《99回告白したけどダメでした》163話

二回戦の配役は、人狼が二人、市民が三人、占い師が一人、騎士が一人と言う配役だ。

配役の書かれたカードが配られ、誠実はカードに書かれた配役を確かめる。

(騎士か……難しい役だな…)

騎士は、人浪の襲撃から誰か一人を守ることが出來る重要な役割だ。

しかし、その騎士が人浪に狙われる危険もある。

誠実はとりあえず、一日目は配役を明かさず、隠れて仲間を守ることにした。

「じゃあ、一日目ね…制限時間は5分よ」

一日目の晝が始まった。

先ほどとは違い、誰も何も切り出さない。

そんな中、綺凜が最初に口を開いた。

「えっと…とりあえず、この場合は占い師の人から報を貰うべきじゃないかしら?」

「確かに、騎士も居るしな……よし! とりあえず、占い師は誰かの正を教えてくれ」

綺凜に続いて武司も口を開く。

確かに、先ほどとは違い、占い師は正を明かしても守られる保証がある。

占い師はこの中で唯一、その人の役職を知ることが出來る重要な役割を持っている。

市民サイドの人間からしたら、第一に守るべき配役だ。

「えっと、今回は私が占い師だよ」

そう言ったのは沙耶香だった。

「誰が何の配役だった?」

鈴が沙耶香に尋ねる。

「私が占い師の能力で見たのは、誠実君の配役です」

(俺だと?! まずい……この狀況で俺の配役を沙耶香が言い當ててしまったら、真っ先に殺されるのは俺!! しかし、沙耶香も頭が悪い訳では無い……沙耶香が本當に占い師だとしたら、俺の正をぼかす可能だってある……いや、それとも沙耶香が噓をついている可能も捨てきれない……しかし……)

沙耶香の言葉に、誠実は必死に考えを巡らせていた。

誠実は平靜を裝いつつ、考えていると、沙耶香は靜かに言った。

「誠実君は市民だよ」

(?! これは……本當に沙耶香は占い師なのか? それとも人浪でありながら、噓を言っている可能も……もしかして、占い師は別にいて、沙耶香のは當てずっぽう? 俺はなんと答えたら……)

「誠実、どうなんだ?」

隣の武司が確認を取ってくる。

誠実はとりあえず、この場で一番最善の答えを皆に告げた。

「……あぁ……俺は市民だ」

市民だと全員に周知させれば、騎士自分が騎士であると隠し続ける事が出來る。

仮に沙耶香が人狼だったとしても、誠実を市民と思い込み、他の人間に注意を反らすだろう。

沙耶香が本當に占い師だった場合は、誠実と同じ考えで、騎士の存在は隠したいはず、つまり沙耶香は誠実が噓をついた事を知っている事になる。

誠実はちらりと、沙耶香をみる。

「……」

沙耶香は誠実ににっこり笑って返した。

(本か? それとも……配役を欺く為の演技……わからん……)

「はーい、時間切れ! じゃあ、一日目の処刑者を選びましょうか」

誠実が考えていると、スマホのアラームがなり、時間の終了を告げた。

一日目で誰が処刑するかは、まだまだ探り合いの狀況なので難しい。

「私は、沙耶香を処刑するべきだと思うわ」

「え! 私?!」

「占い師は確かに重要よ……でも、もしかしたら沙耶香が噓をついている可能もあるわ」

「し、志保ちゃん……私たち……友達だよね?」

「人浪とは友達じゃないわ!」

「酷い!」

(なんだこれ……たかがゲームなのに、熱くなりすぎだろ……)

なんだか、このままゲームを続けたら、終わった後には互いを信じられなくなっているのでは無いかと思う誠実。

(でも、古賀の言うことは間違ってない……だが、それと同時に古賀も怪しい…)

そんな中、またしてもスマホのアラームが鳴った。

誰を処刑するかの相談は、晝の相談の時間よりも短い。

誠実達はスマホを回し、誰を処刑するかそれぞれ選ぶ。

そして、騎士である誠実は誰か一人を守る事が出來る。

(沙耶香を信じるか……それとも別な誰かを守るか……)

沙耶香を守って、もしも沙耶香が人浪だった場合は危ない。

かといって、他に誰を守る?

スマホが自分の元に來るまでの間、誠実は考えた。

そして、ついに誠実の番になり、誠実は誰を処刑するか選ぶ。

「それでは、結果発表です!」

周囲に張が走った。

誰が処刑されたのか、全員が志保の言葉に注目した。

「って……あ、あたし? こんな早くに退場?!」

一日目の処刑者は、志保だった。

誠実も志保に投票した。

正直あの場での沙耶香を疑う発言は、普段の関係を考えても怪しい。

そういった事からの結論だった。

そして、始まった夜の時間。

再びスマホを回し、夜の行を決める。

(さて、ここは沙耶香を守るのが良いだろうな……ほかに報も無いし、噓を言っているとも考え難い……)

誠実は守る相手に沙耶香を選択。

そして、全員が夜の行を決め終わり、翌日の朝を迎えた。

「はい、じゃあ昨晩の犠牲者を発表します」

誠実は沙耶香を守った。

もしも、人浪が沙耶香を狙っていたならば、ここで犠牲者は出ない。

それと同時に、沙耶香が噓をついていないと言う確率も上がる。

「犠牲者は……」

(さぁ、誰か殺されたか? それとも犠牲者なしか? フフ……面白くなって來やがったぜ!)

「伊敷君です」

「え?」

折角面白くなってきて、考えを巡らせていたのにも関わず、誠実はあっという間にリタイヤとなってしまった。

これも人狼ゲームの醍醐味である。

(つまんねー)

誠実はその後、観戦側にまわり狀況を見ていた。

そして気がついた、沙耶香は本當に占い師だと言うことに。

その理由は簡単だった。

(沙耶香、俺が殺害された瞬間、めっちゃ目を開けて驚いてたもんな~)

守ってくれる騎士が居なくなり、まさかの自に驚いたのだろう、その後沙耶香もあっさり殺された。

そして結果、人狼サイドの勝利に終わった。

今回の人狼は、鈴と沙だった。

「くそ! 島崎を信じた俺が馬鹿だった!」

「なんか……沙の事信じられなくなりそう……」

「アハハ~、綺凜はチョロいわね~」

現在はこんなじで、全員お互いを信用できない狀況に陥っている。

人狼ゲームは、會話と読み合いのゲーム。

なんでも、人狼ゲームでその人の本を知る事も出來るらしい。

確かに日常で信頼していても、ゲームで裏切られれば、その人の人間を疑っても仕方が無いと思う誠実だが、やっぱり結局はゲームでは無いかとも思う。

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