《非リアの俺と學園アイドルが付き合った結果》私の慣れと俺の霊圧
百五十八話
【新転勇人】
晩ご飯は旅館の食堂のようなところで集まって食べる仕組みだ。
俺の服をぎ捨てることに耳を貸さない円香を渋々連れだし、淺見くんが見つけてきた左道さんと共に食堂へと向かった。
食堂へつくと、班の機ごとに鍋がふたつ。
「勇人……これってまさか……」
「勇人くん見てください!すき焼きですよすき焼き!!」
近い機に駆け寄って、飛び跳ねながらはしゃいでいる。
かわいい。
けど、
「分かったから、飛び跳ねるのは危ないからやめなさい」
「はーい」
最悪な未來を避けるため注意を促す。
円香はちょこちょことこまりながら俺の元へ戻ってきた。
ポケ○ンってこんなじなのかな。
サ○シもピカチ○ウが戻ってくる時こんなほっこりした気持ちなんだろうな。
「おかえりピカチ○ウ」
「ピカチ○ウ?ぴかぴか!」
「あ、ごめんこっちの話」
俺のピカチ○ウは喋れるんだった。
忘れてた。
「勇人!俺らの機やばいことになってるぞ!?」
「やばいって?」
割と遠いところにいる淺見くんのところへ駆け寄る。
……まだ淺見くんまではある程度の距離があるのに…………なにあれ。
他の機と俺たちの機を何度も互に見る。
うん、幻じゃない。
「なにあの尋常じゃない量のと野菜たちは……」
ほかの席と見比べても他は平坦で白菜がしこんもりしているくらいなのに、俺たちの野菜だけ山になってる。なんならも山になってるから、天國の山と地獄の山が相見えた瞬間のようだ。
近づいてみてもやはり景は変わらず、雙峰がどっしりと佇んのでいた。
「勇人くん、これ!」
円香が指差すのは小さな紙切れ。
そこには――
『新天さん用。』
とだけ綴られていた。
「こいつらなんのつもりだ……まるまると太らせて食うつもりかよ」
それに俺たちの分ないのかよ。
これやばいな……修學旅行の晩飯まで納品されんのかよ……。
「勇人くん安心してください!分けっこしましょ!」
どうやら當の本人はこの待遇になれているようです。
「いや、返した方がいいんじゃないの……?」
さすがにこの量はやばいでしょ。みんな死するんじゃないか?
「いや私もそう思ってたんですけど中學の時にそれを告げたら、あげるって聞かない人がいて……」
なるほど……俺には割と頑固な時あるけど、他には一歩引いて遠慮しちゃうのね。
「そっか……かわいいっていうのも考えものなのね。」
「勇人くんの霊圧が……デレた……?」
「ちょっと勝手に人の霊圧と対話しないで、てか霊圧がデレるってなに?」
かわいいって言っただけでデレたって思われるとか……なんか申し訳なくなってきた……。
俺の霊圧と対話を果たした死神代行黒崎円香は席に座ってお手拭きをにぎにぎしながら笑顔を浮かべていた。
「勇人くん!私お野菜いっぱい食べますね!赤ちゃんのために!」
「うん、最後のは余計だね。まだ授かってないでしょ?」
「心にはもう授かってます!なんなら今8歳です!」
「だいぶ育ってんなぁ!」
「はい!大事に育てました!」
左道さんと淺見くんがなんだこいつらみたいな視線を向けてくる。
當然の反応だ。
なんなら俺も何してるか分からない。
「勇人くん!」
「なに?」
「私満足です!!」
「おっ、そうかやったじゃん」
くだらない會話をして満足って相當いい子よね。言い方悪いけど、この世界には金で満足するようながいるみたいだしね。
「勇人くんおにくたくさんたべてください!か男の人がどこかでお泊まりするときはをつけなければいけないってお母さん行ってましたから!」
何余計な知恵つけさせてんだよあの人!
円香の知識があらぬ方向へいってしまうぞ!?
「勇人くんのは私がよそってあげます!妻として!」
「そっかありがとう」
「勇人が認めたァ!?」
何を言うんだい淺見くん。
たまには認めてあげないと円香がかわいそうでしょ!?
「淺見さん。殘念ながらもう勇人くんは私にメロメロなので夫としての自覚が出てきてるんですよ!」
「ハイソウデスマチガイアリマセン」
「勇人くん?どうかしましたか?片言になって――」
「円香大好き!かわいい!」
「えへへー♡私も大好きですよ♡」
ふぅ、危なかった……。
円香がチョロくて助かった。
顔の変わりようがすごかったぞ、訝しむような表から、目の端が下がってけたような瞳になったからな。
「円香すごいね〜。今の表の移り変わりを撮っておきたかったよ」
どこから取り出したかわからないドデカいカメラで「えへへ勇人くんがかわいいって♡えへへ♡」と壊れたように呟く円香を連寫している。
訂正、壊れたようにではなく、元から壊れている。だな。
「勇人勇人」
淺見くんが近くに寄れと手をこまねいてくる。
を寄せると口元に手を當て、耳打ちをし始めた。
「実際のところいつ結婚するんだ?」
なるほど。
こりゃ円香に聞かれたらまずいな。
俺も淺見くんの耳に手を當て耳打ちをする。
「多分卒業したらなし崩し的にすることになるよ。」
「お前なんだかんだで新天に逆らえないもんな」
「まぁね」
遠くない未來に思いを馳せ、夕食の時間を待った。
………………言わずもがな、すき焼きはとんでもない量になり、食事なのに全員満創痍になって部屋へと戻っていった。
おい……なんでそんなにあったけぇんだよ……。
みんな急に溫かみを出すのやめて?慣れてないからそういうの!
ほら!いつもみたいに罵ってよ!ハァハァ
ほら早く!ハァハァ
クズって言ってよ!ザコって言ってよ!ピギュ
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