《99回告白したけどダメでした》146話
「恵理さん行きましょう……この人達はダメです」
「へ? 誠実君の知り合いじゃないの?」
不思議そうに尋ねる恵理に、誠実はきっぱりと言い放つ。
「知り合いたくないので、言ってるんです」
「一この人達と何があったの……」
誠実が恵理を連れて店を後にしようとした瞬間、店員姉妹は回り込んで誠実達を店に戻す。
「まぁまぁ、もう既に知り合い見たいなものじゃ無いですか、ちょっと見ていってくださいよ~」
「ちなみにその貓耳は、夜の運で使うんですか? そうなんですか?」
「あんたら姉妹揃って失禮だな……」
その後、誠実と恵理は店員姉妹に半ば無理矢理店を案された。
意外にも恵理はこういった店が好きらしく、楽しんでいたのだが、誠実は全く楽しむ事が出來なかった。
そして、一通り見終わり、誠実は疲れた表を浮かべていた。
「はぁ……」
「どうしたの誠実君? 疲れた?」
「はい、神的に……」
會計を済ませてやって來た恵理に、誠実は疲れた聲で答える、
恵理は店を見ているうちに、何個か気になった商品があったらしく、何個かの商品を購した。
誠実からしたら「そんないるのだろうか?」と言ったが多かった。
「そんなに買って、お財布の中は大丈夫だったんですか?」
「うん、もう300円しか無い」
「アンタほんとに大學生?」
衝買いにしても、もっと後先を考えて買いをした方が良いのでは無いだろうか?
なんて事を思いながらも、誠実はそれ以上何も言わなかった。
「今回の彼さんは、子大生のお姉さんなんですか?」
「だから、彼じゃ無いですって」
「酷いわ誠実君! 私の事は遊びだったの!?」
「恵理さんも乗っかんなくていいですから」
舞との會話は毎回誠実にとって疲労の原因だった。
奈穂と買いに行った時も、沙耶香と買いに行った時も、大舞のせいで面倒な事になったりしていた。
「えっと……最初にあった時が年下で、その次が同い年、今回は年上で、フルコンプって事ですね!」
「何がだよ……」
「ほうほう、私以外にも誠実君はの子と二人で買いに來たことがあるんだね……お姉さんちょっと悲しいなぁ~」
「一回目は奈穂で、二回目はクラスの子ですよ! 高校生なんだし、そういう事だってあります!」
「同じ屋の下で寢たのにな~」
「同じホテルの別々の部屋でしょうが!」
「えぇ! ホテルですか! 最近の若い子は全く……」
「舞さん! 貴方が考えてる方のホテルじゃ無いですからね!」
いつも以上にツッコミをれているなと、誠実自も思いながら、荒げた呼吸を整え、さっさとこの店を出ようと恵理の手を取る。
「もう行きましょう、十分買いしたはずです!」
「「またのご來店お待ちしてま~す」」
「來るか!」
誠実はそう言って恵理の手を握って店を離れた。
(……意外と手……大きいんだ)
誠実に手を握られ、恵理は思わず頬を赤らめる。
異と手を握ったのは一いつ以來だろうと、思わず恵理は考える。
し歩いて、ショッピングモールの出り口付近のベンチに座る誠実と恵理。
座る際に誠実が手を離し、恵理はどこか寂しさをじる。
「はぁ……災難だったなぁ……」
「そうかな? 面白い人達だったじゃない?」
「俺は苦手なんですよ」
時間も結構遅くなってしまい、誠実は恵理にそろそろ帰る事を提案する。
「そろそろ行きましょう、もう遅いですし、送って行きます」
「もぉ~誠実君は~、そんなにお姉さんのアパートの場所を知りたいのかなぁ~?」
「あぁ、そういうの良いんで……置いて行きますよ!」
「あぁ! 待ってよぉ~!」
誠実と恵理はそのままショッピングモールを後にする。
この時間では、奈穂は先に帰っているだろうと考え、誠実は特に奈穂に連絡を取らずに帰ってしまった。
そして、誠実は気がついていなかった。
この広いショッピングモールの中で、誠実と恵理を見つめる人影を__。
*
時間はすこし戻って、誠実と恵理が雑貨屋にった後、沙耶香、沙、そして奈穂の三人は水著を選んでいた。
「う~ん……どれが良いかな……」
「誠実君は……ビキニとか好きかな?」
沙と沙耶香は水著を見ながら唸り聲を上げていた。
奈穂はそんな二人を見ながら、誠実と恵理がちゃんと帰ったかを心配していた。
(あの二人……ちゃんと帰ったんでしょうね……てか、なんであたしが焦ってんのよ! 全部おにぃのせいなのにぃ~)
奈穂別な意味で唸り聲を上げながら悩んでいた。
「奈穂ちゃん、これどうかな?」
「え? あぁ……沙耶香さんはやっぱりビキニの方が良いと思いますよ? スタイルも良いですし……も……」
沙耶香が奈穂に見せたのは、クロシェ系の水著だった。
部分がニット編みのようになっていて、を隠しているデザインだった。
悪くない。奈穂は最初にそう思ったが、折角が大きいのだから、普通のビキニを著た方が、沙耶香には似合うと奈穂は思った。
「そ、そうかな? ビキニは目立ちそうで……」
「ちなみに、私がおにぃと海に行った時は、ほとんどビキニ姿での撮影でした」
「買ってくるわ!」
奈穂の話しを聞いた沙耶香は、持っていた水著を戻し、ビキニを選び始める。
「え、なになに? もう奈穂ちゃんは、おにぃちゃんと海に行って來ちゃったの?」
「あくまで仕事ですが……それと……あんまりくっつかないでもらえませんか? 暑いので……」
沙は奈穂を後ろから抱きしめながら、奈穂と誠実が海に行った話しを聞いていた。 奈穂を気にっている沙は、奈穂を見つける度にこうして抱きつく。
そんあ沙から逃れつつ、奈穂は二人に尋ねる。
「皆さんで海に行くんですか?」
「うん、そうだよ、あ! 奈穂ちゃんも行く?」
「気を使っていただいて嬉しいですけど、私は仕事もあるので今回は遠慮します。それに、おにぃにはもう、水著姿をさんざん見せつけましたし」
沙の提案を奈穂は笑みを浮かべながら斷り、どや顔で勝ち誇ったように、二人に言い放つ。
いくらこうやって仲良く水著を選んでいても、この三人は敵。
言われた沙と沙耶香も負けじと、奈穂に言い返す。
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