《非リアの俺と學園アイドルが付き合った結果》私の追懐と俺の先生のもひもし
百六十二話
【新天勇人】
「…………で、何をそんなに買ってきたのさ」
無事に新幹線に乗れたので、まず淺見くんの大荷について聞いてみた。
淺見くんは、集合時間の5分前にとんでもないくらいの笑顔を浮かべて大荷を抱えて戻ってきたのだ。
聞く暇もなく新幹線に急いだので聞く暇がなかった。
なんならそれ以上に疑問に思うことあるけどね?
例えば、こんな急なのに一學年分も新幹線の席が空いてることとかかなり疑問だし、テロでもあったんかってくらい駅で白の人が至る所に座ってたし。
「勇人ー聞いてるか?」
「あ、悪い」
もしかしたらそこまで淺見くんの大荷については気になってないのかもしれないな。
「朝一で先輩から電話があってな、修學旅行とはいえ寂しくさせたお詫びにお菓子買ってきてって頼まれてな。」
で、その量かよ……ビッグダディでもそんな買わんぞ。
片手に大きな袋を3つずつ、計6つも持って現れたからな。
「先輩そんなに食べきれるのか……?」
「んー……まぁ大丈夫じゃね?賞味期限まで長いの買ってきたしあって困るもんじゃないだろ!」
「ま、それもそうだね。」
俺が買ってきた八ツ橋や柿ピーを頬張りながら言葉をわす。
「そんでさ、わりと最初のあたりから気になってたんだけどさ」
「ん?」
どうやら淺見くんにも気になることがあったみたいで俺を指さしながら言った。
「それはそれでいいの?」
下から上へ、指先をかして“それ”を示す。
「んぁー、これね。多分いいと思うんだけど……いいよね?」
初めの“それ”へ聲をかける。
「はい!なんか勇人くんのになってるみたいでいいですね!興します」
「らしいです」
「なんか……あれだな。人ってこうも変わっちまうんだな。」
「確かにそうだね……変化の階段六十段くらい飛ばしてる気はするよね」
最初に告白されたときのあの、可憐さというか神々しさ?なんか後さしててもおかしくないような雰囲気は見られない気がするな。なんなら逆なまである。
「初めは清楚でお嬢様が強かったのになぁ……」
「勇人くんといると我を忘れてしまうんですよね」
なるほど、我を忘れてしまってパンツをしがるわけだね?
「なぁ勇人……」
手をこまねいて耳打ちを促してくる淺見くん。
円香に聞かれるとまずいことでも話すのか?
促されるままに耳を傾ける。
「まずないと思うけど、多分、お前浮気したら殺されるから変な気だけは起こさないでくれよ?」
浮気なんてするわけない!!
できないもん。
いや、円香だったらもしかしたら既に俺の部屋に監視カメラつけててもおかしくないし。盜聴の一つや二つあっても「あ〜」って納得しちゃう気がするしね。
「――淺見さん?」
と、耳心地良いき通るような聲が響いた。
「勇人くんは浮気なんてしませんよ?」
スっとを起こし、ね?と言わんばかりの表で俺に視線を向けてくる。
淺見くんは石になったかのようにかなくなってしまった。
「淺見さんも、先輩に何かあったら私ぃ……」
心做しか淺見くんの足が震えてる気がする。
円香は笑顔で、それはもう満面の笑みで言った。
「なにするかわからないですよ」
「は、はぃ……」
可らしい聲で可くないことをいう俺の彼は、笑顔を崩さず再び俺の膝で眠りについた。
もう円香には逆らわないようにしよ。
頑張ろ。
うん、まじで去勢されるわこれ。
︎
「――――そういえばなんですけど、」
「ん?」
膝枕に飽きたのかはたまた満足したのか、を起こして俺へもたれ掛かってくる円香。
どちらでも良いが、多分後者だろう。心做しかがつやつやしてる気がするからな。
「確か、由ちゃん先生この修學旅行終わったら告白するとか言ってませんでした?」
「「あ。」」
淺見くんと聲がかぶった。
どうやら淺見くんも忘れていたみたいで目をぱちくりさせている。
「ちょ、ちょっと由ちゃんに確認してきてもいいか?」
「あ、あぁ……」
円香の妄言ではないことは確かだが、由ちゃん自は覚えているのかそこが一番大事だ。
萬が一だが言い出しっぺが今ここで大聲を上げて思い出したりなんかしたら――
「んああああああああああぁぁぁ!!!!」
おぉん。
︎
ということで先生に來てもらった。
「べ、別に忘れてたわけじゃないのよ!?朝から忙しくてそんなことに頭回らなかっただけで……」
「そんなこと?」
「ぁ……うぅ……」
告白することを“そんなこと”と片付けてしまったことに気づいて自している。
朝からだいぶ忙しかったのだろう、なんかいつもより小さく見える。
「で、話を戻しますよ?」
この場を取り仕切ることになったのは唯一このことを覚えていた円香だ。
「まず、帰ったら告白時の服を選ぶんでしたよね?」
「うん。」
「おっとなんか面白い話が聞こえてきたぞ?」
円香が寄りかかっていた背もたれの上からどこからともなくひょこっと現れたのは左道さんだ。
なんだか久しぶりな気がする。
「真結!真結も一緒なら百人力です!」
「ほぉ〜れ円香はかわいいなぁー!」
といって円香の顎下をでる左道さん。
「ひゃっ……やめてっくださいよぉ、」
「いい事教えてあげるよ、円香はここと、首と耳が弱いよ」
この數日でなにやったんだ……ッ!
