《初めての》友達02
「呆れるくらいつまらない會話ね。みやび、高校二年生になってもちっとも変わらない」「な、なんだよ! どんなことにも流されず己を貫くことはいいことなんだぞ」「長しないのと、己を曲げないことは別よ別。みやびは己を曲げないんじゃなくて、の子への対応方法が分からないお子ちゃまなのよ」「な、な、なんだと! じゃあ、奈緒こそどうなんだよ! うまいこと言えるのか?」
最近恒例になる奈緒との口喧嘩が始まる。
「今日も春香は綺麗だね? 窓辺の小鳥たちも春香を一目見るために毎日通っているに違いない」「ちょっと、奈緒ったらそんなこと言わないでよ」「僕は真実を言ったまでだよ春香。さあ、一緒に屋上でお晝寢をしないかい?」
なんだこの茶番は。奈緒は自分の言葉に分かり易く照れる春香さんの手を握り屋上に向かおうと歩きだすもんだから、僕は深くため息を吐き出し機に腰かけ直した。
「まったく。奈緒、最近興味あるって言ってた演劇のセリフだろそれ? きざ過ぎないか?」「あ、ばれた? このくらいみやびにも言えるようになってほしいねお姉さんは」「なんだよお姉さんって」「今さっき千春がみやびを弟みたいって言ってたわよ。だから、私たちお姉さんが寂しいみやびの青春にを付けてあげようと思いましてね」
清々するほど上から目線。思わずプライドが砕かれそうになる。でも、二人にはどうやってもでは敵わないので言い返す言葉も見つからない。それが僕という人間である。
「まあ、頼むよ」「あれ、意外と素直じゃん。どうしたの? あ、も~しかして好きな子でもできた?」
ギクリ。意外と鋭い。さすが僕の馴染である。
「す、好きな子ができた? 僕に? 年齢=彼いない歴の僕にそんなことあるわけないだろ?」「え、そんなの関係ある? 彼いないのはみやびが奧手でただ単に告白できないでいままで生きてきたからでしょ?」「別に好きな子なんてできたことないし、……いままでは……」
確かに告白したことは今まで一度もない。むしろ、好きな子が出來たことも皆無である。と言っても、今は違うので変な言い回しをしてしまい奈緒が怪しげな表をする。
「なんかさ、みやびとクラス一緒になったからってのもあるかもしれないけどさ。私しだけ違和をじるんだ」「違和ってなんだよ」「一か月前から、今日まで。いや、昇降口で見慣れないハンカチを持っていたみやびを見てから、春香とみやびがこうして話すようになる今日まで」
春香さんの手を引いて席に戻ってきた奈緒は、そのまま春香さんを僕の隣に立たせると某ちびっ子名探偵が見せる「腕組みと顎を指先で摑む推理中」ポーズをして僕と春香さんを見據える。
「ずばりみやびは、春香と親な関係になりたいんでしょ? ほら、もっとちゃんとした友達になりたいって思ってるんじゃない?」「はぁ」 覚悟していただけに間抜けな聲が出てしまう。
「そうなんですか?」  春香さんは春香さんで妙にうれしそうに僕を見上げてくる。く~可いなその上目使い。なんて思って大きく頷いた。
「嬉しい。……、私も雅君ともっと友達になりたいって思ってたずっと……」「え、どうしたの春香さん……?」「春香?」
春香さんの瞳から一筋の涙が流れ落ちる。徐々に人數を増すクラスメイトで賑わう教室には不釣り合いで、いままでの會話の流れから理解しがたい事態に僕も奈緒も戸う。
「あ、ごめんなさい。目にゴミがっちゃったみたい! ちょっとトイレに行ってくるね」「あ、ちょっと春香!」
奈緒が止める前に春香は鞄からポーチを取り出し小走りで教室から出ていき、奈緒もそれを追って教室から出て行ってしまった。
「おいおい! なんだなんだか、モテ男みたいだな雅。オレも奈緒ちゃんとあんな會話してみたいぜ」「拓哉、みてたのか?」「ああ、一通りな」「なんで春香さん泣いたのかな?」「ん~、さあ、本當に目にゴミはいったんじゃね~の?」
寢坊で遅刻の常習犯である拓哉が登校したってことはもうしで予鈴がなる時間か。まだまだ出會って一カ月の僕らでは春香の涙の真意は到底わかるはずもない。
「だよな、僕と友達になりたくて泣くの子がいたら見てみたいものだ」「ましてや相手はあの學園での一、二を爭う人で才の春香ちゃんだからな~。でも、雅、お前の気持ちに偽りはないだろ?」「ああ、この思いだけは噓じゃない」「なら、頑張ろうぜ。俺も奈緒ちゃんのこと頑張るからさ」
そう、僕は決めたのだ。この気持ちを春香さんにに告げることを。どんなに時間がかかろうが、どんなに周囲から春香さんと僕とでは不釣り合いだとで囁かれても僕は変わると決めたのだ。
「よ~し、そうとなれば計畫するぞ! カラオケ行ったりゲーセン行ったり方法は沢山あるぜ」
をする。そう言ったのは拓哉であり、そう思っているのは僕である。しだけでもいい。今の関係より一歩でも踏み込めればいい。そう思って僕と拓哉は四人で出來る遊びの計畫を朝のホームルームが始まるぎりぎりまで考えるのであった。
ほんじつのむだぶん
mixi・pixivで無駄文ライターを自稱している私が、 日頃mixiで公開している日記(無駄文と呼んでいます)を 小説家になろうでも掲載してみようと思い実行に移しました。 これは1日1本を目安に続けていこうと思います。 ご笑納くだされば幸いです。
8 178社長、それは忘れて下さい!?
