《99回告白したけどダメでした》148話
*
悩むこと一時間。
水著を選びに來た六人は水著を選び終え、會計を済ませて店を出た。
「これで水著は大丈夫ね」
「私、ビキニなんて初めて買ったんだけど……大丈夫かな?」
「それだけ立派なぶら下げて何を言ってんのよ」
六人は店を出てショッピングモールの出口に向かっていた。
時間も遅かったことから、六人は全員帰宅するために歩いていた。
呑気に海の話しをしながら帰宅する一方で、六人のうちの四人は、ショッピングモールをキョロキョロとしながら、歩いていた。
「ねぇ、志保。どうしたの? さっきからキョロキョロして…」
「え? そ、そうかしら? 別にキョロキョロなんてしてないけど」
「鈴も挙不審だし、一どうしたの?」
「な、なな何を言っているのかな? 沙耶香ちゃん、私はいつも通りだよ?」
友人二人の様子がおかしい事に気がついたのは、沙耶香だった。
水著を選んでいる時から、なんだか様子が変だなと思っていた沙耶香は不信に思いながら、志保と鈴を見ていた。
その後ろでは、沙と綺凜、そして奈穂がついて來ていたのだが、沙も二人の行に不信を持っていた。
「確かに怪しいよね~、なんかキョロキョロしてるし。誰か探してるみたい」
「べ、別に誰も探してないわよ? ただ、お店の様子を見ていただけよ…」
沙の言葉に、志保は引きつった笑顔を浮かべて答える。
そんな沙の気をそらそうと、綺凜が話題を変える。
「そ、そう言えば、登校日っていつだったかしら?」
「急にどうしたのよ綺凜、八月の十九日でしょ?」
「あぁ、そうだったわね。ちょっとど忘れしちゃって……」
「綺凜がど忘れなんて珍しいね」
「それは、それとして何だけどね……なんで沙は奈穂ちゃんにこんなに警戒されてるの?」
奈穂は、綺凜の言葉通り、沙を警戒していた。
綺凜のに隠れ、沙を一切近くに寄せまいとしていた。
壁代わりとして使われていた綺凜は、奈穂が沙を警戒する理由がわからず気になっていた。
「気のせいじゃない?」
「いや、あからさまに沙から距離を置いてるわよ……」
「もう、照れちゃって、可いなぁ!」
そう言って沙は、綺凜にしがみつく奈穂に背後から抱きつく。
奈穂は逃げ遅れてしまい、沙に抱きつかれる。
「だからやめてくださいって!」
「もう、そんなに照れないでよ~本當に可いなぁ~、なんてモッチモチだし~」
「頬をくっつけないで下さい!」
沙と奈穂のそんな狀況を見て、綺凜はなんとなく奈穂が沙から距離を置いていた事に納得する。
綺凜は奈穂から沙を引きはがし、沙に言い聞かせる。
「沙、嫌がってるでしょ。やめなさい」
「え~、でも可いでしょ? 奈穂ちゃん」
「可くても、人の嫌がる事をしないの!」
綺凜が沙を叱りつけている様子を見て、橫で見ていた奈穂は、親子みたいだなと思いながら二人を見ていた。
「何やってるの? いくわよー!」
そうこうしているうちに、前を歩いていた三人と距離が開いてしまった、綺凜達三人。
出り口付近のエレベーター前で、待ってくれている沙耶香達の元に急ぎ、綺凜達は合流した。
ようやく外に出られる。
そんな事を考える約四名は、何事もなくて本當に良かったと思いながら、気を抜いてしまった。
その瞬間、沙耶香が見慣れた人を見つけてしまった。
「あ、あのさ……」
「どうしたの沙耶香? 何を見て……!!」
沙耶香がどこかを見て驚いていたのを見た志保は、沙耶香の視線を追った。
そして、その先にいた人を見て、志保は驚いた。
そこには、先ほど綺凜と鈴と一緒に居た時に、見かけたと一緒に手を繋いで歩く誠実の姿があった。
「や、やばいよね……これ……」
鈴は気まずそうな表で言う。
しかし、場の空気は氷ついており、誰も鈴の言葉に反応しない。
綺凜と奈穂もそんな誠実を見て、やらかしてしまったと言うじの表で顔を手で覆う。
「確か誠実君って、お客さんが來て先に帰ったんだよね?」
「そ、そのはずだけど……手握ってたわよね……」
「誰かな…あの人、年上っぽいけど」
「あぁ……すいません、こうなったら全部お教えします……」
不思議そうに誠実を見つめる沙と、どこか絶をじたような表で、誠実を見る沙耶香。 そんな二人を見て、こうなったらもう仕方が無いと、奈穂は今日の出來事と一緒にいるの説明をする。
「……じゃ、じゃあ! あの人は誠実君が言ってた、海のバイトで仲良くなった、子大生? しかもモデル?!」
「ほら! 私の言った通り、新しいのが……」
「って言うか、実だったよ!」
話しを聞いた沙と沙耶香は、興気味に騒いでいた。
新しいライバルの出現かもしれない為、無理も無いだろうと思う一同だったが、やっぱりややこしい事になったと、全員ため息を吐く。
「奈穂ちゃん! なんで教えてくれないの!?」
「教えたら、その場で修羅場になりそうだったので……それに、多分恵理さんは兄には無いと思いますよ?」
興する沙耶香は奈穂に詰め寄る。
そんな沙耶香に、奈穂は落ち著いた様子で、話しをする。
今までの恵理の誠実に対する言などを見る限り、奈穂の中では、恵理は誠実をただの気の合う友人程度にしか思っていないと思っていた。
本當のところは本人に聞かなければわからないが、では無い気がしていた奈穂。
「でも、どうせ時間の問題な気がするなぁ……」
「沙、それはどういう?」
頬を膨らませ、不満そうな顔で沙は話し始める。
「だって、あんなにあの人楽しそうだったし、それに誠実君を頼って今日は來たんでしょ? 結構信頼してるんじゃない? 誠実君の事」
「だ、だよねぇ……綺麗な人だったし……なんか気もあったような……」
誠実と恵理の様子を見て、寂しそうな表を浮かべる沙耶香と沙。
そんな沙耶香と沙を見て、奈穂はため息を吐き、二人に言う。
「そんなくらいで弱気になってたら、私になんて絶対勝てませんよ」
言われて、二人はハッと顔を上げて穂を見る。
真っ直ぐな奈穂を目を見て、沙と沙耶香は目を覚ました。
何を弱気になっていたんだと、もう既に片手が埋まりそうなほどのライバルが居ると言うのに、今更何を思っていたのだろうと。
沙と沙耶香は、気持ちを引き締め、奈穂に言う。
「別に弱きになんてなってないよ!」
「奈穂ちゃん、いいのぉ~? そんな事言われたらお姉さん本気出しちゃうよ?」
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