《99回告白したけどダメでした》63話
「おい、もう大丈夫か?」
「うん、ごめん急に……」
しして、ようやく勤の涙は収まった。
勤の様子から、相當今まで辛い思いをしてきたんだろうと考える忠志。
酒もっていたのかもしれないが、忠志は勤の事が心配だった。
「まぁ、あれだ。なんかあったら、また俺と飲もうぜ、どうせ俺は暇だからな」
「ありがとう、そうさせてもらうよ」
勤は久しぶりに心から笑い、心から泣けた気がした。
今なら家族と向き合える気がする。
勤はそう思い、席を立った。
「僕はもういくよ、奧さんの言う通り、家族と話をしてみるよ」
「そうか……今日は付き合ってくれてあんがとな、一人で帰れるか?」
「うん、そこまでお酒もってないからね……店主と奧さんもありがとうございました」
勤はカウンターの二人に深々と禮をする。
いつもの客からは絶対にそんな丁寧なお禮をされないので、居酒屋夫婦はそんな勤の姿にアタフタする。
「な、なんだい…そんな改まって言われると……惚れちまいそうだよ……」
「え! おい、お前! さっきまでの話は何だったんだよ! 旦那の俺が一番良いみたいなじの話だったじゃんかよ!」
「やっぱり、イケメンには弱いのさ……だもん……」
「あ、あはは……」
勤はそんな會話をする夫婦に苦笑いを浮かべ、最後に忠志の方を見る。
「今日は、君に出會えて本當に良かった。ありがとう」
「な、なんだよ急に、そんなん良いからよ、さっさと奧さんと娘さんに謝って來いよ」
「うん、そうするよ」
勤がそう言って忠志に背を向けた瞬間。
忠志は勤を呼び止める。
「勤!」
「………」
「なんかあったら、またここに來い、俺は休日と金曜の夜なら大抵ここに居るからよ。遠慮なんていらねーからよ。もう俺たち……ダチだろ?」
「……あぁ、そうさせてもらうよ」
勤は再び泣きそうになってしまった。
この年にして人生で初めて、友人が出來た。
今日という日を勤は一生忘れるものかと、に刻み込み、居酒屋のドアを開ける。
「あ、すいませ……ん?」
「いえいえ、こちらこそ……」
勤は店を出ようとした際、外から店にろうとした高校生くらいの年と対面した。
咄嗟に勤は謝り、外に出ようとするが、なぜか年が勤の顔を凝視する。
一この子は何なのだろう?
勤はそう思いながらその高校生の顔を見る、よく見ると勤もなんだかそそ顔に見覚えがある気がしてきた。
「あ、あの…君と私はどこかで會ったことがあったかな?」
考えてもわからないので、勤はその高校生に尋ねる。
するとその高校生は何かにハッと気が付き、その場を離れ急いでし離れた場所に居るの子を連れて戻って來た。
そして、勤はそのの子を見てハッと気が付いた。
「し、栞……」
「お父様!! 今までどこに……」
「やっぱりか……ってことは、もしかして……」
店のり口前で溜まって居たため。何事かと思い、店の主人と奧さんが様子をにやって來た。
「なんだい? また勤は泣いてるのかい? ん? よく見たら、伊敷さんとこの長男じゃないか! 親父さん迎えに來たのかい?」
「おぉ、誠実君久しぶりやなぁ! 元気だったか?」
勤の顔を凝視していた高校生は誠実だった。
何やら、店の方から父親の聲が聞こえてきたので、し気になって中を覗こうとしていたところで、勤と対面したのだった。
「あの……もしかしてですけど……親父が……」
「來てるよ、ほら」
奧さんがカウンターで顔を伏せている男を指さしそういう。
服裝から、間違いなく親父であることに気が付く。
なんだか嫌な予がしながらも、誠実は店の中に居る忠志に近づき話かける。
「……親父」
「はい……」
「なんで顔伏せてんだ?」
「ちょっと、さっき自分でも歯が浮くような、恥ずかしいセリフを吐いたんだが、なんか……こう……流れが変わってな、今恥ずかしくて父さん死にそう」
そんな會話をしている伊敷親子の後ろでは、蓬清親子が再會を果たしていた。
「し、栞……どうしてここに……」
「それはこちらのセリフです! 今日一日、ずっと探していたんですよ!」
「す、すまない……ちょっと、々とあって……」
「その々とは何ですか?」
「ゆ、由良……君も居たのかい?!」
「普段、貴方がこんなことをするような人間でないことは、私が良くわかっています。きっと何か事もあったのでしょう……」
「………」
勤は家族に心配をかけてしまったという罪悪と、妻の優しい言葉から、何も言えなくなってしまった。
そんな時、勤は忠志の言葉を思い出した。
『お前もちゃんと家族と話てみろよ』
その言葉を思い出した勤は、栞と由良を向いた。
先ほどまでのオドオドしたじではなく、落ち著いた様子でまずは二人に頭を下げる。
「すまない、迷をかけた」
そんな勤の様子に、栞と由良は優しい笑みを浮かべて尋ねる。
「どうしたんですか? 何かあったんですか?」
「あぁ……実は僕は……」
「あのぉ……取り込み中悪いんだけど、どうせなら中でやってくれねーか? 口前でドラマのワンシーンみたいなことされてると、客がれねーよ」
蓬清家の良いじの雰囲気を壊したのは、店主だった。
勤の話を聞いて居たため、普段なら強く言うところを申し訳なさそうに言い。
店の奧の団用の部屋を一室貸すことを店主は提案し、そこに蓬清家の面々と誠実、そして恥ずかしさですっかり酔いのさめかかっている忠志が集められた。
「で……まず俺から聞いていいですか?」
気まずい雰囲気の中、初めに言葉を発したのは誠実だった。
その場に居た全員が、誠実に注目する。
皆の視線をじ、誠実は張しながら口を開く。
「なんで、うちの親父と先輩のお父さんが一緒に?」
隣でいまだに顔を隠す忠志と、向かいの席に居る勤を互に見ながら、誠実は尋ねる。
すると、忠志は顔を上げ話始める。
「ま、まぁ……々あってな……ってか、勤……いや勤さん、あの……社長さんだったんですか?」
「急に敬語はやめてくれないかい、忠志」
「んだって、恥ずかしいもん! 何! 俺ってこんなすごい人にどや顔で何言ってたの! 恥ずかし! 最後なんて完全にってたじゃん! なんであのタイミングでお前も來るんだよ!」
「親父、恥ずかしいから泣きながらそんな話しないでくれ……」
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