さと、改めて銀杏だけの勇っちじゃないということを思い知らされた。

【新転勇人】

「今日はマジで疲れた……」

ベッドへ突っ伏しながら今日のことを思い出す。

あの後、俺の小さい頃の恥ずか死話をしようとした真奈姉を取り押さえ、その時真奈姉が“故意に”俺へを押し付け、それを見ていた円香大驚愕。

俺大ピンチ。

その後も真奈姉による妨害で円香は驚愕を通り越して大混

帰る頃には呂律が回っていなかった。

でも、「巨……やはりか…」と呟くときだけははっきりと言葉にしていた。

「新天さ、円香が彼か…」

今更ながらそんな実を得ていた。

―そういえば円香と付き合い始めてから“俺は”MMOにログイン出來てないな。

円香は暇な時間にやっているようだが俺はカンスト勢ということもあり、やることがレイドぐらいしかないため全然ログイン出來てなかった。

先輩は……銀杏さんはどうなんだろう…。

「久しぶりにやるかー」

俺はMMOを開く。

見慣れていたはずのオープニング畫面に懐かしさすら覚える。

慣れた手つきでフレンド欄を開く。

「…まじかよ……」

そこには、どうやら俺がにうつつを抜かしている間に解放されていたレベルキャップに到達している銀杏さんのネームタグと、レベル順ソートにより“その下”に位置していた円の文字があった。

「まじか裁師…」

俺とのレベル差がハッキリと出るほどに解放されており、三人の中で俺が一番レベルが低かった。

そして、ワールドランキングもランク外へ飛ばされていた。

今の時間を確認する。

針はまだてっぺんには遠かった。

「よし…。やるか!」

俺は今までの時間を取り戻すかのようにMMOへと興じた。

〜一時間後〜

「まだだ!あと140s…」

※sとはスタックの略でこの小説では1sで99表記。

〜三時間後〜

「あと100切った…」

〜五時間後〜

「あと70……」

徐々に取り戻してきた……。

もうちょっとだ…。

〜七時間後〜

「ぁ…朝日だぁ…きれぇ…」

〜九時間後〜

「ぁれ…?なんでおばあちゃんがここに…?俺に會いに來てくれたの…ぉ?」

今そっち行くね…ぇ……。

〜十二時間後〜

「あぁ!!終わった!なんだろうこのじ!ランナーズハイ的なやつ!?」

もはや眠くない!

さっきおばあちゃんに會ってから全然眠くもないしお腹も減ってない!

それにこの川渡り著ればもうし楽になれる気がする!

―ん?

おばあちゃん?

川?

楽になる……?

「―うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ死ぬぅぅぅぅぅう!!!」

「にぃ!!?」

ゆ、結花…?

何でそんなに“もう二度と會えない人に會えたとき”みたいな顔してるの?

俺死んでたの?

「に、にぃ大丈夫…?」

「大丈夫って?」

俺は今、夢で三途的な川を渡ってて……。

「だって半目開けながら、うへぇ…あとちょっとだァ…あはぁ…んひ…んひひィ…。って言ってたんだよ?」

「それが一杯の真似ですか妹よ。」

お兄ちゃんは誠に憾ですよ。

「似せようとしてないもん!」

「そ、そっか。で、結花はそんな俺を心配して隣にいてくれたと」

「ちっ―違うもん!!心配なんかしてないし!にぃを心配なんて、百萬円積まれてもやらないんだから!」

あらそう?

“にぃ”って出ちゃってるけど大丈夫かな?

お兄ちゃんはどっかの鈍系主人公じゃないから分かっちゃうよ?

「そうかそうか。じゃあ百一萬円積んでやるぞぉー。」

「うぅ…わしゃわしゃしないでぇ…。ばか!ばーか!!」

あっ。

俺が頭でてやってたら顔真っ赤にして部屋出ていっちゃったよ…。

全面的に俺が悪いやつじゃん…。

「またでてしくなったら言えよー!」

まぁ彼ができた俺には余裕があるからまたやってしくなったらいつでも歓迎するぞ妹よ。

―ってゲームは!?レベリングは……。

「か、カンスト……ふぅ…」

半目で人ならざるものになりかけてた甲斐はあった…か。

「良かった良かった…ランキングも二位に返り咲けたし―」

その時、軽快な音を立てて攜帯が著信を報せた。

畫面には、【幸福部:グループ通話】と表示されていた。

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