《99回告白したけどダメでした》162話
人狼ゲームは、靜かに幕を開けた。
誠実は配役カードをけ取り、わずかに眉をかした。
(俺が人浪か……)
「じゃあ、まずは晝のターンね、話し會いましょう」
切り出したのは、志保だった。
ゲームを持ってきた志保がゲームマスターを名乗り出たのだ。
志保はゲームと連している、スマホアプリを使って、ゲームを進行していく。
「はいはーい! 俺占い師だったぜ」
「武司がかよ……それで、誰が怪しいと思うんだ?」
占い師は怪しいと思った一人の正を知ることが出來る。
つまり、武司が本當に占い師だとすれば、この中の一人の正を知っている事になる。
「俺が占ったところ……なくとも島崎は、人浪ではない」
「ほう……」
「うん、そうだよ!」
「じゃあ、武田君と鈴ちゃんは、なくとも人狼では無いってことね…」
「なるほど…」
「まぁ、初日はこんなもんでしょ、報もないし……あ、ちなみに私は霊師ね」
現在の狀況を整理すると、武司は占い師で、鈴を占い、鈴が市民であることを知った。
沙耶香は自ら霊師と名乗り出た。
この事を誠実以外の參加者が、全員信じていれば、人浪じゃないかと疑われるのは、誠実と沙そして綺凜だ。
「はーい、一日目の晝終了です。誰を処刑するか投票をお願いします」
ゲームマスターの志保が、自分のスマホにインストールされた、人浪ゲーム用のアプリを順番に回す。
誰を処刑するか、全員で一人を選び、多數決で一番多く票が集まった人間が殺される。
「はい、投票終了! 結果は……沙が処刑です!」
「え! あたし?! うそー!!」
処刑、もしくは殺害された場合は、ゲームから外れ、ゲームを観戦する側にまわる。
そして、続けて夜の行に移る。
(さて、誰を殺そう……)
そんな、普段では考えないような事を考える誠実。
ここは、厄介な占い師の武司を殺す事に決める。
「はい、それでは夜の行は終了です。結果は……武田!」
「やっぱり俺か~」
武司はそう言ってゲームから離れて行く。
殘りは四人。
「それじゃあ、晝の話し合いをどうぞ!」
二日目の晝の話し合いが始まった。
「えっと、じゃあまず、霊師の私が昨晩殺された、武田君の配役を教えるわ」
皆、ゲームであることを忘れて、全員張した面持ちだった。
「武田君は占い師よ……」
「じゃあ、本當だったのね……」
「えっと、じゃあ私が市民ってのも確定だよね?」
武司が占い師だとわかれば、自的に占いによって市民だと知られた鈴も本當の事を言っている事になる。
この狀況で、すでに人浪である可能が高いのは、誠実か綺凜になる。
誠実はここでなんとかかないと、この晝で処刑されてしまうと、焦っていた。
「となると~、怪しいのは綺凜と伊敷君だね~」
鈴はニヤニヤしながら、誠実と綺凜に言う。
「わ、私は人浪なんかじゃないわよ?」
「俺も違う」
誠実は短く答える。
この配役では人浪は明らかに不利。
しかし、誠実には考えがあった。
「俺は沙耶香が怪しいと思う」
「え? わ、私? だって私が霊師だって…」
「いや、霊師は俺だよ」
「え! 急にどうしたの? そんな後に言われても……どっちかって言うと、伊敷君の方が人浪っぽくなっちゃうけど?」
驚きながら、鈴は言う。
誠実の考え、それは自分が霊師だと言い切ること。
霊師は、昨夜日死んだ人間一人の役職を知る事が出來る。
幸いにも武司が開幕でバラしてくれたおかげで、簡単になりすます事が出來る。
「考えて見てくれ、二人とも。沙耶香は一日目の話し合いで、とってつけたように、自分が霊師であると言った。霊師が本領を発揮するのは二日目、本來なら人浪には邪魔な存在、にも関わらず正を簡単にバラすかな?」
「え、ちょっとまって、わたしは人浪なんかじゃ……」
「はーい時間切れ! じゃあ、誰を処刑する?」
話しているうちに時間は過ぎ、あっという間に二日目の処刑。
ここで、誠実が処刑されれば市民側の勝ち。
それ以外なら、人浪側の勝ち。
あの主張で上手くいったかわからないが、信憑は合ったはずだと思い、誠実はスマホがまわってくるのを待った。
そして……。
「はーい! それでは結果発表です!! 処刑されるのは……沙耶香!」
「えぇぇぇ!!」
信じてもらえなかった事に、沙耶香はショックをける。
そして、人浪側の勝利が決まった瞬間でもあり、ゲームマスターの志保は続けて告げる。
「えぇ、それでは殘念ながら、この夜に綺凜か鈴のどちらかが人浪に殺害され、人浪と人の人數が同じになるので、人浪サイドの勝利です!
