《非リアの俺と學園アイドルが付き合った結果》私のおあいこと俺のギリ遅刻

四十三話

【新天円香】

「一睡も出來ませんでした…」

早めに待ち合わせ場所に到著してしまった私は、そんな言葉をつい零してしまいます。

昨晩の私は異常と言えるほどにワクワクしており、目を瞑る度に瞼に勇人くんの姿が浮かんで、その度に勇人くんと水際で遊ぶ妄想や手を繋いで浜辺を歩く妄想をしてしまい結果目が覚めてしまったのです。

「―新天か?」

「あなたは……」

私の前に立っていたのは、淺見冬彌くんでした。

「―本當にごめん!」

「えっ!?」

「あの時あんなことして悪かった!」

深く頭を下げてそんなことを言う淺見さん。

「許されないことをしたと思ってる、すまなかった。」

カラオケの時や晝食のときとは打って変わって誠実な態度で私へ謝罪する淺見さん。

どうしたらいいのでしょう。

確かにあんなことをされましたが、正直な話、あれが無ければ私と勇人くんはまだ付き合うことに至ってなかったと思うんです。

あれが無ければズルズルと人ごっこが続いていたと思うんです。

「いやぁ新天がいて良かったわ!真面目な新天のことだから早めに來てるだろうなって思って來てみたんだが正解だったな。出発する前に謝れて良かったわ」

「それだけが早く來た理由ですか?」

「そうだけど?新天とふたりきりになるチャンスなんてここしかないし」

そんなことのためだけにわざわざ早起きしたんですか?

「安心して。もう新天に手を出すようなことしないから。」

ムッ…。

「金霧先輩ですか?」

「ま、まぁ…一目惚れしちまってな」

「ふ〜ん。私みたいに襲わないんですか?」

「なっ―悪かったって…もうしないって」

しいじわるをしたら淺見くんはバツの悪そうな表をしました。

ちょっと面白いですね。

「これでおあいこです。許す許さないじゃなくて、私も淺見さんに対して悪いことを言ったのでおあいこです♪」

「いや…でも俺がやったことと今のじゃ―」

もう!!

うるさい口にはこうしてやります!!

「んぐ…」

私は手に持っていたペットボトルを彼の顔に押し付け、無理やり黙らせました。

ちなみに勇人くんだったらキスしてました。

本當ですよ!?

張して結局出來ないとかいう終わり方じゃないですからね!

「私がいいって言ってるんですからいいんです♪細かいと金霧先輩に嫌われちゃいますよ?」

「わ、わかっらからこれはにゃして」

「あ、ごめんなさい」

私はペットボトルを彼から離し、

「金霧先輩のどこに惚れたんですか?」

彼と會話を始めました。

「そりゃあの、お―」

「っぱいとか言ったら通報して脅迫罪として警察に訴えちゃうかも知れません」

「溫厚なところ!!!」

【新転勇人】

「由ちゃん先生運転できるのかな」

俺はそんなことを考えながら待ち合わせ場所へと向かっていた。

比較的近いとこだから、この前のレベル上げから再熱したMMOのプレイも欠かせない。

「この調子だと10分前くらいに著くな。早すぎたかな?―あ、レアドロ」

どうやら俺の職では効果を十分に発揮しないものだったので、その裝備が最も効果を発揮する職である金霧先輩へと送り付けた。

まぁあの人だったらもう裝備品なんて腐るほど持ってると思うけど。

裝備を送り付けて數分後、銀杏さんこと金霧先輩から“MMO”にてチャットが送られてきた。

【銀杏】ありがと、これからこれ使うね

limeでもいいのにな。

まぁ銀杏さんらしいっちゃらしいけど。

―ん?

どうやらまだ下に銀杏さんこと金霧先輩からのチャットが続いていた。

【銀杏】それよりまだ?もうみんな來てるよ

「なんですと!?」

【勇】すぐいく

俺はそれだけ打って攜帯をポケットへしまい、待ち合わせ場所までの道を走った。

「もう!遅いわよ勇人くん!」

到著して、最初に聞いたのは由ちゃん先生こと婚遅由こんちゆみ先生の聲だった。

この先生に「まだ結婚してないんですか?」とか「苗字が語ってるよねもうwww」とか言ったら怒るからみんな言わないように。

あ、あともう一つ。

絶対に先生の前で、先生の名前を逆から呼んだりしないように。

いいね?

「おっ!やっと來たか勇人!」

「淺見くん!」

控えめに言ってハワイアン。

そんな格好をした淺見くんがサングラスをずらしつつ聲をかけてくれた。

「なぁ勇人」

淺見くんは俺の肩に手をかけ、小聲で、

「金霧先輩と海れるんだよな?」

と呟いた。

はぁ。

のリア充は「オンナ・海・オンナ」なのね……。

俺は々呆れながらも、

れるよ」

と答えた。

それと同時に荷を由ちゃん先生の車に乗せに行ったが、その途中で「イヤッホォォォォオオォウゥ!!」と聞こえたのは無かったことにしたい。

「それでは!準備は出來てますか?」

全員が車に乗ったのを確認し、先生が聲を上げた。

「忘れはありませんか?」

「大丈夫でーす!」

先生の確認の聲へ、海へのワクワクが隠しきれてない新天が返事をした。

「ハイわかりました。でも新天さん?シュノーケルは外しましょうね?あっちについても多分使わないと思うし」

「分かりました!」

新天さんノリノリだなぁ。

ちなみに席は、

真             先

円             金

俺   空席   淺

となっていて、何と先生は七人乗りの車を持っていたのだ。

家族いないのに、結婚してないのに。

「じゃあ出発でーす!」

そんな婚期を逃した先生が出発の號令をかけ、車は目的地の海へ向けてゆっくりと走り出した。

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