《99回告白したけどダメでした》13話
「はぁ~、もう疲れた……帰る!」
誠実は不満を言い、そのまま帰ろうとする。
しかし、それを許さない人が一人いた。
「あ、あの!」
「もう! 何! 俺は帰りたい……の……」
誠実に聲を掛けたのは、先ほどまで絡まれていただった。
見た目は清楚なじのだった、ロングヘア―の黒い髪にクリッとした大きな瞳。
誠実の目には、そのの容姿が、襲われても不思議ではないと、わかるほどのだと思った。
「あの、助けていただいてありがとうございます」
「あ、あぁ……すんません、ちょっと今日々あって、がおかしくなってて……怪我とかないですか?」
「はい、大丈夫です。本當にありがとうございます」
深々と頭を下げるに、誠実は「いえいえ」と謙遜した態度を見せる。
これが山瀬さんなら、そう思う誠実だが、殘念ながら、世界はそんなに優しくはない。
「あの、すいません、図々しいお願いは承知なのですが……人道りの多い場所まで一緒してはいただけないでしょうか? またこんな事が無いか、怖くて……」
「あ、良いですよ。この先行くと直ぐ商店街ですから、一緒に行きましょう」
「ありがとうございます。貴方のようなお優しい方が助けに來てくださって、よかったです」
本當は、山瀬さんだと思って助けに來たとは言えない誠実。
口調や仕草、見た目のじから、どこぞのお嬢様のような雰囲気の。
誠実はそんな禮儀の正しいに対し、自然と敬語で話すようになっていた。
「あの、先ほどのあれはやはり作戦ですか?」
「あれ? あぁ、あの諦め宣言ですか? そうですよ、あぁ言えば、頭の悪そうなあの方々は直ぐに怒って向かって來ると思いまして。すいません、不安にさせて」
「いえ、咄嗟にあのような作戦を思いつくなんて、きっと頭の回転が速いんですね」
(言えない! 半分面倒くさくて、本當に諦めようとしていたなんて……)
誠実の本當の作戦はこうだ。
不良たちが誠実に襲い掛かってきたところで、わざとやられ、隙をついて警察に連絡をするという、警察頼みの作戦だったのだが、思いがけず投げ技が決まってしまい、あんなかっこ良い助け方になってしまったのだ。
誠実たちは歩きながら會話を続ける。
「その制服……もしかして西星高校(セイセイコウコウ)の方ですか?」
「そうですよ、知ってるんですか?」
「知ってるも何も、私もそこの生徒です。今日は一旦帰って、著替えて出てきているので私服ですけど」
「あ、そうなんですか! 學年は……」
「二年生ですよ。貴方は?」
「一年です。先輩」
「そうだったんですか、私はてっきり同い年とばかり…」
同じ高校の先輩を助けていたことに、誠実は心驚いていた。
こんなの先輩がいれば、自分も知っていてもおかしくはないだろうか? などと思った誠実だったが、その答えは直ぐに分かった。
(そうだ、俺は山瀬さん以外を見てなかったんだ……)
  こんな素敵な狀況でも、やはり思い出すのは綺凜の事ばかり、誠実は思わずため息をついてしまった。
「はぁ~」
「あの、やはりご迷でしたか……」
「あ、嫌! 違いますよ! ちょっと今日、嫌なことがあって……」
「そうだったんですか……でも、そんな神狀態でも他人を助けられる貴方は、私は素敵だと思います」
頬を赤らめながら言う。
しかし、夕焼けのせいで誠実はその様子の変化に気が付かない。
「誰だって同じことをしますよ。貴方みたいな可らしい人になら」
「え! か、かわいい?? わ、私がですか??」
「はい、そうですけど?」
誠実は「何を當たり前のことを?」と言わんばかりの表でに言う。
言われたはさらに顔を真っ赤にするが、相変わらず夕日のせいで、誠実はその変化に気が付かない。
そんな事をしている間に、商店街についた。
「じゃあ、俺はこれで……」
「あ、待って! 名前……教えてくれるかしら?」
「え? あぁ、誠実です、伊敷誠実。それじゃあ、俺はもう帰るんで、さよなら!」
「あ……行っちゃった……」
誠実は名前を言うと、すぐに走って帰って行ってしまった。
殘されたは顔を赤くしながら、誠実が走って行った方向をただボーっと眺めていた。
「伊敷……誠実君……」
先ほど助けてくれた、ヒーローのような後輩の名前を呼び、は何かを決意したように、スマホを取り出して電話をかけ始める。
「お父様ですか? 申し訳ありません、勝手に出歩いて……はい、訳は帰ってからお話します。それと……お願いがございます……」
は通話を終えるとスマホをポケットに戻し、そのまま待った。
するとの數十秒で、どこからともなく、執事服を著た男が、俊敏なきでの元に駆け付け、の前で膝をついた。
「お嬢様、お怪我はございませんか?」
「はい、襲われそうになりましたが、ある方が助けてくれました」
「なんと! 襲った者はどのような? どこぞの不良ですか? すぐに探して八つ裂きに……」
「大丈夫です、助けてくれたお方が、痛めつけてくれました。それよりも義雄(ヨシオ)さん」
「はい、お嬢様、なんなりと……」
「西星高校のとある男子生徒について調べていただきたいのです」
「かしこまりましたお嬢様。して、その生徒のお名前は?」
「伊敷誠実君です」
言われた執事服の男は疑問に思った。
なぜ特定の生徒について調べなければならないのか、一その生徒に何があるというのか。
「失禮ながら、この義雄、お嬢様にお尋ねしたいことがございます」
「どうかしましたか?」
「その生徒とは、どのような関係で?」
言われたは再び顔を赤らめ、執事の義雄に向かって、らかい笑みで正直に答える。
「気になってしまったんです、彼の事が……」
義雄はの発言に驚き、開いた口が塞がらなくなってしまった。
首を橫に振り、正気を取り戻した義雄は改めてに尋ねた。
「お、お嬢様!! ま、まさか……」
「はい、初……かもしれません」
の言葉に、義雄は顔を真っ青にしてそのまま固まった。
「誠実君……か……」
うっとりとした様子で、は再び助けてくれた彼の名前をつぶやいた。
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