「え!」
「って事は……」
驚く鈴と綺凜に、誠実はどや顔で言う。
「そうさ! 俺が人浪だ!」
「そ、そんなぁ……あの伊敷君の言葉で、絶対沙耶香が人浪だと思ったのにぃ~」
「伊敷君酷いわよ! 騙すなんて!」
「いや、山瀬さん、これゲームだから……」
「誠実君酷い! 罰として今日は私と寢よ!」
「沙耶香、それはゲームと関係ない!」
誠実は、悔しそうな表沙耶香をあしらい、自分の勝利を喜ぶ。
第一回のゲームはこれで終了した。
とは言ったものの、この一回目は綺凜にルールを覚えて貰うためにやった、早く終わる方法だ。
二回目からは配役を増やしてゲームマスターもアプリのシステムに任せて、長くやれるようにするつもりだった。
「まぁ、こんなじで話し合いながら、人浪を見つけるゲームだよ。なんとなくわかった?」
「えぇ、わかったわ。要するに、人浪はなんとか市民側にバレないようにしないといけないのね」
「そう、そんなじ」
「う~二人とも……信じてくれなかった……」
「あ、えっと……ごめんね、沙耶香……」
ショックをける沙耶香を綺凜が申し訳なさそうに謝る。
一通り流れを理解し、ルールも覚え始めた綺凜。
そして、今度は配役を増やしてやる事にし、第二回戦が幕を開けた。
- 連載中21 章
星乙女の天秤~夫に浮気されたので調停を申し立てた人妻が幸せになるお話~
■電子書籍化されました レーベル:アマゾナイトノベルズ 発売日:2021年2月25日(1巻)、4月22日(2巻) (こちらに投稿している部分は「第一章」として1巻に収録されています) 夫に浮気され、結婚記念日を獨りで過ごしていた林原梓と、見た目は極道の変わり者弁護士桐木敬也が、些細なきっかけで出會って、夫とその不倫相手に離婚調停を申し立て、慰謝料請求するお話。 どう見ても極道です。本當にありがとうございました。 不倫・離婚がテーマではありますが、中身は少女漫畫テイストです。 ■表紙は八魂さま(Twitter→@yadamaxxxxx)に描いて頂きました。キラキラ! →2021/02/08 井笠令子さま(Twitter→@zuborapin)がタイトルロゴを作ってくださいました。八魂さまに調整して頂き、表紙に使わせて頂きました~ ■他サイトに続編を掲載しています。下記をご參照ください。 (この作品は、小説家になろうにも掲載しています。また、この作品を第一章とした作品をムーンライトノベルズおよびエブリスタに掲載しています) 初出・小説家になろう
8 63 - 連載中43 章
~大神殿で突然の婚約?!~オベリスクの元で真実の愛を誓います。
08/11 完結となりました。応援ありがとうございました。 古代王國アケト・アテン王國王女ティティインカは略奪王ラムセスにイザークとの婚約を命じられる。 そのイザークは商人! 王女のわたしが商人に降嫁するなんて……! 太陽と月を失った世界の異世界古代・ヒストリカル・ラブ 恐らく、現存している戀愛小説で一番古い時代の戀人たちであろうと思います。創世記のアダムとイヴよりもっともっと前の古代ラブロマンス 神の裁きが橫行する世界最古の溺愛ストーリー、糖度MAX。
8 107 - 連載中8 章
君を失った世界
視覚障害をもつ少女、日香栞と、なにか裏のある少年翔との病院での出會い、そして日常。 ココロの隙間が埋められ自分と相手がきれいに重なっていく。幸せになる……はずだった。 ハッピーエンドか、バッドエンドなのかは読むあなた次第です。
8 127 - 連載中43 章
僕と彼女たちのありきたりなようで、ありきたりではない日常。
高校2年生という中途半端な時期に転校してきた筧優希。彼は転校前に様々な事があり、戀愛に否定的だった。 しかしそんな彼の周りには知ってか知らずか、様々なな女子生徒が集まる。 ークールなスポーツ特待生 ーテンション高めの彼専屬のメイド ー10年間、彼を待っていた幼馴染 ー追っ掛けの義理の妹 果たして誰が彼のハートを射止めるのか? そして彼はもう一度戀愛をするのだろうか? そんな彼らが織りなす青春日常コメディ 「頼むから、今日ぐらいは靜かに過ごさせて・・・」 「黙れリア充」と主人公の親友 ✳︎不定期更新です。
8 115 - 連載中10 章
公爵令嬢!政略結婚なんてお斷り!!
公爵令嬢のルーナはほぼ毎日のよう婚約の話が入ってくる。そんな日々にうんざりしていた所お父様の頼みより王城が開く立食パーティヘ。 そこで出會った男性に一目惚れされてしまい……? ***** しばらく更新停止とさせていただきます、 申し訳ありません
8 180 - 連載中40 章
獻身遊戯 ~エリートな彼とTLちっくな戀人ごっこ~
女性なら誰もが惹かれるイケメン銀行マンの穂高清澄(ほだかきよすみ)は、『ミスターパーフェクト』と呼ばれている。 取引先の社員である日野愛莉(ひのあいり)は、ひょんなことから彼とエッチをする関係になってしまった! トラウマから戀愛ご無沙汰だった二人は、胸をきゅんきゅんさせながら手探りの戀人ごっこにハマっていき──?
8 56