《99回告白したけどダメでした》164話
「まぁ、たかがゲームだし……」
「たかがゲーム、されどゲームとも言うんだよ~伊敷君」
「騙した側の島崎がそれを言うのかよ……」
ゲームが終了し、そろそろ夕飯の時間と言うこともあって、誠実達はゲームを片付けていた。
互いに騙し合いをしていたせいか、どこか全員の雰囲気がいつもと違う。
「はぁ……なんだかなぁ…」
「どうした武司?」
「以外と皆、噓が上手いなと思ってな……」
「確かにそうだけど、それは皆ガチでやってたからだろ?」
「だけど、なんか噓をつかれてるんじゃ無いかって、心配になるよなぁ…」
誠実は、武司の隣に座り、綺凜達子を見ながら、そんなことを言う。
そんな武司に、誠実は溜息混じりに言う。
「そりゃあそうだろ? 誰だって何かしら噓をついてるよ。本音だけで、この社會はり立たないって。特に子なんかは、男子以上にそう言うのが厳しい世界だろ?」
「まぁ、そうなんだけどよ……」
「ちなみに、俺はお前に一つ噓をついてるぞ?」
「はぁ!? 今それを言うか! さっき俺が言った事聞いてたか?!」
「だから言ったんだよ、その噓は當分お前には教えられないからな……」
「なんだよそれ……一応俺はこのメンバーの中じゃ、お前を一番信用してんだぞ?」
「悪いな、俺の噓は、俺だけの噓じゃないからよ……高校卒業する辺りには言うつもりだ」
誠実の言葉に、武司は不満そうな顔をする。
そんな武司に、誠実は言葉を続ける。
「俺も一応、お前を信用してる、だから言うんだよ。今は……何も聞かないでくれ、頼む」
誠実の表は真剣だった。
そんな誠実の表と言葉に、武司は何も言えなくなってしまった。
誠実の顔を見ながら、武司は溜息を吐き、肩を落としながら呆れた表で言う。
「へいへい、わかったよ。何を隠してるかは知らんが、そこまで言われるとなぁ~……よし、俺も言おう、俺もお前に隠し事をしていた!」
「そうなのか?」
「あぁ、しかも結構重大だ」
「良いのか聞いても?」
「あぁ、お前も俺を信用していつかは話してくれるんだろ? なら、俺は今言っておくよ」
誠実はゴクリと生唾を飲み込んだ。
一武司は、自分に今まで何を隠していたのだろうか?
教えてくれると言われると、どんどん気になって來てしまう。
「実は……」
「実は?」
「俺は……」
「俺は?」
「巨より貧派なんだ……」
「………」
誠実は耳打ちをしてくる武司の言葉に、呆れて何も言えなかった。
正直、そんなの別にどちらでも良いし、知ったとしてもそれほど重要でも無い。
「すまない……巨派の誠実に合わせて、俺もおっぱい大好きだと言っていたが……実は……」
「あぁ、はいはい、ロリコンだったと?」
「え!? びっくりした! 俺今すっごいびっくりしてるよ! さっきまであんな真剣なじだったのに、なんで急にそんなじ?!」
「いや、正直どうでも良い……」
「どうでも良いってなんだよ! 俺にとっては隠し通してきた重要な!」
「あ、飯來たみたいだな」
「聞けよ!!」
誠実は、武司の話しを最後まで聞かずに、武司の元を離れた。
旅館の従業員の方々が、料理を運び機の上にセッティングしていく。
そろそろ、健を呼んでこなければと思った誠実は、一旦部屋に帰り、健を呼びに行く。
「おい、健。飯だぞ?」
「あ、あぁ……」
「なんだ、音楽聴いてたのか?」
「あぁ……ちょっと気分を良くしようと思ってな……」
部屋にいた健は、イヤホンを耳に付けながら、外を見ていた。
誠実がってきた事に気がつき、健はイヤホンを外し、誠実の話しを聞く。
「飯來たぜ」
「あぁ、行くか……悪いんだが、俺の近くに絶対島崎を置かないでくれないか?」
「? まぁ、それは良いけど、どうかしたのか?」
「ゆっくり飯が食いたいんだ、あいつが近くにいたんじゃ、ゆっくり食えない……」
「あぁ、確かに旅行に來てから、島崎お前に絡みっぱなしだもんな……」
「悪いが頼む、俺は疲れた……」
誠実は健の頼みを聞き、子の部屋に二人で戻る。
そこには、すっかり用意の整ったテーブルに、他のメンバーが座っていた。
「あ、健君來たんだ~」
「………」
鈴は健を発見した途端、ニヤニヤしながら健に近づいて來た。
しかし、健は何も返さず「うわっ」みたいな顔をして、誠実の後ろに隠れた。
「ん~? どうしたの~?」
「あぁ、島崎…こいつちょっと疲れてるみたいなんだ、勘弁してやってくれ」
「そうなの? もしかして、お風呂で私の見てのぼせちゃった?」
「「は?」」
鈴の言葉に、誠実と武司は同時に反応した。
確か、先ほど鈴はお見合い風呂に行ってきたと言っていた事を思い出す誠実。
そして、健が何故か先に行ったはずなのに、風呂にいなかった。
鈴の言葉で、誠実と武司は健が何処にいたのかが分かり、聲を上げる。
「「お前人に言っておいて、自分はそれかぁぁ!!」」
「お、落ち著け馬鹿共! 俺は間違えたんだ! それに、島崎のになんか微塵も興味は無い!!」
「酷い健君……私のを隅々まで視した癖に……」
「おい、島崎ちょっと黙れ。俺はお前のなど見ていない」
誠実達が健に詰め寄る様子をみて、その場にいた全員がその狀況を理解した。
「え?! ちょっと鈴! アンタまさか、お見合い風呂で一緒だったのって……」
「うん、健君だよ?」
鈴に顔を真っ赤にしながら、志保が尋ねる。
「アンタなんで平然としてられるのよ! 同級生にみられてんのよ!!」
「? 別に気にしてないよ? 健君だし」
「そう言う事じゃなくて!!」
志保は興した様子で、鈴に言う。
そんな中、誠実は笑顔の沙耶香と沙に肩を摑まれる。
「えっと……お二人共……どうかなさいました?」
「誠実君……お見合い風呂……行こうとしたの?」
「正直に言った方がいいよ~、怒らないから~」
「じゃあ、なんで目が笑ってないんでしょうか……」
完全に捕まってしまった誠実は、沙耶香と沙に部屋の隅に連れて行かれる。
誰かに助けを求めようと思い、部屋を見回す誠実だったが、言い爭う武司と健に聲は屆きそうも無く、志保は鈴に何やら説教を初めていた。
ダメだ、全員助けを求められる狀況にない!
そう思った誠実は、最後に綺凜の方に視線をやり、助けを求める。
しかし、綺凜は頬をほんのり赤く染め、顔を橫に振った。
「そ、そんなぁ……」
「誠実君? なに綺凜に助けを求めてるの? 悪いのは誠実君でしょ?」
「そうだよ~、子とお風呂に來て、混浴にろうとするなんて~」
その後、誠実が食事にありつけたのは、その一時間後であった。
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