修學旅行中そこまで見かけないなぁって思ったらなんてことしてやがんだ!ずるい!
「で、でもっ……一番弱いのは勇人くんからのお願いとか、勇人くんの聲とかですよ?」
「クッ……!!眩しすぎるッ!直視出來ねぇ!!」
俺の彼がかわいすぎる件について。
照れてるからってチラチラ俺の方見てくるのやばい。目を見て言われるよりも破壊力ある。
「は、勇人?そのへんで終わらせないと由ちゃんが……」
「ぁ……ぁうぅ……浄化される……聖の力にぃ……」
それで負けたらあんた悪になるけどいいんか。
「ゆ、由ちゃん大丈夫だって!由ちゃんだってあと數日もしたら……ね?」
淺見くんがフォローにる。――が、こんな簡単な言葉で由ちゃんの傷が癒えるわけ……。
「あぁそうだね!もうあれだから!なんなら一緒に學校來て一緒に授業してやるわよ!」
元気百倍どころじゃない騒ぎで生き返ったぁ……。
そこらへんの人に顔()おすそ分けしかねないぞ。
カバOくんとかに。
「で、帰ったらすぐ行く!?それとも明日?明日にする?」
あーもう完全にエンジンかかっちゃったよ。
半分以上俺たちが悪いから文句言えないけどさぁ。
「ま、まぁ、明日でいいんじゃないですかね」
「そ、そう…………?あ!いいこと考えたわ!電話して予定聞いてみるっていうのは!?」
「先生!!」
突如出た先生の迷案に俺たちは聲をそろえて言った。
「「「まともに喋れる?」」」
「うっ……しゃ、喋れるわよ!私だって大人なんだからね!」
すると先生はスマホを取り出して勢いに任せて本當に電話をかけてしまった。
・
・
・
・
・
・
・
「ぁ……」
「いや今更どうしようって目で見ないでくださいよ」
コール中なのであろう、先生が喋り出すのを固唾を呑んで見守る。これで既に繋がっているとかだったらさすがにお手上げだ。
數秒経ち、先生の肩がし震えた。
「も、もひもし!!」
「「「(噛んだぁ……)」」」
張で震えているであろう先生とは裏腹に、俺たちは別の意味で震えていた。
「あ、あの、由です!あのバーの……はい!その節はどうも。」
おぉ。
これはわりと話せているんじゃないか?
いつもの半分くらい小さくなって電話してるけど。
格好はともかく話せているのは間違いない。
このまま上手くいけば……。
「はい、それでですね……あ、ふふっ♪はい。そうですね。あの、それでですね?今回お電話したのには理由がありましてですね……」
いやそれにしても丁寧すぎない????
取引先なの?営業の電話みたいになってるよ?
「はい、あのですね、近日中にいつものバーでお會い出來ないかなぁ……って。あ、あれですよ?もちろんお仕事が忙しかったら全然いいので!なんなら斷ってほしいまでありますから!」
…………乙すぎんか。
乙すぎて斷ってしいっていっちゃってるじゃん。
「あ、あはは…………はい、分かりました………………明日?はい明日ですね、分かりました。では、はい。失禮しますぅ……」
「先生かわいいですね」
つい小言が口をついて出てしまった。
噛んだり、異様に丁寧なのがなんかかわいかった。
「なっ!なんでそうなるのよ!」
「そうですよ!浮気ですか!?浮ついてるんですか!ぷかぷかですか!?」
どうやら口をついて出たのは小言なんかじゃなく弾だったみたいだ。
んー……こういう時は。
「あ!円香外見て!ハートの雲!」
「えっ!どこですか!勇人くん二人で見たらが深まりますよきっと!」
これに限る。
こんなにもちょろいところも円香のいい所でもあるよな。……いいところだよな……?
「むー!全然見當たらないじゃないですか!」
「んぁー……そう?俺だけしか見れなかったかー殘念だ。実に殘念だ」
「次は絶対一緒に見ますからね!」
次も何も始まってすらいないんだけどね。
︎
「良かったのですか?」
「ん?あぁ、新幹線のことかい?」
「はい。」
「まぁ大丈夫じゃない?ギリギリ明日のチケットが取れたんだし。もしダメでもタクシー使ってたよ」
「そうですか……」
「ま、これだけの人數いるから中には今日中に帰りたかった人もいるだろうね。その人たちには申し訳ないことをしたと思ってる」
「は、はぁ。」
「ま!いいじゃん!結果的に明日帰れるんだし!もう一泊してこうよ!俺もっとそば食べたかったんだよね〜」
毎度コメントありがとうございます。
今日から心をれ替えて、すごい丁寧な人間になろうと思います。
読者様は神様。
運営様も神様。
わざわざ面倒なコメントをくれる方は尚神様。
私はそんな神様の下僕なのです。
あぁ神様、すばらしきかな。
ってね。
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