《99回告白したけどダメでした》152話

「ところで、誠実君」

「はい?」

「いつ頃、我が家に來て下さいますか?」

「あ……」

誠実はすっかり忘れていた事を思い出した。

そう言えば、前回は々あって、結局家にお邪魔したのは數分だった。

夏休み前に、誠実と父である忠志は蓬清家にお呼ばれしていたのである。

(最近、親父は忙しいし……俺もバイト始めたからすっかり忘れてた……親父と相談しておかないとな……)

「す、すいません、ちょっと夏は々あって……親父と相談してからでも良いですか?」

「構いませんけど……誠実君のお父様でしたら、休日は毎日のようにいらしてますよ?」

「は?」

「先週は、お母様もご一緒でしたよ? 私は用事があって留守でしたけど…」

そう言えば、最近土日は朝から晩まで家に居ないなと思った誠実。

どこで何をしているかと思ったら、栞の家に行っていたらしく、誠実はなんだか栞に対して申し訳なくなってしまった。

「すいません……うちの両親が……」

「いえ、そんな事ありませんよ、お母様もお父様も、お二人の事を大変気にってしまって」

「あの二人のどこを気にいったんだか……」

まさかの事実に、誠実はあとで二人に々問いただそうと心に決める。

「誠実君、昔は良く怪我をして泣いて帰ってきたそうですね」

「う……そ、その話しは……」

「はい、々とお話を聞かせていただきました! 初稚園の先生だそうですね」

「あぁぁぁぁぁ! 止めて下さい! お願いですから! 俺の恥ずかしいを話さないで!!」

「ウフフ……あと、小學生の時に校庭で……」

「止めて! それだけでもう恥ずかしいから! 先輩は俺をいじめて楽しいですか……」

「はい、楽しいです!」

「満面の笑みで何を言ってんですか!」

両親という、自分のを一番多く知っているであろう人が、學校の先輩に自分の恥ずかしいらしまくっている事実に、誠実は激しい怒りを両親に覚えた。

「いい顔の誠実君も見れたので、そろそろめるのはやめてあげます」

「出來れば、今後もやめて下さい……」

「それはそうと、誠実君。二十二日は空いて居ますか?」

「え? まぁ、今のところは何も無いですけど?」

「そうですか……では、私と一緒に花火大會に行きませんか?」

「花火大會ですか?」

「えぇ、父の會社がスポンサーをやっているんですけど、毎年席のチケットを貰うんです。ですが、今年はお父様もお母様も用事があるようで……良かったら、私に付き合ってくれませんか?」

誠実はし考えた。

二十二日なら、まだ先のことで予定も無い。

加えて斷る理由も無いし、誠実自も花火が見たかった。

「良いですよ、予定もありませんし、一緒に行きましょうか」

「ありがとうございます。それでは楽しみにしていますね」

「にしても、花火大會かぁ……去年は男三人で空しかったからなぁ……」

去年の花火大會は、験の息抜きにと、健が誠実と武司をい、三人で見に行った。

見に行って誠実と武司は後悔した。

周りはカップルだらけで、それだけでも最悪なのに、健が數分おきにナンパされるので、余計に空しくなってしまった。

「今年は先輩と行けるのは嬉しいですよ」

去年に比べたら、男と一緒じゃない分、凄く嬉しいし、何より綺麗な栞と行けるのだから嬉しい。

そういった意味のつもりで言ったはずの誠実だったが、栞には別な意味にとらえられてしまったようだった。

「そ、そんなに…私と行ける事が嬉しいんですか?」

「えぇ、先輩綺麗だし、浴とか似合うんだろうなって」

誠実の言葉に、栞は赤面し顔を俯かせる。

誠実的には、むさ苦しい野郎と見るよりも、見ていて目の保養になる栞と一緒なら、男として嬉しい、そう言う意味だったのだが、栞のとらえ違いは更に増して行った。

「そ、そそそそうですか……で、では私は……こ、この辺で……」

「あ、帰りますか? じゃあ、途中まで送りますよ。今日は歩いて來たんですよね?」

「け、結構です! ひ、一人で大丈夫ですので……」

「ほ、本當に大丈夫ですか? 顔真っ赤ですよ?」

「だ、大丈夫でしゅ! そ、それでは……詳しいことはまた連絡致します……」

そう言って栞は、早足でリビングを去り、誠実の家を後にしていった。

殘された誠実は、本當に大丈夫なのか、栞が心配になった。

そして、誠実はすっかり忘れていた。

「あ! 素麺!!」

晝食の素麺は、お湯に浸かってぐちゃぐちゃになっていた。

「俺の晝飯……」

また作り直すのも面倒なので、誠実はポットに沸いていたお湯を使って、カップラーメンを作り、それをお晝にした。

「はぁ……なんだかなぁ……」

今日はついていないんじゃないか、そう思いながら、カップ麺が出來るのを待っていると、再びインターホンが鳴った。

「今度は誰だ?」

流石にもう來客は無いだろうと思い、どうせ宅急便かセールスだろうと、誠実は玄関に向かい、戸を開けた。

「はい、どちら……って恵理さん!」

「やぁ、モテモテ君」

「さようなら」

「ちょ、ちょっと! ドアを閉めようとしないでよ!!」

「今日俺にした事を忘れたんですか! 俺はまだ許してません!!」

ドアをこじ開けようとする恵理と、ドアを閉めようとする誠実。

ドアを開けたり閉めたりしていると、數分ほどで二人の力は落ち始め、結局誠実が隙を突かれて、恵理を家の中にれてしまった。

「な、なんの……用ですか……全く……」

「ちょ……ちょっと……タイム……お水頂戴……暑くて……」

炎天下の中、激しい運をして、二人は力を消耗してしまった。

「はぁ~涼しい……生き返る~」

「それ飲んだら帰って下さいよ……全く」

結局誠実は、恵理をクーラーの効いたリビングに案し、麥茶を飲ませた。

「んで、何しにきたんですか…」

「もう、そんな怒らないでよ~、一応謝りに來たんだからさぁ~」

「謝る人の態度とは思えません」

「悪かったよぉ~、ちょっとやり過ぎたと思ってさ……」

急にしおらしくなる恵理に、誠実は一瞬驚いた。

この人もこんな顔をするんだなと、誠実は思いながら、一応謝罪の気持ちがあるのだろうと

、條件付きで許す事にした。

「反省してますか?」

「してる! 今なら、お姉さん、お詫びに誠実君の頬にキスくらいならしてあげられるよ!」

「気悪いので、やめてください」

「酷い!」

本當に反省しているかどうかは謎だが、この條件をれてくれたら許そうと、誠実は思い、恵理に言う。

「じゃあ、今度買いに付き合って下さい、そしたら許します」

「え? そんなんで良いの?」

「はい、の意見を聞きたいので」

「でも、なんで私? 誠実君モテるよね?」

「モテません、それに……多分來週辺りには、嫌われてるかもしれません……」

「? なんだそれ?」

「それはそうと、許してしいんですか!」

「あぁ! うん! 許してしいから、お姉さん買い付き合っちゃう!」

了解を貰い、誠実は恵理を許した。

海から帰ってきてから、日にちと時間を見て一緒に買いに行く事を決めた誠実と恵理。

しかし、誠実はその前に、海でやらなければならない事があり、まずはそちらに集中しようと心の中で決める。

そして、誠実は気がつく。

「あぁ! 俺のカップ麺!!」

カップ麺の麺がスープを吸ってふやけている事に。

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