《99回告白したけどダメでした》157話

「そろそろ戻るか……」

誠実はしして巖場から、元の場所に戻り始めた。

意外と人が多く、誠実は自分たちが陣取った場所はどこだったか、辺りを見回しながら探す。

そんな時だった、誠実は視線の先に、パーカーを來た沙耶香を見つけた。

何やら、數人の男に言い寄られている様子だった。

誠実は、こうしちゃいられないと、急いで沙耶香の元に向かう。

「ねぇ、いいじゃん?」

「俺らと遊ぼうよ」

「えっと、困ります……友達も居ますし……」

「あ、そうなの? ならそのお友達と一緒に……」

「そうか、なら遊ぼうか?」

誠実は沙耶香に言い寄る男三人の前に、満面の笑顔で割り込む。

すると、男達はつまらなそうな顔で言葉を殘し、去って行った。

「っち、男がいたのかよ……」

「他行こうぜ」

誠実は、溜息を一つ吐き沙耶香の方を向く。

「大丈夫か? 沙耶……香ぁぁ!?」

沙耶香は振り向いた誠実のに飛び込み、抱きついてきた。

誠実は、抱きつかれた事によって生じる、二つの膨らみのに驚き聲を上げる。

「ありがとう…どうしたら良いか...わからなくて……不安だったから」

「そ、それは良いんだが……そろそろ…は、離してくれないか?」

「も、もうしだけ……お願い……」

沙耶香はそう言って、更に強く誠実を抱きしめる。

沙耶香の心臓の音が、誠実に伝わり、誠実の心臓の音が、沙耶香に伝わる。

どちらも、心臓が壊れるのでは無いかと言うほど、大きく心臓をかしていた。

「せ、誠実君……ドキドキしてる?」

「ま、まぁ……そりゃあこんな狀況だし……本當にそろそろ離れて…」

「う、うん……ありがと」

沙耶香はゆっくり誠実から離れる。

その瞬間、誠実は勢いよく地面に座り込み、育座りをする。

「せ、誠実君?! どうしたの?」

「気にしないでくれ……ちょっと疲れただけだ……」

誠実は顔を真っ赤にし、鼻を出しながら沙耶香に言う。

「え! は、鼻出てるよ! 大丈夫!?」

「気にするな、暑いだけだ……」

誠実は空を見上げながら沙耶香にそう言い、鼻を押さえる。

(ごちそうさまです……)

「治まった?」

「あぁ、なんとか……」

あの後、誠実は沙耶香にティッシュを貰い、鼻に詰めてが止まるのを待った。

「どこ行ってたの?」

「あぁ……ちょっと巖場で海を見てた」

「さっきはその……ごめんね……答え難い質問しちゃって……」

「いや、それは……まぁ、俺も悪いし……」

二人並んで座り、誠実と沙耶香は海を見ながら話しをしていた。

やっと鼻が治まった頃、誠実は立ち上がり、皆のところに戻ろうと提案する。

もう一つの行が良くなっていた場所も無事治まり、誠実は沙耶香と共に自分たちの陣地に戻って行く。

「誠実君、戻る前に飲み買っていっても良い?」

「じゃあ、海の家に寄っていくか、俺も丁度が渇いたところだし」

誠実と沙耶香は、目的を変更し海の家に向かった。

海の家は混雑しており、賑やかだった。

店の人は汗を流しながら、働いており、その忙しさが覗える。

「混んでるな……」

「そうだね、し時間掛かりそう……自販機にする?」」

「いや、折角だし並ぼうぜ、俺かき氷食べたい」

「ウフフ、子供みたいだよ?」

「え? 味いじゃん、かき氷」

「そうだね、フフ……じゃあ、私はイチゴで」

「じゃあ、俺はブルーハワイだな」

「知ってる? かき氷のシロップって全部同じ味らしいよ?」

「え!? マジで!!」

誠実と沙耶香は列に並びながら、雑談をして順番を待った。

意外にも列は早くに進み、數分ほどで誠実達の番になった。

「いらっしゃいませー! なんにしましょうか?」

日焼けで真っ黒になった、イケメンのお兄さんが、満面の笑顔で誠実と沙耶香に尋ねてくる。

「あ、じゃあかき氷のイチゴとブルーハワイを一個づつ、あとはラムネ二本」

「かしこまりました! ありがとございや~す!! そのままで々お持ち下さーい!」

忙しいのに、良く笑顔で接客できるなと関心しながら、誠実は商品を待った。

「お待たせしやした! かき氷のイチゴは……」

「あ、私です」

「はい! 彼さんどうぞ! 彼氏さんはブルーハワイっすね!」

「か、彼……」

店員のお兄さんに、彼と呼ばれ、沙耶香は顔を赤くし照れる。

そんな様子の沙耶香を誠実はどこか複雑そうな表で見ていた。

「あのお店の店員さん、いい人だったね~」

「そうだな……」

上機嫌な沙耶香と共に、誠実は自分たちの陣地に戻って行く。

「何やってんだ……あいつら」

誠実と沙耶香が戻ると、武司と志保がなにやらボールをもって騒いでいた。

「信じられない!! このド変態!!」

「不可抗力って言ってるだろ!!」

言い爭う二人を他所に、誠実はかき氷を食べながら、健に尋ねる。

すると、健は口を開けてかき氷を要求してきた。

誠実は、健の口の中にかき氷を放り込む。

「ごちそうさん」

「んで、何があった?」

「ラッキースケベ」

「は?」

健の回答の意味がわからず、誠実は首をかしげる。

すると、橫から鈴が出てきて説明を始めた。

「みんなでビーチボールやってたんだけど……武田君が……志保ちゃんに突っ込んでいって……それで……」

「あぁ、なんと無くわかった……それで武司の頬は赤いのか……」

話しを聞き、改めて二人を見る。

いつもの武司なら、そのシチュエーションは手を上げて喜ぶはずなのだが、相手が志保とあってか、武司は嬉しそうではない。

「だから言ってんだろ!! お前のなんか興味無いって!!」

「そう言う問題じゃ無いのよ!! 誰にもられた事無いのに……」

「え……な、何泣いてんだよ……」

とうとう志保は泣き出してしまった。

いつもと違う志保の反応に、武司もアタフタし始める。

沙耶香はそんな志保の元に向かい、志保をめる。

そして、誠実と健は……。

「健さん聞きました? 武田さんとこの武司君、の子を泣かせたそうですわよ?」

「あら誠実さん、それって男としてどうなのかしら、謝るべきよね?」

武司をの後ろで、近所のおばさんっぽく噂話をしていた。

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