「……高橋くん……起きて……高橋くん」

 弱い聲音で俺の耳から優しく聞こえてくるその聲はどこか懐かしさをじさせた。

 ん？……何か聲が聞こえてくるが、きっと気のせいだろうと思いながら再び自分の世界にろうとする。

 窓の外からは日差しの威圧をじる……しかし心地よい風との相がちょうどいい。

 辺りを見渡すとそこは靜かに授業をけているクラスメイトの姿が見えた。

 ここでふと我にかえる。

 あれ？もしかして寢てたのか……。

 「大丈夫？夜更かしはあまりに良くないよ」

 代はそう言うと再び黒板の方へを向けノートをとりはじめた。

 今は現代文の授業で夏目漱石の坊ちゃんについて詳しく解説をしていた。

 ……とりあえずノートを取るか。

 俺は教科書とノートを開き黒板を見るとだいぶ容が進んでいて全く分からなかった。

 ……現代文って分からない漢字とか出るとせっかく語にり込めてもいちいち調べなくちゃいけないからなぁ〜。

 俺は教科書をパラパラっとめくるとノートの角で軽く肩をつつかれた。

 見ると腕を組みながらノートを渡して來た志保の姿が俺の視界にうつった。

 「別に高橋くんのためにやっているわけではないのだけれど、私はすでに問題を解き終えてしまったし……それにクラスメイトの手伝いをすれば申點が……」

 「ふふっ、志保ってば素直じゃないんだから」

  とっさにツッコミをれる代。

  2人ともどこか楽しそうでとても普段は喋らない2人とは思えなかった。

 「な、なによ、本當にそう言うのじゃないんだから」

 俺はその景を見ていろんなことを走馬燈のように思い出した。

 え？俺死ぬの？……と言うか思い出が2人に殺されそうになったりしばかれたりするところなんだけど……。

 「と、とにかくさっさとノートを取りなさいよ」

 そう言うと志保は読みかけの本のしおりを取るとそちらに集中し始めた。

 授業中に本を読む余裕があるのか……羨ましい。

 「ふふっ、本當に志保は素直じゃないんだから」

 ふっ……同だ、わざわざ知らない人の為にノートを見せてくれるなんて……。

 俺は悲しそうな目で志保のノートを見た。

「そういえば私普段ライトノベルとか読まないけどなぜかあるシリーズだけ読んだのよね〜」

 代は獨り言のようにそう言ってきた。

 ……え？そこの記憶は変えられてないのか？

 「それに高橋くんが結婚がどうのって言ってた時あったじゃない？あの時にな〜んか大切な事を忘れてる気がして〜」

 代はだいぶモヤモヤしているようだった。

 思い出したくても思い出せないのだろう。

 「……それは」

 俺はそれ以上はなにも言わなかった、言えなかった。

 放課後になると帰りのホームルームで夏休みの課題について詳しく話された。

 明日は終了式でし退屈になる。

 「それじゃあみなさん、明日は終了式なので出席番號順に並ぶよう、それではお疲れ様でした」

 先生の挨拶とともにクラスメイトが立ち上がった。

 「よっしゃ帰ってドラクアやるべ！」

 大聲でそうぶと彼は走り去っていった。

 騒がしい人だなぁ〜、まったく話したこともない人だけどドラクアやったことあるのか〜。

 あの彼がのちに俺たちと関わりを持つようになるのは案外すぐの事であった。