勤め先の會社の社長・龍悟に長年想いを寄せる社長秘書の涼花。想いを秘めつつ秘書の仕事に打ち込む涼花には、人には言えない戀愛出來ない理由があった。 それは『自分を抱いた男性がその記憶を失ってしまう』こと。 心に傷を負った過去から戀愛のすべてを諦めていた涼花は、慕い続ける龍悟の傍で仕事が出來るだけで十分に満たされていた。 しかしあるきっかけから、過去の経験と自らの不思議な體質を龍悟に話してしまう。涼花は『そんなファンタジックな話など信じる訳がない』と思っていたが、龍悟は『俺は絶対に忘れない。だから俺が、お前を抱いてやる』と言い出して―― ★ 第14回らぶドロップス戀愛小説コンテストで最優秀賞を頂きました。 2022/5/23に竹書房・蜜夢文庫さまより書籍が刊行予定です! お読みくださった皆さま、ほんとうにありがとうございます。✧♡ ★ 設定はすべてフィクションです。実際の人物・企業・団體には一切関係ございません。 ★ ベリーズカフェにも同一內容のものを掲載しています。 またエブリスタ・ムーンライトノベルズにはR18版を掲載しています。
8 169女であり男でもある私は復讐をしていきます
容姿端麗、文武両道な伯爵令嬢シトラル・サランバールは國の次期権力者達の嫉妬を買い、15歳の時無実の罪で殺されてしまう。 その後、神と名乗る少年に出會い神に選ばれ、加護を貰っている同い年の子に転生(?)する。 転生した子は男の姿にも女の姿にもなれる體質に強力な魅了魔法と光魔法を持って生まれていた。 その力を使い、無実の罪でシトラルを殺した人たちに復讐をしていくことを決意する 今度こそ最愛の人と幸せな人生を!! 初めて書いた作品なのでまだまだ下手なところは沢山あると思いますが、アドバイスやフォローをしていただけるとありがたいです!
8 134皇太子妃奮闘記~離縁計畫発動中!~
小さな國の姫、アリア。姫の中でも一番身分も低くく姉達に度々いじめにあっていたが、大國の皇太子、ルイス王子から求婚され、三才で婚約した。アリアはのる気でなかったが、毎年會いに來てくれて、「可愛い」「幸せにするよ。」「好きだよ」「君一人を愛する」と言葉に施されその気になっていた。12才でこっそりと皇太子のいる國へ行った····ら、既に側妃を二人娶っていた!しかも女好きで有名だった!現実を突きつけられてアリアは裏切られたと思い、婚約の破棄を父である國王にお願いをしたが、相手があまりに悪いのと、側妃くらい我慢しろ言われ、しぶしぶ嫁ぐことになった。いつまでもうじうじしていられない!でも嫌なものは嫌!こうなったら、円満離縁をしてみせましょう! そんな皇太子妃の離縁奮闘記の物語である!
8 150腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが 特別編 〜美少女転校生と始める學園生活〜
この作品は「腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが」の特別編です。 2年生になった主人公藤山優はある日転校してきた山田ミーシェと仲良くなったことで今までの冴えない學園生活とは一転、振り回されることに?! 學園×戀愛×青春です。 戀愛ものは初めてですが、頑張ります。
8 171家族に売られた令嬢は、化け物公爵の元で溺愛されて幸せです~第二の人生は辺境地でほのぼのスローライフを満喫するので、もう実家には戻りません~
「レーネが売れた! 化け物公爵が娶りたいと言ってきたんだ!」 家族に虐げられていたレーネは、祖母が殘した形見の薬草と共に、化け物と恐れられる獣人、マーベリック公爵の元に嫁ぐことを決意する。 決して不安がないわけではないが、狂気に満ちた笑顔で人の不幸を喜ぶ家族の方が化け物に思えて仕方なかった。 「早く出ていけ。目障りだ」 すでに自分の居場所がないと悟るレーネは、祖母とのある約束を守るため、化け物公爵の元を訪ねる。 しかし、黒い噂が流れる殘虐な公爵様の姿はなく――。 「嬢ちゃん。今は無理せずに休むべきだ」 「無理は良くない、奧方。筋肉が悲鳴を上げている」 屋敷で働く家臣の獣人たちに親切にされ、傷ついた心が癒されていく。 もしかしたら、本當の旦那さまは優しい人かもしれない。 會えない気持ちで思いが募り、妄想という名の戀心が芽生え始めるのだった。 「はぁ~。私の旦那さまはいったいどこに……」 一方その頃、レーネを売り払った家族の元には、なぜか次々に災難が押し寄せてくることになり……? ※この作品は他サイトにも掲載しています。 【無斷転載禁止】小説投稿サイトやYouTubeに載せないでください。
8 153