《99回告白したけどダメでした》149話
奈穂の言葉に、沙と沙耶香はいつもの調子を取り戻す。
これで、ようやく丸く収まった。
そう思った奈穂だったが、問題はここからだった。
「じゃあ、早速!」
「うん、そうだね!」
「沙耶香? 沙? どうかしたの?」
何かをしようと意気込む二人に、志保は不思議そうに尋ねる。
すると、二人は生き生きとした瞳で志保に言い放つ。
「「誠実君の尋問!」」
「あぁ……ほどほどにね……」
やめるように言おうとした志保だったが、自分達も誠実のせいで気を使って大変だったので、し面倒ごとが誠実に行くくらいは丁度良いかもしれないと、半ば適當に答える。
*
誠実と恵理は、ショッピングモールを出て帰宅している途中だった。
辺りは夕焼けで赤く染まり、誠実と恵理は今日の事を話しながら歩いていた。
「恵理さん、なんで告白斷ったんですか?」
「んー、好みじゃないし……いかにも自分大好き、見たいなじが嫌だったからかな?」
「良い出會いでは無かったと?」
「そうだね~、私って理想が高いのかな~」
あんなイケメンでもダメなら、一どんな男となら付き合うのだろう? そんな事を考える誠実だった。
やっぱり、こういう顔が良い人は選び放題なのかなと考えていると、恵理が誠実に言う。
「私さ、最近おもうんだよね」
「何がですか?」」
「誠実君みたいなじで、話しが出來る人が好きなのかなって」
「なんすか、その告白みたいな言い方、勘違いするのでやめてください」
「なんだなんだぁ~? お姉さんじゃ不満だってのかい?」
「えぇ、不満です。俺じゃ、とても貴方とは釣り合わないですから」
「そうかなぁ~? 釣り合う釣り合わないって関係ある?」
そう言われた誠実は、恵理の方を向き、ため息を混じりに言う。
「そりゃあそうですよ、恵理さん見たいに綺麗でスタイルの良い人は、俺みたいなのといるより、イケメンの隣にいたほうが、よっぽど絵になります」
そう言われた恵理は、なぜだかカチンと來てしまい、誠実に言い返す。
「そんなの関係無いでしょ? それに、誠実君は告白した時、そんな事考えてたの? この人だったらつり合う、この人だったらダメだ、見たいに」
「そ、それは……」
そう言われると、そんな事考えても居なかった誠実。
ただ綺凜が好きだったから、告白した。
それだけで特にそんな事は考え無かったのに、なんで自分は彼にそんな話しをしてしまったのだろと、誠実は不思議に思えてしまった。
「そんな事……考えて無かったですね……その人が好きって気持ちでいっぱいでした……」
「でしょ? だから、誠実君と私が付き合っても何の問題も無いし、おかしいところなんてないの!」
「そ、そうですね……すいません、俺が間違ってました。釣り合うとか関係無いですよね!」
「そうだよ誠実君! だからお姉さんと付き合ってみよう!」
「お斷りします!」
「なんで!?」
恵理の言葉に、すかさず反応し頭を下げる誠実。
そんな誠実に恵理はツッコミをれる。
確かに恵理も本気では無かったが、しは面白い反応をしてくれても良いと思ったからだ。
「だって、どうせ家事とかさせるのが目的でしょ? そんなの無いを俺はしたくありません」
「えぇ~、お姉さんとエッチな事も出來るかもしれないのに?」
「あぁ……それにはちょっと興味が……って何を言わせるんですか!」
「アハハ! 冗談冗談、誠実君顔真っ赤だぞ~? 想像しちゃったのか~? うりうり」
「や、やめてください、突っつかないでください!」
誠実をからかいながら、恵理は誠実の脇腹を人差し指で突っつく。
誠実はそんな恵理から逃げながら、恵理にやめるように言う。
そんな事をして歩いていると、恵理のアパートに到著する。
「はい、ここが私の家。結構、誠実君の家から近いでしょ?」
「そうですね、バスを使って十分ちょっと位ですね。そう言えば、良く俺の家がわかりましたね」
「奈穂ちゃんに聞いたんだ~。お、開いたよ、お茶でも飲んでいかない?」
「いえ、時間も遅いですし、自分はここら辺で……」
「つれないな~、一人暮らしの子大生の部屋だぞ~、良いにおいとかするかもよぉ~」
「そんな言われても、帰ります。全く……」
軽く恵理をあしらいながら、誠実と恵理は部屋のり口で分かれようとする。
すると、誠実は立ち止まり恵理に言う。
「恵理さん、貴方可いんですから、あんまり誤解されるような事、しない方が良いですよ」
「なんだ~、お姉さんを心配してくれるのか~、どんだけお姉さんの事好きなんだよ~」
またしてもからかうように言う恵理。
どうせまた、いつも通りのじで返してくるのだろう。
そう考えていた恵理だったが、誠実は真顔でこう言った。
「えぇ、好きですよ」
「ふぇっ!」
「人としてですけど」
「紛らわしいわ!」
思わず恵理が誠実にツッコム。
いきなり何を言い出すかと思った恵理は、顔を赤らめて誠実を見る。
「俺に姉がいたら、こんなじなのかなって……時々そう思うんです。だから、心配にもなりますよ」
一切からかっている様子も無く、誠実は恵理にそう言い放つ。
言われた恵理は顔を真っ赤にし、誠実に背を向ける。
「……全く……全く……よ、余計なお世話だよ~だ! 心配されなくても大丈夫だもん」
「そうですか、じゃあ俺はこれで……あ、また遊びましょうね」
誠実はそう言って帰って行った。
恵理は誠実の後ろ姿を見ながら、顔を真っ赤にして見送る。
姿が見え無くなったところで、恵理は家にり、玄関前で座り込む。
「はぁ~……もう! 何ドキドキしてるのよ! 誠実君はそう言うんじゃ無いでしょ!」
一人になった部屋の中で、恵理はそんな事をびながら膝を抱えてうずくまる。
先ほどまで一緒に居た、誠実の顔が脳裏に焼き付いて離れなかった。
「誠実君……年上って………好きかな?」
思わずそんな事を呟いてしまい、恵理はハッと我に返る。
「何を言ってるの私! これじゃぁ……まるで……」
その後の言葉はわかっていた。
しかし、あえて口に出さなかった。
口に出してしまえば、本當にそうなのだと確定してしまい、逃げられないと思ったから恵理はその先を口にしなかった。
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