《99回告白したけどダメでした》147話

「くっ! こっちも負けられないよ! 沙耶香はこれ著て誠実君を悩殺だぁ!」

「なんでマイクロビキニなのよ! しかも私が著るの!?」

際どいセクシーな水著を沙耶香に見せつけながら、沙は奈穂に対抗する。

三人がバチバチと火花を散らしていると、店のり口から、綺凜、志保、鈴の三人が遅れてやってきた。

「ご、ごめん遅れた……」

「あ、もう何やってたの? 水著選らんじゃってたよ」

綺凜がどこか気まずそうに、沙耶香と沙に言う。

沙はそんな綺凜と共に、水著を選び始める。

「志保! ビキニってどう思う?」

「急にアンタはどうしたの? しかも、そんな際どい水著持って……」

「エッチな水著だね、沙耶香ちゃん」

「や、やっぱりこれは々とまずいよね?」

沙耶香は沙耶香で、奈穂に言われた事を意識して、し際どい水著を選んでいた。

志保は沙耶香のもっている水著を元の場所に戻しながら、自分も水著を選び始める。

「沙耶香、そう言えばこの子は?」

志保は先ほどから居る奈穂を見て、沙耶香に尋ねる。

奈穂もようやく気まずい立ち位置から抜け出せると、一安心だった。

沙と沙耶香以外とは、奈穂は初対面であり、先ほどからどんな顔をしてその場に居たら良いかわからなかった。

「あぁ、誠実君の妹さんで奈穂ちゃんだよ」

「え? あのモデルやってるって言う?」

話しを聞いた志穂と鈴は、奈穂をジッと見つめる。

志保も鈴も話しでだけでしか知らない奈穂の存在に、どんな子なのかと気になっていた。

「へぇ~確かに可いわね……」

「どうも、いつも兄がお世話になってます」

「あ、いえいえ、こちらもうちの沙耶香が……」

「志保?! なんで私が迷掛けてるみたいに言うの!」

沙耶香が志保に突っ込んでいる間に、鈴が奈穂に近づき聲を掛ける。

「ねぇねぇ、お兄さんの事好きなの?」

聞かれた奈穂は一瞬ドキッとした。

沙耶香や沙は、奈穂と同じ誠実に好意を抱いている分、対抗意識もあってハッキリと言うことが出來たが、全くの他人に近い人に、実の兄が好きだなどと言うのはし抵抗が    あった。

しかし、最近の誠実の周りのきや、誠実の狀況から考えて、そんな事を気にしている場合ではないと、奈穂は考えを改める。

「はい、そうですよ。なにか問題でも?」

張して、し言い方がトゲトゲしかったかと反省する奈穂だったが、鈴はそんな事を一切気にしている様子は無く、目をキラキラしながら尋ねる。

「じゃ、じゃぁ! もしかして、夜中に伊敷君の部屋に忍び込んで、夜な夜なエッチな……」

「してません!!」

奈穂は顔を真っ赤にしながら、鈴に言う。

しかし、鈴の言葉もあながち間違いではない。

その為、奈穂は半分図星をつかれた気分になり、恥ずかしさもあって、大聲で否定する。

「そっか~殘念……面白い話しが聞けると思ったのに……」

「何を期待したんですか……」

すっかり鈴のペースに持っていかれ、奈穂は調子を狂わせる。

鈴は奈穂との出會いに、すっかりテンションが上がっていた。

その為だろうか、鈴は特に何も考えずに発言をしてしまった。

「そう言えばさっき、お兄さんみたけ、むむぐぅ……」

「す、鈴~ちょ~っと黙りましょうねぇ~」

鈴が言いかけた瞬間、志保が凄い速度で鈴の元まで駆け寄り、鈴の口を塞ぐ。

志保は鈴の口を塞ぎながら、沙と沙耶香の方に目を向ける。

どうやら、二人には聞こえて居なかったらしく、きょとんとした顔で志保を見つめる。

二人の反応を見て、志保はほっとしていると、奈穂が何か気がついたらしく、鈴と志保に向かって手招きをする。

志保と鈴は、手招きをする奈穂の元に向かい、耳を傾ける。

「あの……兄の事を見たんですか?」

聞かれて、志保と鈴はハッと気がついた。

もしかしたら、奈穂は誠実がこのショッピングモールに居る事を知っているのではないのかと。

それならば、奈穂が沙と沙耶香にそのことを話しているかもしれない、そう思う志保だったが、よくよく考えて見れば、それならばこの二人がこんなところでジッとしているはずも無いなと言う考えに落ち著く。

「えっと……奈穂ちゃんも知ってるの? あの……お兄さんがの人と…デートしてたの……」

「えっと……はい、一応……」

志保の言葉に奈穂は顔を引きつらせながら答える。

奈穂のそんな対応に、何か事を知っているのだろうとじる志保。

「あの二人には、言わない方が良いと思いまして、話してないんです……だって、絶対面倒な事になるじゃないですか……」

「流石、妹さん……良くおわかりで……」

「私たちも言う気は無いから、安心して、奈穂ちゃん」

店の端っこで、志保と鈴、そして奈穂の三人はコソコソと談をしていると、背後から沙耶香が不思議そうに近づいてきた。

「三人共どうかしたの?」

「え! さ、沙耶香……な、なんでも無いわよ……」

「そんな挙不審で言われても……」

不思議そうに三人を見つめる沙耶香。

志保と鈴、そして奈穂は、誠実の事を沙耶香と沙には言わない事を決め、水著選びに戻っていく。

「さて、さっさと選ぶわよ!」

「店員さーん、の小さい人向けのやつってありますかぁ?あ、二人分で!」

「鈴ちゃん……もう一人分って……私の?」

鈴の言葉がに突き刺さる綺凜。

不信を無くす為に、わざと騒ぎながら水著を選び始める志保と鈴。

しかし、その行為が逆に不信を増していく。

「……志保、そんなに水著選ぶの楽しみだったのかしら?」

「さっきと溫度差が激し過ぎない?」

不信たっぷりの視線を志保と鈴にぶつける沙と沙耶香。

そんな複雑な狀況を端から見守る、奈穂と綺凜。

そんなさなか、奈穂は隣の綺凜に尋ねる。

「あの、すいません……ちなみに貴方は?」

「あ、ごめんなさい、自己紹介が遅れて……私は山瀬綺凜。誠実君の……友人です」

名前を聞いて、奈穂はハッと気がついた。

この人が誠実の元思い人であり、99回も告白したなのだと。

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