《非リアの俺と學園アイドルが付き合った結果》私の占いと俺の匂い

百五十五話

【新転勇人】

清水寺本堂。

毎年、今年の漢字が発表される舞臺でもある。

そして何より有名なのは【清水の舞臺から飛び降りる】このことわざだろう。

意味としては必死の覚悟を決め事を実行することということで、元は清水寺の舞臺、つまり今俺が立っているところの目の前にある柵を越え、崖を飛び降りることで所願就の時に怪我をせずに済み、もしくは死んで仏できるとされ、を投げるものが絶たなかったという。

それが清水寺の舞臺だ。

と、このパンフレットに書いてある

で、俺はてっきり円香が「勇人くんとの永遠に覚悟を!」とかぶっ飛んだこと言って飛び降りるのかと思ってたんだけど……。

あの子は今――

「勇人くん!!早く!!やっちゃいますよ!?やってしまいますよ!?」

と、パンフレットの端っこ、地主神社の辺りで俺を呼んできている。

パンフレットには名前しか載っていないからあそこに何があるかわからない。

あそこで何が出來るんだ?

格安で土地買えたりするの?

……うむ。興味はある。

格安で買えるのなら買って家を建てよう。

夢のマイホームだ。

あとサッカー場を作ろう。

何せクラブチームできるくらい子供しいもんな!

そういうことなら仕方ない。

夢の清水の舞臺からはさよならだ。

円香のところへ行こう。

さようなら清水寺の舞臺。

「じゃーん!勇人くん!これが占いの石です!!」

「そ、そうだね。占いの石……ね。」

「はい!」

ウッキウキで手を広げる円香には申し訳ないが俺の頭はクエスチョンマークで溢れていた。

「勇人くん?どうかしました?」

「あ、いや……別に占わなくても、既に付き合ってるんだしさ?それに……」

「それに?」

周りの視線をすごい集めてるじゃん?

いやぁ、やっぱり修學旅行でも円香は健在なんだなって。

「あのぉ……握手、いいですか?」

「握手?はぁ……?」

見知らぬの子に握手を求められる始末だ。さすがの円香も何が何だかわかっていないというじだ。

「ありがとうございます!」

「いえ、こちらこそ……?」

多分かわいいオーラと幸せオーラで蕓能人と勘違いしてるんだろうな。

仕方ないね。

「……勇人くん?そろそろ……」

「あ、うん。」

ん?これって……なに?

俺がやるの?

それとも一緒にやるの?

「勇人、これ」

左道さんのカメラのケースなど、いわば、持ちをさせられている淺見くんが看板を見ながら言った。

そこには占いの石の何たるかが書かれていた。

要約すると、目を瞑って反対側の石にれたらが葉うよ!やったね!というもので、功するまでにかかった回數で効果が変わってくるらしい。

他人に指示してもらったら家族や友達の助けで縁が実るとか。

つまり円香は俺の指示で石にタッチしたいと。

「なるほど。」

「勇人くんいけますか?」

「うん、いけるよ」

俺の返事を聞き、こくりと頷いた円香は小走りで石まで向かう。

先程まで観客で込み合っていた道がまるでモーゼの十戒のように割れ、反対側の石までの新たな道ができたようだった。

英雄のご帰還を喜ぶ市民たちかなにかだろうか。

皆が固唾を呑んで見守っている。

「目瞑った?」

「はい!」

円香を見るとぎゅーっと目を瞑り、直前に目潰しされた人のようだった。

まぁそんな人見たことないんだけど。

「じゃあいくよ?」

「はい!!」

「そのまままっすぐ。」

「はい!」

俺の聲を聞いた円香はゆっくりと一歩を踏み出す。

そしてもう一歩。

既にし左にズレてしまっている。

これは修正――

…………英雄のご帰還を待っていた市民たちがぞろぞろと道の形を変えた。

そして市民たち全員が俺の方を見て、

グッ!

笑顔で親指を立ててきた。「任せとけ!」と聞こえてきそうなほどの満面の笑み。

「ま、円香、ちょっと右かな。」

「んー、こうですか?」

「んぁーちょっと右すぎる。」

「はい」

市民たちのおかげで石までの道のりが直線で見れているから楽だ。

英雄バンザイ。

「あ!勇人くん!私の前に立っててください!勇人くんの匂いを辿ります。」

英雄様はわんこだった。

……それでいいのか、疑問は盡きないが彼むなら仕方ない。

円香がむなら俺は世界だって敵に回す。

オレカッコイイ。

「くんくん……こっちですね!」

円香は俺に向かって直進してくる。

俺の彼ながらすごい能力だ。

正直神様に申し訳ない気持ちになってくる。きっと匂いで就させようとするの子なんて未だかつていなかっただろうな。

「神様ごめんなさい」

「勇人くん何か言いました?」

「いやなんでもない」

俺はただ、匂いをたどって俺の、石のところまで向かって歩いてくる円香を見ている。

でも、彼氏の匂いを辿って歩いているの子とか正直みんな引いてるんじゃ――

「すごい……」

「このお方すごすぎる……」

崇められていた。

「もうこの方がここの神様でいいんじゃない?」

崇め奉られそうになっていた。

一方で當の本人は――

「あ!匂いが強くなってきました!」

それでいいのか……。

同じように匂いを辿り、近づいてくる円香。

しかし。

――それは円香と占いの石との距離が、すぐそばまで迫った時だった。

みんなムキになっちゃってw

いいよ強がらなくてw

井戸は知ってるから。

ね?

妄想の中にしかパートナーがいないって知ってるから。

ふふふ

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