《99回告白したけどダメでした》33話
奈穂は堂々と宣言した。
その表に、恥ずかしさは無い。
兄を好きで何が悪い、そういった表で堂々としたまま、奈穂は2人の反応を待った。
栞と沙耶香は言われて、気が付く。
一番のライバルが妹という、強敵であることに。
「……競爭率が激しいですわね……」
「じゃあ、先輩は降ります?」
「いえ、ますます彼を知りたくなりました」
相変わらずの笑顔で奈穂と沙月にそういう栞。
栞も誠実の噂を耳にしたことはあった。
振られても振られても、へこたれずに告白をする、変わった一年生が居る。
學してからすぐに流れた噂だったが、まさか自分がそんな後輩にをするなんて思ってもみなかった。
しかも誠実は、多くの人間から好かれている様子でそのことにも栞は驚いた。
昨日知り合ったばかりで、栞はまだ、誠実を気になり始めている段階だったが、今日ここで話をして思った。
これだけ好かれている彼が、どんな人間か知りたい。
自分を助けてくれて人が、どんな人間か知りたい。
栞はどんどん誠実の事が気になって仕方無かった。
「私は、まだまだ彼を知りません、なのであなた方よりは現狀は不利です。でも、もしライバルになったら、負けませんよ」
「先輩、それって宣戦布告ですか?」
沙耶香がし厳しい口調で栞に尋ねる。
しかし、栞は穏やかな態度を変えることなく、優しく答える。
「そんな騒なことは言いませんわ、それに私たち気が合うんだと思いませんか?」
「え? な、なんでですか……」
今度応えたのは奈穂だった。
こんなにも迫した狀況下で何を言っているんだ? そう思いながら奈穂は栞に尋ねる。
「だって、私たちは同じ男を好きになったんですよ? それって、良くも悪くも何処か似ているところがあるからだと思いませんか?」
「ま、まぁ…確かにそうかもですけど……でもライバルに変わりはないんじゃ……」
「そんなことを言って、3人で爭うだけでは、巻き込まれる伊敷君が可そうですわ、それに下手をすれば3人とも嫌われかねません」
「う……た、確かに……一理あるかも……」
奈穂は栞に言われ、そんな可能もあるのではないかと思い始める。
沙耶香も栞が言った言葉について考える。
ライバルが増えるのは、うれしいことではない、しかし現狀一番のリードをしているのは沙耶香であり、まだ焦る段階ではない。
むしろ、この2人とトラブルになって、誠実に嫌われることの方が、沙耶香は恐ろしかった。
「蓬清先輩の言う通りかもしれませんね……」
「わかっていただけましたか? なら、ここはいがみ合うのではなく、仲良く互いに勝手にやりましょう」
「「勝手に?」」
「はい、結局最終的に選ぶのは伊敷君です。ならば、私たちはライバルをつぶすのではなく、個人で勝手に彼にアプローチするのが良いと思うんです」
栞の案について考え始める沙耶香と奈穂。
栞の言う通り、確かに現狀を考えれば、そっちの方が邪魔されずに、皆平等にチャンスがある。
しかし、勝手にやるという事は、當然抜け駆けのようなことをしても文句が言えない。
「そんな事言って、蓬清先輩……抜け駆けする気じゃ……」
「はい、もちろんします」
((だからなんで笑顔で、この人はとんでもないことを!!))
栞の発言は、今の話の流れからしてこうも聞こえる、「皆勝手にアピールして、最終的には誠実に決めてもらおう、でも私は普通に抜け駆け的なこともするからね」と。
沙耶香と奈穂に喧嘩を売っているようにしか思えない発言に、沙耶香と奈穂は先輩に尋ねる。
「そ、それだと……結局つぶし合いになりますよね……先輩」
し聲のトーンを低くして、先輩に尋ねる沙耶香。
しかし、先輩は笑顔のままで、優しく答える。
「いえ、抜け駆けがどういうものかにもよりますが……それをけれるか、けれないかも伊敷君次第ではありませんか?」
「「あ……」」
確かにそうだと、2人は気が付いた。
抜け駆けと言っても、誠実に対して何かをすることであり、それを誠実がけれなければ、抜け駆けにはならない、そう考えると、結局は抜け駆けするかしないかも個人の自由になってくる。
「貴方達の方が、私よりも彼を理解しているのではありませんか? 彼がそんな、仕掛けで簡単に落ちるような男ではない、私は昨日今日で、彼にそんな印象を抱きました。それとも、私のこの認識は間違いでしたか?」
栞の落ち著いた言葉を聞きながら、沙耶香と奈穂は思った。
確かに栞の言う通りだと、そんな簡単にものにできるのなら、苦労はしないと、2人はそんなことを考える。
「わかりました、じゃあそうしましょう。みんな勝手にやって、どんなことがあっても恨みっこなしってことで」
「そうですね……々不安はありますが、そのれが一番かもしれません……」
「わかっていただけて何よりです」
話に決著が付き、3人は互いを認め合う。
3人のテーブルには、もう重苦しい空気は無く、ただが3人で仲良く話をしているだけの狀況になった。
3人の話に注目していた店の店員もお客さんも、そんな3人を見ながら微笑む。
「でも、先輩たち変わってますね? あれのどこが良いんですか?」
「それを奈穂ちゃんに言われたくないよ! それにさっきも言ったじゃん!」
「でも、前橋先輩も蓬清先輩も他に良い人が居ると思うんですけど?」
「ウフフ、人は外見だけでは無いという事ですよ、奈穂さん」
兄が好かれるのは嫌な奈穂だが、兄の魅力をわかってくれる人が居るのはうれしかった。
確かに私たちは似ているかもしれない、そう思いながら、3人のは笑い合う。
そんな中、突然誰かのおなかが大きくなった。
顔を真っ赤にして俯いている様子から、沙耶香が犯人だと言う事が、一発でわかった2人。
「……あ、あはは……おなかすいちゃって……」
「何か頼みましょうか、もう時間的にも夕食の時間ですし」
「そういえば私もおにぃを待ってて、おなかペコペコでした」
「じゃあ、何か食べましょう」
そういって、メニュー表を開き、メニューを決め始める3人。
3人の話に注目していた店員たちは、急いでオーダー取る準備を始め、いつ呼び出しのボタンが押されてもい良いように待機する。
知らず知らずのうちに、ファミレスに居た人間全員を注目させていた3人の戦いは、平和的に幕を閉じたのだった。
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